- 図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン(PDFファイル)
- 複製物の写り込みに関するガイドライン(PDFファイル)
- ガイドラインのQ&A(PDFファイル)
- (参考資料)「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」について(PDFファイル)
著作権法第31条の運用に関する2つのガイドラインが決まりました
日本図書館協会からも委員を出している「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」(図書館側5団体、権利者側6団体が参加)では、2004年以降図書館における著作権問題の解決に向けて協議を続けています(詳しくは、ガイドライン参考資料を見てください)。当事者協議会では、図書館側、権利者側からそれぞれ要望事項を出し合い、ガイドラインを定めそれに基づいて運用することによって問題の解決ができそうな事柄について、具体的な検討を行ってきました。
今回、図書館側から出した5つの要望事項のうち、「図書館間相互貸借で借り受けた図書等を著作権法第31条1号により複写することができるようにすること」については、「図書館間協力で借り受けた図書の複製に関するガイドライン」としてまとまりました。また、「事典の一項目全部の複写」については、「複製物の写り込みに関するガイドライン」としてまとまり、いずれも2006年1月より実施可能となりました。さらに、ガイドラインに基づいた運用をする際に出てくるであろう細かい点についても「Q&A」という形で権利者側団体の了解の下にまとめることができました。
1つ目のガイドラインで、図書館間相互協力で借り受けた図書の複写が借り受けた図書館でできるようになりました。このことについては、現場のみなさんは利用者に説明してもなかなか理解してもらえず、苦労されてきたことと思いますが、それが解決しました。ただし、貸出館も借受館も著作権法31条が適用される図書館であること、複写に際しては31条を遵守した運用をすることが条件となっています。
2つ目のガイドラインでは、これまで俳句の1首や1ページに満たない辞典の1項目などの小分量の著作物についても、独立した著作物ということでその「一部分」しか複写ができないという、非現実的な説明を利用者にすることを余儀なくされてきましたが、それが解決しました。無許諾では著作物の「一部分」しか複写できないという原則は変わりませんが、コピー用紙に写り込まれてしまうその他の部分を削除するには及ばないという、権利者側の理解により、実質的にこれまでの問題が解決しました。運用上の注意については「Q&A」をご覧ください。
この2つのガイドラインは、図書館側の3団体が共同で策定し、運用する形となっていますが、当事者協議会を構成する出版社、作家などの権利者側の団体でも、このガイドラインの運用には協力してくれることになっています。ただ、全ての著作権者がこれらの団体に属しているわけではないので、もし万が一どこかの著作権者からこのガイドラインの運用に関してクレームが出たときには、話合いのうえ解決したいと考えています。そのような場合は、速やかに日本図書館協会著作権委員会までご連絡ください。当事者協議会を構成する権利者側団体とも協力して、問題の解決に当たります。
協会は、当ガイドラインとともに著作権法の改正が必要であると一貫して主張してまいりました。これからも引続き法改正に取組みます。
日本図書館協会著作権委員会