令和6年9月に能登半島で発生した豪雨について
この度、能登半島地震の被災地にて大雨により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
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日本図書館協会の見解・意見・要望

2018/08/01

平成31年度予算における図書館関係地方交付税について(要望)

図書議員連盟会長、学校図書館議員連盟会長、文部科学大臣、総務大臣宛に提出した。

2018年7月30日

 

公益社団法人日本図書館協会

理事長 森 茜

 

平成31年度予算における図書館関係地方交付税について(要望)

 

常日頃より、図書館振興についてご尽力賜り、感謝いたします。

図書館(公立図書館及び学校図書館)は、現在、政府が進めている人生100年社会の実現のために、地域における生涯学習施設として不可欠で重要な役割を果たしています。

平成28年度に、日本図書館協会公共図書館部会が調査した「「自治体総合計画等における図書館政策の位置づけ」について」によれば、全国各地において地域創生などに図書館の資料や機能を大いに活用している事例が多いことがわかりました。しかしながら、個々の図書館の工夫だけでは難しい課題が資料費と職員体制の確保です。まちの活力を実感できるようになるには継続した図書資料の収集が肝心であり活動する専門職員が必要です。

文部科学省は組織改編によって総合教育政策局を設置する予定です。①学校教育・社会教育を通じた総合的かつ客観的根拠に基づく教育政策を推進、②生涯にわたる学び、地域における学び、「ともに生きる学び」の政策を総合的に推進することを企図した改編とのことですので、生涯学習の中核的施設である図書館振興に中長期的視点を持った財政面での支援をお願いします。

 

1 公立図書館需用費の改善

1.1 地方交付税における基準財政需要額の充実

図書資料等購入費について、日本図書館協会の調査では、予算額で平成10(1998)年度に1館当たり1,399万円だったものが、平成29(2017)年度には853万円で、ほぼ6割の規模に減少しており、市民が必要とする資料の確保ができない状況です。地方交付税における基準財政需要額の充実をぜひお願いします。

 

1.2 公立図書館への正規の専門職員の配置

公立図書館の専任職員の状況は、日本図書館協会の調査では、専任職員数で平成10(1998)年度に1館当たり6.2人だったものが、平成29(2017)年度には3.1人で、ほぼ5割の規模に減少しており、また、この数字は全図書館職員数の実に4分の1に過ぎません。他方、地方交付税の図書館職員の給与費は正規職員と非正規職員に充当されているものであり、現実に、図書館が果たすべき専門的かつ継続的なサービスや学校、博物館、公民館、研究所など連携活動に支障をきたしています。公立図書館に正規の専門職員を配置できるよう、地方交付税の改善を要望します。

 

1.3 図書館協議会経費の充実

図書館には地域の状況と市民の要望にこたえる運営方針が確立されなければなりません。そのために平成28年度から、市(区)町村の図書館協議会にも委員報酬費を措置いただき感謝いたします。全国的には、3分の2の図書館に設置されている図書館協議会経費を引き続き充実していただくようお願いします。

 

1.4 トップランナー方式を導入しないでください

図書館管理費に関し指定管理者制度等導入によるトップランナー方式について、昨年度の導入を見送っていただきありがとうございます。しかし、昨年度作成された総務省資料によればトップランナー方式の検討対象であるが、まだ導入されていない業務として図書館を挙げておられます。図書館における指定管理者制度の導入は、業務の専門性、地域のニーズへの対応、持続的・継続的運営の観点から図書館にはなじまないものです。トップランナー方式を導入しないでください。

 

1.5 障害者へのバリアフリー読書経費の新設

公立図書館需用費には、図書費等および給与費などが措置されています。しかし障害者差別解消法・マラケシュ条約などに対応するためには、従前措置されている需用費では対応できません。障害者バリアフリー読書対策経費を新設し、視覚障害者・聴覚障害者・その他の障害者のために視聴覚資料購入費及びそのための読書機器(マルチメディアデイジー等)の経費を新設して下さい。

 

2 学校図書館図書費の高等学校への措置と学校司書配置の改善

2.1 高等学校への学校図書館図書費の措置

新聞配備経費について、平成29年度予算から、小学校及び中学校(平成24年度から)に加えて、高等学校においても措置されたことは感謝いたします。しかし、初等中等教育課程でより重要度の高い学校図書館図書費については、小学校及び中学校のみであり、高等学校には措置されていません。平成31年度予算においては、ぜひ高等学校にも学校図書館図書費の措置を要望します。

 

2.2 学校司書配置の改善

学校図書館における専門職として学校司書の配置は不可欠です。小学校及び中学校に学校司書の経費が措置されたことは歓迎いたしますが、それは小・中学校等全体のおおむね1.5校に1名程度の配置でしかありません。学校図書館法改正から5年目を迎える平成31年度予算においては、全学校に少なくとも1名の学校司書の配置が可能となる予算措置を要望します。さらに、高等学校には、平成30年度の学校司書予算はまったく措置されていません。各自治体の努力だけでは困難な課題です。平成31年度予算では、高等学校にも学校司書の費用を措置くださるよう、要望いたします。

 

3. 会計年度任用職員導入に伴う措置の検討

政府においては、平成32年度より会計年度任用職員の導入が決められておりますが、この制度の導入により、現行の非常勤職員経費の約1.5倍の予算が必要と考えられます。正規職員給与額が減額されるのでないかとの危惧もあるところであり、安定的な職員の確保の観点から、32年度における円滑な導入のために、経済財政諮問会議などで予め十分な検討を切望します。

 

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