2024年8月14日更新
南海トラフ「巨大地震注意」発令への対応 Ver.1
日本図書館協会図書館災害対策委員会では、過去の災害を教訓として、これまで集めた情報や課題を基に、地震への備えについて緊急にまとめました。
それぞれの図書館のマニュアルなどを再確認の上、地震への備えの参考にしてください。今後、必要に応じて更新していきます。
なお、このメッセージは、開館や運営全てにおいて行動制限するものではありません。国や自治体の情報等を把握し、適切な行動の下で開館を続けてください。
1.人命の第一を考えた備え
◎初動:避難誘導ができるようにしましょう。
□大きな声を出せるようにしましょう。
例:「本棚から離れてください。机の下に隠れてください」
(東日本大震災では、職員が声を出し続けたことによって、平常心を保つことができたと、SNSに投稿された
事例があります。)
□避難経路の確認をしましょう。
□通路に置いてあるブックトラックや台車、床置きの段ボールは避難経路の妨げとなるので片付けましょう。
車輪がついている備品は、地震により暴走して人を傷づけることがあります。ストッパーなどを必ずセットして
おきましょう。
□日常業務の中で、お互いの行動を確認し合いましょう。
(特に、閉架書庫や移動図書館車の本の入替など一人だけ離れて作業を行う場合は事務所に一声かけましょう。
その際、携帯電話を忘れずに持ちましょう。)
◎緊急連絡網の確認
□可能であれば、緊急連絡網以外に、SNSやメールといった複数の連絡手段を持ちましょう。
◎緊急参集時の安全確保
□車での移動は特に危険が伴いますので細心の注意をしましょう。
(地震による道路の陥没や隆起があるかもしれません。夜間や雨天時には視界が悪くなりますので、注意しま
しょう。)
◎地震が続く場合
□臨時休館を検討しましょう。
もしくは、館内で安全な場所を確保できる場合は、部分開館を考えましょう。
例:書架が無い場所や机がある場所で、新聞や地図等の閲覧。Wi-Fiの提供など
◎適時の情報発信
□ウェブサイトやSNSでの発信に加えて、来館者にも伝わるように図書館玄関に開館情報等を掲出しましょう。
◎移動図書館車の運行
□津波の浸水想定区域内、または土砂災害の危険区域内の経路やステーションの有無を確認しておきましょう。
そして、「巨大地震注意」の発令中は暫定的に運休も検討しましょう。
2.資料への配慮
◎落下による人命・資料への配慮をしましょう。
□落下しやすい場所の資料や、落下時に危険な資料(重い本など)は下段に移動させましょう。
□水漏れの損傷を避けるために、貴重な資料は最下段から上段に上げるなど配置換えを検討しましょう
水濡れは直接的な浸水以外にも、地震で配水管が損傷したり、スプリンクラーが誤作動したりすることで、
引き起こされます。思わぬ水損から守るため、貴重書は、暫定的にビニール袋に入れたり、プラスチックケースに
納めたりするなど、柔軟な行動で予防に努めましょう。
□津波の浸水想定区域内にある図書館は、貴重な資料を上階または安全な場所へ一時退避することも検討しま
しょう。
3.施設、什器や備品類への配慮
◎安全点検を実施し、必要に応じて修繕をしましょう。
□書架が固定されているか確認し、固定されていない場合は危険な場所への立ち入りを禁止、または制限すること
を検討しましょう。
ただし、利用や運営に配慮しながら、避難経路の確保が大切です。
□什器などは緊急対応として床や壁面へ固定するよう修繕をしましょう。
□手動式の集密書庫の場合、地震を感知した際に自動的にロック機構が解除されないものは、人がいない場合や
夜間は予めロック機構を解除しておくことも考えられます。
□水道やガスの元栓を把握しておきましょう。
(例えば、館内の漏水による被害を減らすことができます。)
□スプリンクラーの元栓を把握しておきましょう。
(地震による配管の損傷、水道復旧時の漏水を防ぐことができます。)
□水冷式空調機の場合、過去に配管が地震で損傷し、運転時に漏水したことで、水濡れの被害が発生したことが
あります。
このほかにも、各図書館の状況に合わせて備えておくべきことがありますが、できることから始めて、人命と資料と施設の安全につなげていきましょう。
※参考<それぞれ気象庁のホームページへジャンプします>
南海トラフ地震について
「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)について」8月8日発表
「令和6年8月8日16時43分頃の日向灘の地震について(第2報)及び南海トラフ地震関連解説情報(第1号)について」8月9日発表