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日本図書館協会の見解・意見・ご要望
2017/10/25
生涯学習政策局から総合教育政策局への組織再編について(要望)
2017年10月19日
文部科学省生涯学習政策局長
常 盤 豊 殿
公益社団法人日本図書館協会
理事長 森 茜
「平成30年度機構・定員要求の主要事項」(平成29年8月)で示されている組織の再編案について、以下の通り要望いたします。
記
平成29年8月付けで公表された「文部科学省平成30年度概算要求(案)」において、「平成30年度機構・定員要求の主要事項」として、「総合的な教育改革を推進するための機能強化イメージ(案)」(平成29年8月時点)が図示され、現行「生涯学習政策局」が「総合教育政策局」へと組織の全的再編案が提示されています。
これによれば、局の名称が、「生涯学習政策局」から「総合教育政策局」に変更され、局の名称から“生涯学習”がなくなり、課レベルでは、「社会教育課」の名前が消えて、従来の社会教育課と青少年課とが統合されて「地域学習推進課」へと組織替えされています。
図書館にかかる施策は、社会教育法の下、生涯学習の振興のための施策の推進体制等に関する法律(生涯学習振興法)及び図書館法に基づいて施行されており、従来、生涯学習と社会教育にかかる施策の総合的な取り組みのための組織として「生涯学習政策局」において、「生涯学習推進課」及び「社会教育課」が並置され、社会教育課によって実施されてきました。しかし、今次組織改正案によると、「社会教育課」がなくなり、従来の社会教育課と青少年教育課が統合されて「地域学習推進課」に再編されています。
社会教育法の下にある社会教育施設の一つである図書館としては、「社会教育課」という名称が消えることにより、図書館がよって立つ法的根拠が所管省庁の組織名から全くなくなり、図書館にかかる施策の後退を招くのではないかとの危惧を抱かざるを得ません。今回の組織改編によって、図書館を含む「社会教育」施策が弱体化するのではないかと、大きな懸念を抱かせるものであります。
今次の局の再編構想においては、従来の生涯学習にかかる施策に加えて、学校教育体系に属するとされる施策をも統合的・総合的に捉えて、人生100年時代の教育課題に応えようとの強い意欲が見受けられ、そのことに敬意を表するものではありますが、それによって、社会教育が疎かになることは断じてあってはなりません。
これらの懸念を払拭し、図書館を含む社会教育施策について、従来にも増して強力に推進することを実現しうる所管官庁の組織再編を強く望みます。
なお、本件概算要求資料には「係名」までの記載はありませんが、具体的施行に当たっては、ぜひとも、「図書館振興係」のような、「図書館」を具体的に表現した”係の編成“を要望します。