2024年9月13日更新
南海トラフ「巨大地震注意」呼びかけの終了に伴う対応 Ver.2
日本図書館協会図書館災害対策委員会では、過去の災害を教訓として、これまで集めた情報や課題を基に、地震への備えについて緊急にまとめ、Ver.1を発信しました。
この度Ver.2に更新しましたので、引き続きそれぞれの図書館のマニュアルなどを再確認の上、地震への備えの参考にしてください。
なお、このメッセージは、開館や運営全てにおいて行動制限するものではありません。国や自治体の情報等を把握し、適切な行動の下で図書館の運営にあたってください。
1.人命の第一を考えた備え
◎初動:避難誘導ができるようにしましょう。
□地震が発生したら、迷うことなく大きな声を出しましょう。
発声例:「本棚から離れてください。机の下に隠れてください」
(東日本大震災では、職員が声を出し続けたことによって、平常心を保つことができたと、SNSに
投稿された事例があります。)
例えば、避難誘導に迷うような地震では「訓練だと思い、ご協力ください」と伝えながら誘導する方法が
あります。そして、地震が収まった後に避難の協力に対して、利用者に感謝を伝えることで、更なる共感が
得られた事例があります。
◎事前の対応
□施設管理の委託業者やボランティアの方など普段出入りしている方に、地震発生時の避難行動、その後の行動と
対応について伝えておきましょう。
□利用者との会話の中で、地震発生の時は本棚から離れることや机の下などで安全を確保すること、職員の
避難誘導があることを話題にしましょう。
□行事などでは、開催前に地震発生時の避難行動を参加者に伝えましょう。
□日常業務の中で、お互いの行動を確認し合いましょう。
(特に、閉架書庫や移動図書館車の本の入替など一人だけ離れて作業を行う場合は事務所に一声かけましょう。
その際、携帯電話を忘れずに持ちましょう。)
◎緊急連絡網の確認
□可能であれば、緊急連絡網以外に、SNSやメールといった複数の連絡手段を持ちましょう。
◎緊急参集時の安全確保
□車での移動は特に危険が伴いますので細心の注意をしましょう。
(地震による道路の陥没や隆起があるかもしれません。夜間や雨天時には視界が悪くなりますので、注意しま
しょう。)
◎地震が続く場合
□臨時休館を検討しましょう。
もしくは、館内で安全な場所を確保できる場合は、部分開館を考えましょう。
例:書架が無い場所や机がある場所で、新聞や地図等の閲覧。Wi-Fiの提供など
◎適時の情報発信
□ウェブサイトやSNSでの発信に加えて、来館者にも伝わるように必要に応じて期間を定めるなどして、
図書館玄関に開館情報等を掲出しましょう。
◎移動図書館車の運行
□津波の浸水想定区域内、または土砂災害の危険区域内の経路やステーションの有無を確認しておきましょう。
そして、地震への備えと対応として、暫定的に運休も検討しましょう。
2.資料への配慮
◎落下による人命・資料への配慮をしましょう。
□緊急対応で暫定的に排架した資料を戻しましょう。その際、管理・運営や利便性とのバランスを考え、
防災・減災に繋がるレイアウトなどを次の点に配慮して職員みんなで考えましょう。
□水漏れの損傷を避けるために、貴重な資料は上段に排架しましょう。また、図書館用品の保存ケースに入れる
などの保存も有効です。
水濡れは直接的な浸水以外にも、地震で配水管が損傷したり、スプリンクラーが誤作動したりすることで、
引き起こされます。
□津波の浸水想定区域内にある図書館は、貴重な資料を上階または安全な場所への配架を検討しましょう。
□資料の床置きはやめましょう。
納品間もない資料が入った段ボールはその日のうちにブックトラックに排架、または木製以外のパレットを
敷いた上など、床よりも高い位置に置くようにしましょう。自然災害による浸水だけでなく、漏水や雨漏りから
資料を守ることができます。
3.施設、什器や備品類への配慮
◎安全点検を実施し、必要に応じて修繕をしましょう。
□避難経路の確認をしましょう。
□通路に置いてあるブックトラックや台車、床置きの段ボールを整理整頓し、避難経路を確保しましょう。
□車輪がついている備品は、ストッパーなどを必ずセットしておきましょう。
□事務机の引き出しに鍵を掛けることを習慣にしましょう。飛び出し防止機能の無い引き出しは地震により、
引き出しが飛び出して、避難の妨げになります。
□災害時に事務室は図書館の災害対策本部になります。文書棚などが床と天井に固定されているか
確認しましょう。
□書架が固定されているか確認し、固定されていない場合は危険な場所への立ち入りを禁止、または制限すること
を検討しましょう。
ただし、利用や運営に配慮しながら、避難経路の確保が大切です。
□手動式の集密書庫の場合、地震を感知した際に自動的にロック機構が解除されないものは、人がいない場合や
夜間は予めロック機構を解除しておくことも考えられます。
□水道やガスの元栓を把握しておきましょう。
(例えば、館内の漏水による被害を減らすことができます。)
□スプリンクラーの元栓を把握しておきましょう。
地震による配管の損傷に伴う漏水は、水道復旧時にも発生する可能性があり、これを防ぐことができます。
このほかにも、各図書館の状況に合わせて備えておくべきことがありますが、できることから始めて、人命と資料と施設の安全につなげていきましょう。
※参考<それぞれ気象庁のホームページへジャンプします>
南海トラフ地震に関連する情報
南海トラフ地震に関連する情報の種類と発表条件
リーフレット「南海トラフ地震 -その時の備え-」