令和6(2024)年能登半島地震について

この度、地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。
被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
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認定司書への道

認定司書への道 第2回 論文の書き方(その1)-テーマの選び方-

日本図書館協会認定司書事業委員会

なぜ認定司書に「論文」が必要か

 日本図書館協会認定司書とは,図書館の実務経験や実践的知識・技能をもつだけではなく,図書館経営の中核を担いうる司書であることを公的に認定する(認定司書審査規程第2条)ものです。そのための条件のひとつとして「ことば」による自己の表現力が挙げられます。

 図書館に対する見方や考え方,さらには行動や判断が適切かつ妥当であることを周囲に理解してもらうためには,しばしば「ことば」によって,それを適切に表現することが求められます。その意味で,図書館の業務やサービスなどのあり方について,本人が「ことば」を吟味して書いたもの,すなわち「論文」(もしくは著作)を認定要件のひとつとしています。

 

「論文」に求められる要件とは

 審査会内規第15条で,概ね次のように規定されています。

(1)単一又は複数(5点以内)の著作の文字数の合計が,8,000字以上であり,複数の著作については,それぞれが一定の著作として成立する。

(2)図書館の業務,運営等図書館経営に資する内容を含む。ただし,勤務する図書館の単なる事例紹介は除く。

(3)文章に論理的な整合性がある。

 実際に,これまで認定された方々は,申請の際に複数の著作を用意した方もいれば,ひとつだけ,それも申請を機に書き下ろした論文だけという方(これまでの認定司書52名中19名が該当)もいます。ですが,1本の論文だけで十分に水準に達していた方が多く,複数の著作で合計8,000字を越え,その全体で著作要件を満たす方はあまり多くありませんでした。

 

テーマの選び方

 認定司書に求められる「論文」は学術論文ではありません。実務経験や業務知識にもとづいて,実践的な課題を取り上げるほうが良いでしょう。ただし,上でも挙げたように,勤務館の単なる事例紹介では論文と言えませんし,認定される司書として,自分の図書館のことしか考えられないようでは困ります。その意味で,テーマ選びは,自分が直接関わる仕事と向き合いながらも,広く現在の図書館界を見渡したときに,どういう「問い」を立てて,その「問い」に自分はどんな「答え」を見いだそうとするのか,を考える作業でもあります。

 例えば,図書館で地域資料を担当する司書が,自身の業務上の必要もあって,時間をかけて地域資料の収集マニュアルを作成したとしましょう。苦労して出来上がったマニュアルは,ある意味で「著作」と言えるかもしれませんが,ここで求められる「論文」とは違います。これだけでは,自館で役立つにすぎず,広く図書館経営に資する内容とは言えないからです。

 ですが,どのような収集マニュアルが優れたマニュアルなのかを考え,多くの図書館にとって充実した地域資料のコレクションを作り出すために必要な手順とは何かを論じた文章は「論文」に近づきます。つまり,自分の仕事を相対化し,多くの図書館員の間で共有できるような「問い」へと一般化させ,それへの「答え」を自己の経験と客観的な根拠をもとに説明していくことが「論文」には求められるのです。

 こうして書かれる実践的論文は,多くの図書館員の間で読まれ,それぞれの職場で参考にされるでしょう。そして,そういう「ことば」で図書館を語れることも,司書が自治体や社会のなかで専門職として認められていくうえで必要なのではないでしょうか。

 [NDC9:013.1 BSH:1.図書館員 2.論文作法]

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