書店活性化のための課題(案)に対する意見
○該当箇所
3.書店活性化のための課題の整理
(1)書店特有の課題
10.公共図書館の複本購入による売り上げへの影響
11.公共図書館での新刊貸出による影響
12.地域書店による公共図書館への納入
13.図書館の納入における装備費用の負担
○意見内容
「10.公共図書館の複本購入による売り上げへの影響」では、「過度な複本購入が行われる場合には、書店店頭での売り上げ機会を奪っているとの指摘もある。」とされている。しかし、「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」の第一次提言を受けて、文部科学省、一般財団法人出版文化産業振興財団、公益社団法人日本図書館協会が事務局となって設置された「書店・図書館等関係者における対話の場」において、その議論を取り纏めた「書店・図書館等の連携による読書活動の推進について~書店・図書館等関係者における対話のまとめ~」(以下「対話のまとめ」)では、「図書館の約6割の図書館の複本は「2冊未満」で過度とはいえない状況にある。」とされている。そもそも現状では「過度な複本」に該当する例は多くはないと考えられる。このことも併記すべきである。
また、
「11.公共図書館での新刊貸出による影響」では、「新刊書籍を発売と同時に貸し出すことで、書店店頭での売り上げ機会を奪うという意見もあり、」とされているが、前出「対話のまとめ」では、「2023年の実証研究は、①平均すれば、全体として図書館による新刊書籍市場の売上へのマイナスの影響は大きくないことを示した。ただし、②同時にそれは一部のベストセラーに限ればマイナスの影響が小さくないことも付け加えている。」ということを共通認識としている。
適切な課題認識として「対話のまとめ」で確認された共通認識も記載する必要があると考える。
「12.地域書店による公共図書館への納入」及び「13.図書館の納入における装備費用の負担」については、そもそも公共図書館の資料費がほとんどの自治体で十分に確保されていないこと、また、装備に係る経費も確保されていないことが大きな課題である。このことも記載していただきたい。
上記4項目に共通することではあるが、課題として取り上げるのには、「指摘もある」「意見もあり」だけで済ますのではなく、それについてのなんらかの数的根拠なども示す必要があると考える。せめて、どのような機会に出された意見なのかは最低限明示する必要があるのではないか。一部の指摘のみを取り上げ、一面的に課題を捉えることは対応を誤ることにもつながりかねないことを懸念する。
○理由(根拠)
1.「書店・図書館等の連携による読書活動の推進について~書店・図書館等関係者における対話のまとめ~」
https://www.jla.or.jp/Portals/0/data/content/Taiwano_ba/matome.pdf
p.3 「2 書店・図書館等の連携促進に向けて」(書店・図書館等の連携を図る上での検討事項について)に記載。
2.図書館資料費について
「図書館をめぐる現状と課題~今後の連携に向けて~」
公益社団法人日本図書館協会 専務理事兼事務局長 岡部幸祐
(書店・図書館等関係者における対話の場(第1回)発表資料)
スライド10、11
https://www.jpic.or.jp/topics/docs/6ae48b186029c7c4aa9426ffd33f7a7f67165996.pdf