「Help-Toshokan」第2期支援活動
Help-Toshokan」図書館支援隊、第2期支援活動の概要
東日本大震災対策委員会は、第1期に引き続き、第2期(6月~7月)活動を行っている。第2期は、被災地図書館への直接支援から被災地図書館が自立して復旧・復興・再開ができるような支援策を講じること、必要な図書館に対して必要な支援を行える仕組みを構築することにある。
主な活動は、
(1)被災図書館からの個別要請に応える仕組みとしてボランティア管理シ
ステム(仮称)の開設、
(2)簡易修理ボランティア養成講座の開催、
(3)簡易修理ボランティアの派遣、
(4)(社)日本新聞協会と協力して、新聞の欠号補充などへの取組み、
(5)自動車図書館についての情報提供、斡旋、
(6)ブックコーティング講習会講師の派遣、
(7)第1期活動の地域拡大、支援内容の拡大、などである。
これらの活動は、被災地の県立図書館、関連団体、関連企業などと協力しながら行っていく予定。
第1期支援活動に参加したメンバーのMLを立ち上げ、震災に関する情報交換を行っている。支援を必要とする図書館の方は、ぜひ東日本大震災対策委員会にご相談をいただきたい。個別図書館からの個別支援に対してもできる限りお応えしていきたいと考えている。日本図書館協会(震災対策委員会):
e-mail:shinsai★jla.or.jp TEL03(3523)0814
震災対策委員会、日本新聞協会を訪問
6月22日午後、震災対策委員会委員3名(常世田・西村・吉田)が、(社)日本新聞協会を訪問、東日本大震災被災地の新聞についての協力依頼を行った。
新聞協会からは、事務局次長など3名の方が出席、対応していただいた。協力依頼事項は、1.被災地購読紙の欠号補充、2.避難所閉鎖後の避難所配布新聞の図書館への提供、3.被災地の新聞の地方版および地方紙の保存と提供の3点。震災後の図書館の新聞収集及び提供の状況と問題点について話を聞いていただくことができた。また、震災後の状況だけにとどまらず図書館での資料提供のひとつとしての新聞の提供、保存等についても話し合うことができた。
矢吹町図書館(福島県)で蛍光灯破片除去作業、行う
「Help-Toshokan」図書館支援隊第2期活動の一環として、6月30日~7月1日の二日間、矢吹町図書館を訪れ、蛍光灯破片除去のボランティア活動を行った。参加したのは、NPO法人多摩デポから齊藤誠一・田中ヒロ・矢崎省三・吉田光美、多摩地域から阿部明美・中澤和男、岡山から衛藤広隆、千葉地域から石倉雅子・叶多泰彦・藤本重樹の計10名。
矢吹町図書館は、3月11日の地震によって大きな被害を受け、書架の転倒と同時に多くの本が落下。また天井の蛍光灯が落ち、その破片が本に降りかかり、蛍光灯の破片を除去しなけれ ば使用できないと判断、職員が刷毛で破片を除去を行っていた。協会施設委員会が6月9日、10日と福島県、茨城県内の図書館の被害状況調査を行った際に、職員の手で行われている作業を確認、震災対策委員会に相談が寄せられた。NPO法人多摩デポに協力を依頼、ボランティアの派遣が実現した。
除去作業を行ったものの、すべてのページを繰りながら刷毛で破片を取り除く作業は、なかなかはかどらず、2日間で340冊程度を処理したに止まった。
破片の除去が必要な資料は、まだ相当数残っており、現在、今後の対応について矢吹町と調整中である。
日本ブッカ―、東松島市(宮城県)でフィルムコーティング講習会を開く
7月2日~3日の2日間、「Help-Toshokan」図書館支援隊第2期活動の一環として、(株)日本ブッカ―は、協会震災対策委員会との共催で、東松島市でフィルムコーティング講習会を開催した。日本ブッカ―の川合和久、佐藤健一、戸板健、河上博之、倉田聡の5名がボランティア講師として指導を行った。
講習会は2日間で延べ4回行われ、講習を受けたのは全部で22名であった。講習第1回目、は7月2日13時30分~15時00分、対象は緊急雇用対策で採用された人たち5名に対しフィルムコーティングの指導を行った。以下、第2回目15時30分~17時(対象:緊急雇用対象者他)5名参加、第3回目、7月3日10時30分~ 12時(対象:希望者)8名参加、第4回目、12時30分~14時(対象:緊急雇用対象者他)4名参加。第4回目は、フィルムコーティングの指導のほか、 本の簡易補修指導も行った。
東日本大震災に関する図書館支援窓口」開設
準備中であった「ボランティア管理システム(仮称)」は、7月13日から稼働します。稼働にあたり、名称を「東日本大震災に関する図書館支援窓口」としました。支援を必要とする図書館、図書館へのボランティアを希望する方は是非登録してください。日本図書館協会が協議・調整をいたします。
