令和6年9月に能登半島で発生した豪雨について
この度、能登半島地震の被災地にて大雨により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
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日本図書館協会の見解・意見・要望

2019/07/23

令和2(2020)年度予算における図書館関係地方交付税について(要望)

文部科学大臣、総務大臣、図書議員連盟会長、学校図書館議員連盟会長宛に提出した。

令和元(2019)年7月18日

 

公益社団法人日本図書館協会

理事長 小田 光宏

 

 

令和2 (2020)年度予算における図書館関係地方交付税について(要望)

 

常日頃より,図書館振興についてご尽力賜り,感謝申し上げます。

図書館(公立図書館及び学校図書館)は,現在,政府が進めている人生100年社会の実現のために,地域における生涯学習施設として不可欠で重要な役割を果たしています。一人一人が新たなステージで求められる能力・スキルを身に付けるためには,図書館の役割は大きいと考えられます。

日本図書館協会公共図書館部会は,平成28(2016)年度に,全国の図書館を設置する自治体に対して,「自治体総合計画等における図書館政策の位置づけ」についてのアンケート調査を実施し,平成30(2018)年度に2回目の調査を実施しました。それによれば,全国各地において地域創生などに図書館の資料や機能を大いに活用している事例が増えていることがわかります。しかしながら,個々の図書館の工夫だけでは難しい課題として,資料費と職員体制の確保があることも確認できます。図書館がリカレント教育に資するためには,継続した図書館資料の収集と専門職の配置が欠かせません。

本年6月7日には,地方自治法等の改正により,地域の実情に応じて,教育委員会以外の部署において図書館を所管できるようになり,文部科学省では既に総合教育政策局が設置され,本年4月に地域学習振興課に「図書館・学校図書館振興室」が設置されました。生涯にわたる学び,地域における学び,「ともに生きる学び」の政策を総合的に推進すること,②学校教育・社会教育を通じた総合的な教育政策の推進を企図した改編とのことですので,生涯学習の中核的施設である図書館振興に中長期的視野を持った財政面での支援を要望する次第です。

 

 

 

 

1 公立図書館需用費の改善

 

1.1 地方交付税における基準財政需要額の充実

図書資料等購入費について,日本図書館協会の調査では,予算額で平成10(1998)年度に1館当たり1,399万円だったものが,平成30(2018)年度には857万円で,6割弱の規模にまで減少しており,住民が必要とする資料の確保ができない状況です。地方交付税における基準財政需要額の充実を,切に要望いたします。

 

1.2 公立図書館への正規の専門職員の配置

公立図書館の専任職員の状況は,日本図書館協会の調査では,専任・兼任職員数で平成10(1998)年度に1館当たり6.6人だったものが,平成30(2018)年度には3.4人で,ほぼ5割の規模に減少しており,また,この数字は全図書館職員数の実に4分の1に過ぎません。他方,地方交付税の図書館職員の給与費は正規職員と非正規職員に充当されているものであり,現実に,図書館が果たすべき専門的かつ継続的なサービスや学校,博物館,公民館,研究所など連携活動に支障をきたしています。公立図書館に正規の専門職員をより多く配置できるよう,地方交付税の改善を,要望いたします。

 

1.3 図書館協議会経費の充実

図書館には地域の状況と住民の要望にこたえる運営方針が確立されなければなりません。そのために平成28(2016)年度から,市(区)町村の図書館協議会にも委員報酬費を措置いただきましたこと,感謝申し上げます。全国的には,3分の2の図書館に設置されている図書館協議会経費を引き続き充実していただくよう,要望いたします。

 

1.4 トップランナー方式の非適用

図書館管理費に関し指定管理者制度等導入によるトップランナー方式について,昨年度も導入を見送っていただきありがとうございます。しかし,総務省資料によれば,平成30(2018)年度は平成29(2017)年度までの導入状況の2年目または3年目の見直しを実施中とのことであり,図書館へのトップランナー方式が取りやめになったわけではありません。図書館における指定管理者制度の導入は,専門的業務の存在,地域のニーズへの対応

,持続的・継続的運営の観点から,図書館にはなじまないものです。トップランナー方式を図書館に適用しないでいただきたいことを,要望いたします。

1.5 障害者へのバリアフリー読書対策経費の新設

本年6月21日,障害者差別解消法・マラケシュ条約に対応するために「読書バリアフリー法」が成立しました。これにより,視覚障害者等の読書環境整備の推進に関する国・自治体の責務が明記されました。しかし,公立図書館需用費には,図書費及び給与費等が措置されていますが,従前措置されている需用費では,この新法律の規定を充足する対応はできません。障害者バリアフリー読書対策経費を新設し,視覚障害者・聴覚障害者・その他の障害者のために,視聴覚資料購入費及び読書機器(マルチメディアデイジー等)の経費を,要望いたします。

 

2 学校図書館図書費の高等学校への措置と学校司書配置の改善

 

2.1 高等学校への学校図書館図書費の措置

新聞配備経費について,平成29(2017)年度予算から,小学校及び中学校(平成24(2012)年度から)に加えて,高等学校においても措置されたことを感謝いたします。しかし,初等中等教育課程でより重要度の高い学校図書館図書費については,小学校及び中学校のみであり,高等学校には措置されていません。令和2(2020)年度予算においては,高等学校の学校図書館図書費の措置を,強く要望いたします。

 

2.2 学校司書配置の改善

学校図書館における専門職として学校司書の配置は不可欠です。小学校及び中学校に学校司書の経費が措置されたことは歓迎いたします。平成28(2016)年度文部科学省調査において,小学校・中学校でそれぞれ約60%,高等学校で67%とされています。しかし,すべてが専任(フルタイム)ではなく又複数校兼務の任用が少なくないのが実態です。これは,各地方自治体の努力だけでは解決が難しい課題です。学校図書館法改正から7年目を迎える令和2(2020)年度予算においては,全学校に少なくとも1名の専任の学校司書の配置が可能となる予算措置を,要望いたします。

 

3 会計年度任用職員導入に伴う措置の検討

 

政府においては,令和2(2020)年度より,会計年度任用職員の導入が決められておりますが,この制度の導入により,現行の非常勤職員経費の約1.5倍の予算が必要と考えられます。安定的な職員の確保の観点から,令和2(2020)年度における円滑な導入のために,経済財政諮問会議などで予め十分な予算措置の検討を,切望いたします。

以上


 

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