令和6年9月に能登半島で発生した豪雨について
この度、能登半島地震の被災地にて大雨により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
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日本図書館協会の見解・意見・要望

2011/04/28

東日本大震災により被災した図書館の復旧、復興のための施策について(要望)

東日本大震災による図書館の被災状況の全容は、いまだ正確に把握できていない。これまでとは比べものにならない規模、内容の被災状況にあることの表れである。公共、学校、大学などすべての館種にわたる被災であるとともに、いわゆる被災地に限らず首都圏の図書館にも及んでいる。
 地震発生後1月半過ぎた現在でも公立図書館に限ってみても、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の各県では355館中70館と約2割が休館中である。建物の損壊、コンピュータなど設備、備品の損傷、書架の転倒、資料の冠水、流出などが著しく、再開の目途も立っていないところが多くある。開館にこぎつけた図書館でも部分的な開館、サービスに止まっている。このような状況は学校図書館や大学図書館でも同様である。
 図書館は求められた資料、情報を確実に提供する役割、機能をもつ機関である。単なる施設ではない。資料、情報は暮らしが困難な状況にある時にこそ必要となる。直面していることがらの解決、実現を図るために図書館がその機能を発揮する必要がある。
 また読書は、困難な生活を送っている人たちの心の癒しとしても必要とされる。
 図書館の早期開館、サービスの実施は、被災地の生活基盤の復旧、復興の基礎的要件であり、それに即した施策の実施を求める。



  1.  政府は、被災地の公共図書館、学校図書館、大学図書館、専門図書館等が早期に復旧、復興し、サービスが実施できるよう職員の配置、予算等の手当てをすること。
    • 激甚災害法など復旧、復興のための関係法令は、それぞれの状況に照応した弾力的な運用をすること。必要とされる場合は改正するほか、新たな法令の策定を行うこと。
    • 図書館の復旧、復興は、自治体や学校法人など図書館の設立母体のみが責任を負うことのないよう、政府が未曾有の事態に応じた特別な支援の施策を実施すること。
    • 施設、設備の経費を措置すること。
    • 資料購入費を特別に措置すること。書籍等の資料は流失、冠水、散逸、損傷などにより、これまで構築してきた資料コレクションが崩されている。基本となる資料を始め改めて構築する必要がある。
    • コンピュータなど情報機器、およびシステム、データ構築の経費を措置すること。
        阪神淡路大震災、中越沖大地震についてみると、旧に復するための臨時的措置は見られたが、その後例えば資料費の減額が続き、被災前の額を下回っているところが少なくない。また職員も減っている。
  2.  政府は、被災地の図書館がサービスを実施できるよう支援すること。また全国の図書館が被災地の図書館への支援を実施できるよう必要な措置を採ること。
    • 被災地からの支援要請を実現するために、具体的な斡旋を行うこと。とりわけ図書館専門職員の派遣について、関係機関への要請、斡旋を行う。
    • 関係団体が行っている支援、斡旋の取組みについて、政府として支援策を採る。
    • 文部科学省のホームページが行っている「東日本大震災子どもの学び支援ポータルサイト」の図書館版を別に設け、支援を求める側、支援する側の双方が迅速に出会えるようにする。
    • 被災地から求められた資料の配送手段の確保、経費等の負担の措置を採ること。
    • 被災地からのレファレンスサービス、情報サービスについての要請に応えることができるよう条件整備を図ること。
  3.  被災地の障害者が必要としている「読む」ための機器を直ちに提供すること。  被災により障害者用資料の再生装置、機器、ルーペなどが流出したため、図書館が提供した資料を「読む」ことができない人たちが少なくない。これらは生活必需品でもあり、直ちに手渡すような措置を求める。
  4.  図書館職員の雇用継続の施策を実施すること。  休館などにより、非常勤・臨時雇用の職員、委託企業からの派遣職員の雇用を中止しているところがある。復旧のためにはその図書館の事情を熟知している要員が特別に必要とされる時期に、また地域の雇用拡大が求められるときに、これは許されるべきことではない。政府に特段の対応を求めたい。
  5.  政府は、被災地の公共図書館、大学図書館、学校図書館、専門図書館等の被災の実態を調査、把握し、公表すること。調査データは、支援、復旧、復興の施策の基礎となるものである。残念ながら政府の被災状況調査には、公共図書館などの社会教育関係機関は無く、また学校、大学の被災状況はあるが、付属している図書館については無い。
  6.  図書館の復興計画策定を支援すること。  図書館の再建、復興にあたっては、これまでの図書館サービスの単なる継続に止まらず、地域の再建、復興計画の一環として未来を見据えた図書館つくりとなるよう支援する。  また被災した県は市町村の公立図書館設置率が低い地域である。震災により、図書館設置の構想をもちながらもそれを断念するところもあると思われる。地域の復興にとって欠かせない機関として、生活圏域に図書館を設置する機運を醸成する施策を求める。
  7.  軽微な被害に止まった図書館において、例えば「節電」を理由に休館を求められる場合もあるようだが、政府は非常時における積極的なサービスをこそ奨励すべきである。
 
以上


 

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