日本図書館協会の見解・意見・要望

2019/07/20

「読書バリアフリー法」により推進したい事項

201866

公益社団法人日本図書館協会

 

公益社団法人日本図書館協会は、読書バリアフリー法により、情報入手に困難のあるあらゆる人たちの情報環境が改善されることを期待しています。

その中で、図書館の果たすべき役割を考え、この法案により推進される読書環境整備が、情報入手に困難のあるあらゆる人たちにとってより望ましいものとなりますよう、積極的に協力していきたいと思います。

そのためにも、この法律で以下の7点にご配慮くださることを強く望みます。

 

1.法案の枠組みについて

まず、この法律の対象者についてです。この法律に望むことの一つ目は、この法律の対象者を、情報入手に困難のある人すべてにしていただきたいということです。

著作権法第37条第3項でいう何らかの理由で印刷物を利用することが困難な人に加え、聴覚障害者等映像資料が利用できない人も含めてください。

マラケシュ条約の受益者(通常の活字によって印刷された本へのアクセス障害のある者)に限定することなく、映像資料(DVD)など音声による情報へのアクセス障害のある者も含めてください。それは、図書館では、従来から「図書(印刷物)」だけでなく視聴覚資料(DVDなど映像資料)を「図書館資料」として捉え、「図書館利用に障害のあるあらゆる人々」を対象に、読書環境を整備し、さまざまな障害者に対するサービスの努力をしてきているからです。

 

2.図書館等は著作権法第37条による障害者サービス用資料を作成し、出版社はその作成を支援するためにテキストデータ等の提供に努めてください

著作権法第37条による障害者サービス用資料の作成に関して、音声デイジー・マルチメディアデイジーは今後も多くの利用が見込まれます。また、原本のテキストデータがあれば、点字・マルチメディアデイジー・EPUBを一早く製作することができます。さらに、テキストデータそのものも障害者が利用できるものです。

そこで、出版社にテキストデータの図書館などへの提供を促してください。

視聴覚障害者情報提供施設・公共図書館・学校図書館・大学図書館などは、引き続き著作権法第37条による資料製作に努めていきます。

3.聴覚障害者用の字幕・手話入り映像資料の製作を促進し、「貸し出すための補償金支払い」の規定をなくしてください

著作権法第37条の2では、聴覚障害者情報提供施設や図書館などで、字幕・手話入り映像資料の製作を認めています。にもかかわらず、著作権法第384項の規定にそえば、その資料を「貸出すためには補償金を支払うこと」とされています。これにより実質的に製作・提供することができません(ちなみに、補償金支払いの具体的なシステムは存在しません)。

 

4.出版社によるアクセシブルな電子書籍の刊行を促進してください

アクセシブルな電子書籍とは、「データ形式」「販売サイト」「再生アプリあるいはソフトウェア」のすべてがアクセシブルであることが求められます。また、技術の向上によりその内容も進歩していきます。業界団体には、利用者と協力してアクセシビリティーの研究と実装に努力してください(マルチメディアデイジーやEPUBのようにアクセシブルな電子書籍フォーマットも存在します。それらを積極的に利用することも方法です)。

出版社には、現状でできる最低限のアクセシビリティーの確保が求められていることを認識するようにしてください(障害者権利条約にいう合理的配慮の提供)。

図書館がそのような電子書籍を購入し、それを障害のある利用者に提供できるようにしてください。

 

5.大活字本・点字付き絵本・LLブック(やさしくわかりやすく書かれた本)等の販売を促進してください

出版社による大活字本等の刊行を促進し、それを支援してください。障害のある子どものための諸条件の整備・充実をしてください。図書館はこれらの資料を積極的に購入・提供し、障害のある子どもの読書活動を推進します。

6.郵便の割引制度の拡大が必要です

肢体不自由・施設入所・いわゆる寝たきり状態等の理由で図書館まで来られない人たちにも無料の郵送ができるようにしてください。もしくは郵送料の公費負担をしてください。

今国会で改正された著作権法第37条第3項で、製作された資料の利用対象者が拡大されています。しかし、このままでは盲人以外の障害者には無料で提供することができません。

 

7.図書館で充実した障害者サービスが実施できるような体制つくりを支援してください

充実した障害者サービスを実施するためには、スキルの高い職員と、障害者サービス用資料を購入する予算とバリアフリーな施設設備が必要です。

昨今の自治体の予算難により、図書館ではサービス低減を余儀なくされています。特に、委託職員や非正規職員の増加は、スキルの高い職員の継続的な確保を困難にするものです。図書館の障害者サービスが充実できるように配慮してください。

 

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