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日本図書館協会の見解・意見・ご要望
2020/11/13
著作権法第31条第1項の図書館等に学校図書館を含めることについて 学校図書館において想定される具体的な活動内容
〈文部科学省総合教育政策局地域学習推進課あて〉
2020年10月27日
公益社団法人日本図書館協会
著作権法第31条第1項の図書館等に学校図書館を含めることについて
学校図書館において想定される具体的な活動内容
標記のお問い合わせについて、当協会の学校図書館部会が中心となり、具体的な事例等を以下のようにまとめましたのでお送りいたします。 なお、(1)から(5)の項目は、10月14日文化庁著作権課、全国SLAとの打ち合わせの際、当協会が用意した打ち合わせ資料で「学校図書館を第31条「図書館等」に含めることの意義」としてあげた項目に対応しておりますことを申し添えます。
(1)複製の主体が学校図書館になる。
事例1 複製の主体が学校図書館でない、また第35条「授業の過程における使用」かどうかを確認する必要があるため、学校図書館にコピー機を設置することに消極的になる傾向がある。
事例2 高校図書館から市立図書館所蔵資料の複写依頼をしたが、著作権法にてらして希望にそえないとの連絡があった。 公共図書館、大学図書館(付属学校など)所蔵資料の複製依頼を学校図書館経由で行うことができない。公共図書館、大学図書館は第35条の「学校その他の教育機関」に入っているが、学校図書館は「教育を担任する者」の「事務職員等の教育支援者及び補助者ら」にあたり、さらに「学校内の設備を用いるなど学校の管理が及ぶ形で」の複製しかできない。 「教育を担任する者」(教職員)「教育を受ける者」(児童生徒)に直接、該当の図書館に依頼してもらうしかない(「改正著作権法第35条運用指針」(令和2(2020)年度版)による。)。とはいえ、探究学習の実践の広がりにより、実態として学校図書館経由で行っている事例もあると聞いている。 想定される活動内容1 他の図書館の求めに応じて、学校図書館所蔵の郷土資料など、絶版等資料の複製を提供する。
(2)第35条「授業の過程における使用」にあたらない複製が可能になる。 事例3 児童生徒が、道ばたの植物(木の実、葉など)、生き物(昆虫、卵など)等を直接持ち込んで調べることがある。見つけた資料を、親や友だちに見せたいとコピーの依頼。 事例4 生徒個人が作りたい料理・手芸小物などの作り方のコピーの依頼。 事例5 家族や知り合いと関係がある新聞記事のコピーの依頼。 事例6 AO入試、推薦入試で大学から出された課題を作成するためのコピーの依頼。この場合「学校その他の教育機関における著作物の複製に関する著作権法第35条ガイドライン」(平成16年3月)の「学校の教育計画に基づいて行われる」「進路指導」とは別になる。 事例7 児童生徒自身や家族の病気、けが等に関する医学事典、雑誌記事等のコピーの依頼。 事例8 図書館で調べる学習コンクール等、学外のコンテスト応募のための複写。 (3)学校図書館所蔵資料を保存するための複製、デジタル化ができる。 事例9 郷土関係を調べる際に使ったことがある市の教育委員会が発行した資料が入手不可能、かつ古くて破れそうになっているので、コピーして図書館の資料として保存しておきたい。
(4)入手困難資料の複製物の送信サービスを受けることが可能になる。 想定される活動内容2 児童生徒や教職員が必要とする資料が「絶版等資料」であった場合に、学校図書館が主体となって他の図書館等から複写物の提供を受けることができ、複写物を学校図書館の資料として教育活動に活用する。
(5)国立国会図書館の図書館向けデジタル化資料送信サービスによるデジタルデータの受信・複製ができる。 想定される活動内容3 児童生徒が自身の探究心に基づき、古典籍や明治の文豪の初版本等の貴重な資料を学校図書館内でデジタル画像で閲覧・複写できることで、アクティブ・ラーニングへの活用や学習意欲の向上につなげる。 想定される活動内容4 教職員が、図書館向けデジタル化資料送信サービスを使って校内に居ながら必要な資料を閲覧・複写し、授業等に迅速に反映する。教育活動の質の向上につながる。
以上