URL:https://jlavolunteer.heroku.com/
修理ボランティア養成講座開催
7月13日、日本図書館協会研修室において、修理ボランティア養成講座を開催した。参加者は20名、資料保存委員会委員が講師及び補助を務めた。当日は、表紙の外れた本の修理、無線綴じ本の修理の講習を受けた。なお、講座受講者6名、資料保存委員会委員2名は茨城県立図書館で8月3日に修理ボランティア活動を行う予定。
キハラ株式会社が福島県内の図書館等にブックトラックを寄贈
東日本大震災復旧支援事業として、キハラ株式会社が日本図書館協会との共同で実施しているブックトラックの寄贈事業が福島県(13館)で完了した。
福島県は地震・津波に加え、目に見えない放射能の被害もあるなか、各図書館でこの寄贈事業について喜ばれた。
寄贈先:広野町公民館(いわき市に避難中)、いわき市立いわき総合図書館、田村市立図書館、本宮市立しらさわ夢図書館、福島県男女共生センター図書室、南相馬市立図書館、相馬市立図書館、新地町図書館、伊達市立図書館、桑折町中央公民館図書室、楢葉町教育委員会(会津美里町に避難)、天栄村生涯学習政策局学習センター図書室、泉崎図書館
震災対策委員会、南相馬市立中央図書館(福島県)を訪問
7月14日、東日本大震災対策委員会の西野一夫、・矢崎省三・児玉史子が南相馬市立中央図書館を訪問し、安齋久司館長と懇談した。館長からは被災後の図書館を取り巻く状況と今後の見通しについての話があった。南相馬市立中央図書館自体は地震の被害はほとんどなかったが、原発の影響で閉館を余儀なくされている。市民の要望も強く、一日も早く開館したいとのことであった。日本図書館協会は開館後の支援のあり方について今後とも現地と情報を交換していくこととした。
移動図書館を被災地図書館で活用
三島市立図書館で活躍したのち廃車となり、発展途上国での再活用が予定されていた移動図書館ジンタ号(3世)を、一時的に被災地支援のため転用する取り組みを日本図書館協会は行ってきたが、7月15日気仙沼市図書館への移送が実現した。
移動図書館には、大震災出版対策本部から図書約3000冊が寄贈されている。この移動図書館は、今後日本ユネスコ協会連盟からの新車が到着するまでの間、市内約80カ所の巡回に活用される。なお、気仙沼市図書館には紙芝居・しかけ絵本等約150点も寄贈され、幼稚園、保育園で活用されている。
被災地の図書館に「大活字」図書の寄贈をします
日本図書館協会では、NPO法人大活字普及協会と協力、「大活字」図書の寄贈を行います。大活字普及協会が取り扱う図書のうちそれぞれの図書館が希望する図書約50冊を1セットとし、40館に寄贈をします。また、希望する図書館にはブックコーティングも行います。図書館の館種は問いません。必要な費用は日本図書館協会が負担します。
館名、住所、電話番号、担当者名、ブックコーティングの要・不要についてメールでお知らせください。締め切りは、8月10日(水)。希望する図書館が多数になった場合、図書館協会震災対策委員会で提供する図書館を決めさせていただきます。
shinsai★jla.or.jp 担当:西村・児玉 電話:03-3523-0814
被災図書館に図書修理ボランティアを派遣します
修理を行うのは図書をはじめ雑誌、CD、DVDケースなど(貴重書・歴史資料等を除く)。必要な図書館は、館名、住所、電話番号、担当者名、修理の必要な資料の種類、点数(概数)、希望日程(3泊4日くらいまで)、必要人数(おおよそで構いません)を明記のうえ申し込んでください。そのほか、修理が必要な資料の仕分け(除籍、買い替え等)が済んでいるか、修理を行う部屋の確保はできるか、近くの宿泊施設を紹介していただけるか、近くに昼食をとれる施設があるかについてもお知らせください。必要機材、ボランティア派遣費用は日本図書館協会が負担します。
「東日本大震災に関する図書館支援窓口」(https://jlavolunteer.heroku.com/)あるいはメール(shinsai@jla.or.jp)で随時、受付けています(2012年3月 31日まで)。
気仙沼市図書館へ移動図書館車の引き渡し
3月11日の東日本大震災で津波被害にあい、稼働ができなくなっている気仙沼市図書館移動図書館車「おおぞら号」(4世)の代役として、三島市立図書館で活躍し廃車となっていた「ジンタ号」が再活用されることとなり、7月27日(水)日本図書館協会と気仙沼市図書館の間で「引き渡し式」が行われた。
日本図書館協会では、4-5月に4回にわたって気仙沼市の図書館、学校、保育所、避難所など20か所を巡回し、お話し会や映画上映会、本の贈呈運動を行ってきたが、今回の移動図書館車の再活用についても、気仙沼市図書館支援活動の一環として取り組まれた。
