令和6(2024)年能登半島地震について

この度、地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。
被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
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日本図書館協会の見解・意見・要望

2022/10/12

文部科学省からの拉致問題に関する図書充実の協力等の要請について-公益社団法人日本図書館協会の意見表明-及び(図書館関係者各位)文部科学省からの拉致問題に関する図書充実の協力等の要請について

           文部科学省からの拉致問題に関する図書充実の協力等の要請について
                -公益社団法人日本図書館協会の意見表明-
                                   
                                        2022年10月11日
                                   公益社団法人日本図書館協会


  文部科学省は、2022年8月30日に、各都道府県・指定都市図書館・学校図書館担当課等に、「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力等について」という事務連絡を行いました。これは、内閣官房拉致問題対策本部が、特定失踪者家族会から公立図書館への拉致問題図書の充実についての要請を受け、北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日~16日)に向けて、拉致問題に関する図書等の充実、拉致問題に関するテーマ展示を行う等、若い世代に対する拉致問題への理解促進への協力について、文部科学省担当課へ依頼を行ったことによるものです。
 拉致問題は早急に解決されるべき問題です。そして、図書館は、これまでも社会的関心の高いさまざまな問題について利用者への資料提供を行ってきています。拉致問題についても同様です。しかし、図書館での資料の充実や展示の開催については、そのテーマがどのようなものであっても、外部から一律に要請されることではなく、各館が地域の事情や利用者のニーズなどを踏まえて主体的に考えて取り組むべきです。

 文部科学省地域学習推進課によると、今回の文書は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」に、国の責務として「国民世論の啓発を図る」と定められていることを踏まえ、児童生徒や住民が拉致問題への関心を高めるための環境整備への協力を要請したものとされています。
 しかし、文部科学省から学校や図書館に対して、このような要請がなされたことはこれまでに例がありません。そして、特定分野の図書の充実を求められることは本協会が決議した「図書館の自由に関する宣言」の理念を脅かすものであると懸念しています。「図書館の自由に関する宣言」は、戦前・戦中に「思想善導」の機関として、国民の知る自由(知る権利)を妨げる役割を果たしたことへの反省のうえに1954年に制定され、1979年に改訂されました。この宣言では、図書館は「権力の介入または社会的圧力に左右されることなく」、「自らの責任にもとづき」、資料の収集と提供を行うとしています。

 今回の文書は、今後、外部からの圧力を容認し、図書館での主体的な取り組みを難しくする流れとなる怖れがあります。また、学校図書館の中には専門職員が配置されていない地域が多く、「図書館の自由に関する宣言」に関わる上記の問題点が十分に検討されないまま、事務連絡が指示文書のように受け取られることも懸念されます。
 内閣官房からの文書が、そのまま文部科学省からの文書となることは、学校や図書館への指示や命令と受け取られることにもなり、国民の知る自由(知る権利)を保障するうえで、とても危険なことだと考えます。
 以上のことから、今回の文部科学省の文書は是認することはできません。文部科学省におかれましては今後「図書館の自由に関する宣言」へのより一層の理解を求めます。

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                            文部科学省からの拉致問題に関する図書充実の協力等の要請について

     図書館関係者各位

                                                                                                             2022年10月11日
                                                            公益社団法人日本図書館協会

  文部科学省は、2022年8月30日に、各都道府県・指定都市図書館・学校図書館担当課等に、「北朝鮮当局による拉致問題に関する図書等の充実に係る御協力等について」という事務連絡を行いました。これは、内閣官房拉致問題対策本部が、特定失踪者家族会から公立図書館への拉致問題図書の充実についての要請を受け、北朝鮮人権侵害問題啓発週間(12月10日~16日)に向けて、拉致問題に関する図書等の充実、拉致問題に関するテーマ展示を行う等、若い世代に対する拉致問題への理解促進への協力について、文部科学省担当課へ依頼を行ったことによるものです。
 拉致問題は早急に解決されるべき問題です。そして、図書館は、これまでも社会的関心の高いさまざまな問題について利用者への資料提供を行ってきています。拉致問題についても同様です。しかし、図書館での資料の充実や展示の開催については、そのテーマがどのようなものであっても、外部から一律に要請されることではなく、各館が地域の事情や利用者のニーズなどを踏まえて主体的に考えて取り組むべきです。

 文部科学省地域学習推進課によると、今回の文書は、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」に、国の責務として「国民世論の啓発を図る」と定められていることを踏まえ、児童生徒や住民が拉致問題への関心を高めるための環境整備への協力を要請したものとされています。
 しかし、文部科学省から学校や図書館に対して、このような要請がなされたことはこれまでに例がありません。そして、特定分野の図書の充実を求められることは本協会が決議した「図書館の自由に関する宣言」の理念を脅かすものであると懸念しています。「図書館の自由に関する宣言」は、戦前・戦中に「思想善導」の機関として、国民の知る自由(知る権利)を妨げる役割を果たしたことへの反省のうえに1954年に制定され、1979年に改訂されました。この宣言では、図書館は「権力の介入または社会的圧力に左右されることなく」、「自らの責任にもとづき」、資料の収集と提供を行うとしています。

 今回の文書は、今後、外部からの圧力を容認し、図書館での主体的な取り組みを難しくする流れとなる怖れがあり、協会としても文部科学省に対して「図書館の自由に関する宣言」へのより一層の理解を求めていきます。
 同時に、各図書館においても、「図書館の自由に関する宣言」に関わる上記の問題点が十分に検討されないまま、事務連絡が指示文書のように受け取られてしまうことも懸念されます。図書館関係者皆さまにおかれましても、今一度「図書館の自由に関する宣言」を読み直し、日常的なものとして考え、業務に活かしていくようお願いいたします。

以下に参考となる文献を列記いたします。
1. 『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説』第3版
   日本図書館協会図書館の自由委員会編 日本図書館協会 2022.5
2.  『図書館の自由に関する全国公立図書館調査2011年:付・図書館の自由に関する事例2005~2011年』日本図書館協会図書館の自由委員会編 日本図書館協会 2013.6
3. 『図書館の自由に関する事例集』
日本図書館協会図書館の自由委員会編 日本図書館協会 2008.9
4.  『図書館の自由に関する事例33選』(図書館と自由 第14集)
日本図書館協会図書館の自由に関する調査委員会編 日本図書館協会 1997.6
5. 松本直樹「日本における中央図書館制度の制度的構造と実施」
Library and Information Science. no.81, 2019.7, p.1-22
http://lis.mslis.jp/article/LIS081001
6.  仲村拓真「改正図書館令における中央図書館制度の成立と運用に関する意見の検討」
図書館界 71(4), 2019.11, p.240-254.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/toshokankai/71/4/71_240/_article/-char/ja
 

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