2024年12月6日
自治体執行部及び関係者 各位
公益社団法人 日本図書館協会
理事長 植松貞夫
非正規雇用職員に関する委員会委員長 小形亮
公共図書館、学校図書館で働く会計年度任用職員の継続雇用についてのお願い
総務省の通知①「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)(令和5年12月27日)」及び②「『会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)』の改正について(令和6年6月28日)」を踏まえ、自治体執行部及びご関係の皆様に、貴自治体における会計年度任用職員制度の運用において、次のことについてご高配を賜りますようお願いいたします。
1.公共図書館・学校図書館の維持・充実・発展のためには、そこで働く職員の安定、継続した雇用が不可欠です。②では、「募集に当たって、任用の回数や年数の制限を設けることは避けるべき」とされています。
2.図書館職員の任用に当たっては、図書館職場で培われた知識と経験によって評価されることが望ましいと考えます。
3.既に十分な勤務実績を積んでいる職員については、期限を区切っての雇用ではなく、かつ公募によらない雇用更新任用を求めます。
(説明)
全国で3300館を超す公共図書館は市民の生活にとって、なくてはならぬものになっています。また小中高校に設置されている学校図書館は児童生徒の成長にとって不可欠のものです。そこに働く図書館職員には司書としての資格の上に経験によって培われた様々な知識と対応力が求められ、それが市民や児童生徒に対して良質なサービスを生み出す源にもなっています。そのような人材は地域や自治体にとっての貴重な財産であると言えます。
公共サービス基本法はその第11条で、「国及び地方公共団体は、安全かつ良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるようにするため、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件の確保その他の労働環境の整備に関し必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」と定めています。自治体が雇用主として図書館職員の安定雇用を進めることは、公共サービスの充実のみならず地域振興の推進にも資すると考えます。
しかしながら、現状では、本来正規雇用であるべき職員の多くは非正規雇用となっており、なかでも公共図書館職員の4割以上、公立の学校図書館職員の9割近くが会計年度任用職員です。
当初、総務省は会計年度任用職員の再度の任用に当たっては、『会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)』(平成30年10月)のIII Q&Aにおいて、「例えば、国の期間業務職員については、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、公募によらず従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは原則2回までとしている。」を例示していました。
そのため3年目を迎えた1昨年度には、勤務実績を考慮しない公募を行った自治体では、経験を積んだ職員の雇用が打ち切られる事態が発生しました。5年目を迎える今年度、さらに3年の2巡目を迎える来年度にも同様のことが予想されます。
人事院が国の期間業務職員について3年を限度とした公募制を廃止したことから、総務省は②「『会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル(第2版)』の改正について」で、任用回数限度についての上記の例示を削除することを通知しました。
また、現場職員など多くの声を受けて、総務省は昨年12月に①「会計年度任用職員制度の適正な運用等について(通知)」の中で、再度の任用については「前の任期における勤務実績を考慮して選考を行うことは可能である」としました。制度導入時から再度の任用に関しては公募を行わない自治体もありましたが、これらの通知を受け新たに公募を廃止する自治体も増えています。
これらにより、総務省の通知を踏まえ、冒頭3項目についてのお願いをさせていただいた次第です。