「ジンタ号」再活用は、発展途上国への移動図書館車寄贈再活用を行っている日本外交協会、NPO法人SAPESI-Japanの協力をえて、気仙沼市に寄贈される新しい移動図書館車が到着するまでの間、気仙沼市での一時使用をはかるもの。移動図書館の移送にあたっての整備費用や、移送費用、活動再開のための消耗品など約100万円は日本図書館協会に寄せられた義援金が活用される。
気仙沼市図書館では、津波被害を受けた「おおぞら号」に積載していた資料など13,000冊の図書館資料が被災したが、日本図書館協会では東日本大震災出版対策本部(日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版クラブ等)などの協力を得て、3,000冊の本を移送時に積載したほか、2,000冊の児童書や紙芝居150セットも日本図書館協会から寄贈されている。
これにより、気仙沼市内80か所の巡回サービスが再開されるほか仮設住宅などにも巡回できる見通しとなった。
茨城県立図書館で修理ボランティア
8月3日(水)、今回の東日本大震災で被災した茨城県立図書館の破損図書の修理を行った。参加したのは、真野節雄・神原陽子(資料保存委員会)、佐竹かおる、上村和恵、小野澤俊一、一色正人、荒川依知、大久保範夫(修理ボランティア講座修了生)、の計8名。1日で約180冊の資料の修理を行ったほか、現地の修理ボランティアの人たちとの意見交換も行った。また、震災対策委員会事務局から児玉史子が同行し、今後の進め方について打ち合わせを行った。茨城県立図書館は建物の損壊、資料の落下があり、閉館中で、9月上旬開館の予定である。
南三陸町(宮城県)でブックコーティング講習会行う
8/20(土)~21(日)の2日間、「Help-Toshokan」図書館支援隊第2期活動の一環として、(株)日本ブッカ―は、協会震災対策委員会との共催でフィルムコーティング講習会を開催した。これは、南三陸町図書館の職員として、緊急雇用された臨時職員に対して行ったもの。ブックコーティングに必要な道具類については、協会に寄せられた義援金から購入、寄贈した。また、このほかに図書館の復旧のために必要と思われる備品類として、無線LANルーター、データベースソフトウェア、ラミネート加工機などの寄贈も行った。
石巻市図書館への送付用図書にコーティング作業行う
8/24、日本図書館協会2F研修室において、石巻市図書館(宮城県)に送付する図書にコーティング作業などを行った。参加したのは、協会からのボランティア要請に応じていただいた石倉雅子、宮原みゆき、田中愛、一色正人、田中清水、鈴木理香子の6名に、震災対策委員会から2名の計8名。送付した図書は(社)日本書籍出版協会(書協)大震災出版対策本部から寄贈された
図書。この日は段ボール35箱分(約1,200冊)について作業を行い、翌日、石巻市図書館に向け、送付した。
「Help Toshokan」第2期図書館支援活動終了
第1期支援活動(~5月末)に引き続き、6月から取り組んできた「Help Toshokan」図書館支援活動の第2期が8月末で終了した。
第2期の支援活動は、被災地図書館への直接支援から被災地図書館が自立して復旧・復興・再開ができるように必要な図書館に対して必要な支援を行える仕組みを構築することを目指した。この間に取り組んだ主な活動は、(1)被災図書館からの個別要請に応える仕組みとして「東日本大震災に関する図書館支援窓口」の開設、(2)修理ボランティア養成講座の開催、(3)修理ボランティアの派遣、(4)(社)日本新聞協会と協力して、新聞の欠号補充などへの取組み、(5)自動車図書館についての情報提供、斡旋、(6)ブックコーティング講習会講師の派遣など。
これらの活動に参加したのは延105名であった。各活動参加者数は以下のとおり。栗田倉庫での図書仕訳(6/4 3名)、東日本大震災被災地図書館との支援情報交換会(6/11 7名)、栗田倉庫で気仙沼市(宮城県)へ送る自動車図書館への図書積載(6/17 6名)、矢吹町(福島県)で図書の蛍光灯破片除去(6/30-7/1 10名)、東松島市(宮城県)でブックコーティング講習会(7/2-3 27名)、修理ボランティア養成講座(7/13 26名)、気仙沼市の自動車図書館引き渡 し式参加(7/27 2名)、茨城県立図書館の破損図書の修理(8/3 9名)、南三陸町(宮城県)訪問(8/7-8 2名)、南三陸町(宮城県)でブックコーティング講習会(8/20~21 5名)、石巻市図書館送付用図書にブックコーティング作業(8/24 8名)。
引き続き、第3期支援活動(9月~12月)に取り組んでいく。