日本図書館協会は2014年1月に内閣総理大臣から「公益社団法人」として認定されました。以下、日本図書館協会の概要を紹介します。
日本図書館協会(Japan Library Association: JLA)の前身である「日本文庫協会」は、1892(明治25)年3月、25名の図書館人によって結成されました。アメリカ、イギリスに次いで世界で3番目に設立された歴史ある団体です。以来130年以上にわたり、日本の図書館を代表する総合的な全国組織として、図書館の成長・発展に寄与する活動を展開しています。
過去には、夏目漱石、『広辞苑』の新村出など、著名人が会員となり、活動を支えてきました。現在は、全国の図書館員、図書館を支える方々などの個人会員、賛助会員、施設会員から構成されています。
JLAの目的は、さまざまな種類の図書館(公共図書館、大学図書館、学校図書館、専門図書館、公民館図書室、国立国会図書館、その他の読書施設、情報提供施設)の進歩発展を図る事業を行うことにより、人々の読書や情報資料の利用を支援し、文化の進展及び学術の振興に寄与することです。その目的の達成のため、下記のような事業を展開しています。
- (1)図書館職員の育成及び研修・講習
- (2)図書館運営に関する相談及び支援並びに政策提言
- (3)図書館の管理、運用・サービス及び技術等に関する調査・研究及び資料収集
- (4)図書館運営ツール・選書ツールの作成及びその普及
- (5)機関紙及び研究・調査成果等の刊行
- (6)図書館の進歩を促進するためのキャンペーン及び進歩促進に貢献したものの表彰
- (7)国内外図書館団体等との連携及び協力・支援
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事業を進める主力は、活動部会と委員会です。活動部会は、公共図書館、大学図書館、短期大学・高等専門学校図書館、学校図書館、専門図書館、図書館情報学教育の6部会からなっています。また、JLAの事業を具体化するために必要な多数の委員会が設けられています。
JLAは、その長い歴史の中で、図書館の運営を支えるさまざまなツールの開発と普及、図書館振興、情報提供などの活動を行ってきました。機関誌の『図書館雑誌』は1907(明治40)年に創刊され、戦中・戦後の時期を除き継続発行されており、現在108巻を超える長寿雑誌です。毎年秋に全国の図書館関係者が一堂に会する「全国図書館大会」は、1906年に第1回が開催されて以来、2014年には紀念すべき第100回を迎えました。
第二次世界大戦後には、図書館員の精神的な支柱といえる「図書館の自由に関する宣言」(1954年、1979年改訂)、「図書館員の倫理綱領」(1980年)を制定しました。公共図書館の設置を広げる活動では、1963年に『中小都市における公共図書館の運営』、1970年に『市民の図書館』を発行し、各地域の住民のために図書館をつくり上げることの重要性を指摘し、その後の図書館の発展に大きく寄与しました。
また、図書館に備える資料を的確に利用者に届けるためのツールとして、「日本十進分類法」(Nippon Decimal Classification: NDC)、「日本目録規則」(Nippon Cataloging Rules: NCR)、「基本件名標目表」(Basic Subject Headings: BSH)の提供と維持を続けています。一方、図書館員(司書)の養成のためのテキストとして、「JLA図書館情報学テキストシリーズ」を1997年から刊行するとともに、現役図書館員のスキルアップのための研修・講座を開催しています。
図書館に関する情報収集と提供については、『日本の図書館』(1953年創刊)、『図書館年鑑』(1982年創刊)を毎年発行し、「図書館の“今”」を統計と情報で伝えています。また、「JLAメールマガジン」(2000年創刊、週刊)は、図書館に関する情報を速報で提供しています。 JLAは、このように長い間、図書館の発展を支える活動を展開してきた伝統のある団体であり、今もあらゆる図書館に携わる人たちに支えられ、また支える活動を継続しています。