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日本図書館協会の見解・意見・ご要望
2009/07/24
著作権法改正に伴う図書館の障害者サービスの充実に係る法運用について(要望)
1 視覚障害者等のための複製等(法第37条第3項関係) 1.1. 法第37条第3項の「視覚障害者その他視覚による表現の認識に障害のある者」に は、知的障害者、精神障害者、学習障害者などのほかに、肢体障害者、寝たきりの人、入院患者なども含めること。 また、外国人などで音声としての日本語は理解できるが文章としての日本語は読めない人を含めること。 1.2. 同項、「視覚障害者その他視覚による表現の認識に障害のある者の福祉に関する事業を行う者で政令で定めるもの」には、国立国会図書館、公立図書館、学校図書館、大学図書館のほか、公共的な図書館サービスを実施している私立図書館、図書館類縁機関など、一般的に障害者が利用する施設(以下、これらを総称して「図書館」という。)を含めること。 さらに、障害者用資料の製作の現状から、NPO法人やボランティアグループの中で障害者のためにサービス(製作)を行っている機関に対して配慮すること。 1.3. 同項、「当該視覚著作物に係る文字を音声にすることその他当該視覚障害者等が利用するために必要な方式」には、音声化のほか、文字の拡大、テキストデータ、リライト、絵図などの立体化、布の絵本化、映像に音声解説を付けるなど、視覚障害者等が使えるあらゆる方法を含めること。 1.4. 同項、「ただし、当該視覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第79条の出版権の設定を受けた者により、当該方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。」に関して、下に掲げた方策等により、現状の障害者への情報提供体制を下回ったり、限定的なサービスしかできなくなってしまうことがないように配慮すること。 (1) 図書館などが製作を開始した後に、「提供又は提示」がされることのないよう、出版社等に情報開示の指導等を行うこと。 (2) 録音資料においては、視覚障害者などがDAISYと同様の便利さで使えるものを必要としており、視覚障害者の要求を満たさない一般の録音資料は「当該方式」から除外すること。 (3) 価格上の問題で、実質的に購入できなくなったり、購入量が減少したりし,結果として障害者への情報提供が阻害されることのないように、原本となる文字資料の価格と比較して適正な価格となるように指導等を行うこと。
2 聴覚障害者等のための複製等(法第37条の2関係) 2.1. 法第37条の2に「福祉に関する事業を行う者で次の各号に掲げる利用の区分に応じて政令で定めるもの」とあり、2つの利用区分が設けられるが、公立図書館においては既に字幕ビデオを製作している館があることや、今後,障害者へのサービスを大きく進展していく必要性があることを考慮し、図書館を1号、2号両号で指定すること。 2.2. 同条、「ただし、当該聴覚著作物について、著作権者又はその許諾を得た者若しくは第79条の出版権の設定を受けた者により、当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式による公衆への提供又は提示が行われている場合は、この限りでない。」に関して、下に掲げた方策等により、現状の障害者への情報提供体制を下回ったり、限定的なサービスしかできなくなってしまったりすることがないように配慮すること。 (1) 図書館などが製作を開始した後に、「提供又は提示」がされることのないよう,出版社等に情報開示の指導等を行うこと。 (2) 価格上の問題で、実質的に購入できなくなったり、購入量が減少したりし、結果として障害者への情報提供が阻害されることのないように、原本となる字幕等のない映像資料の価格と比較して適正な価格となるように指導等を行うこと。
3 営利を目的としない上演等(法第38条第5項関係) 3.1. 図書館が字幕ビデオなどを貸し出す場合、障害者への情報提供のサービスに支障が生じないよう補償金を実質的に支払わなくても良いようにするなど配慮すること。