第106回全国図書館大会和歌山大会(オンライン大会) 第7分科会 図書館の自由
テーマ:図書館の自由を日常に活かす
日時:2020年11月20日(金)~11月30日(月)
分科会概要
「図書館の自由に関する宣言」1979年改訂では利用者の秘密を守ることを主文に加え、2019年には「デジタルネットワーク環境における図書館利用のプライバシー保護ガイドライン」を公表しました。図書館の自由委員会ではこれらを図書館サービスに日常的に活かしていくための参考となる解説書の増補を進めています。本分科会では自由委員会の1年の取組を報告し、新型コロナウイルス感染症への対応を考えます。さらに自由宣言解説書の改訂について報告して広く意見交換を行います。
-
基調報告 図書館の自由・この1年
西河内靖泰(図書館の自由委員会委員長)
- 報告(1)新型コロナウイルス感染症と図書館の対応-「図書館の自由」の観点から-
山口真也(図書館の自由委員会委員)
- 報告(2)『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説』の改訂について
熊野清子(図書館の自由委員会副委員長)
- 研究協議 日時:2020年11月28日(土)14時~16時
場所:Zoomミーティング 定員:50人(先着順)
報告資料は以下に掲載しています
研究協議について
『宣言解説』の改訂に関しては、今日的な問題について内容をご理解いただき、広く会員の意見を反映するため、web上で直接意見を交換する場を設けます。
- 研究協議へ参加希望の方は、別途お申込みが必要です。
- 大会参加者は分科会ホームページ(11月20日~30日公開・要ログイン)の「質問・意見・感想はこちら」から意見をお寄せいただけます。
- ログインできない方は、問合・申込先に、ご意見や質問をメールでお寄せください。
- 研究協議に参加しない方も、ご意見や質問をお寄せいただけます。
参加するには
- 申込方法
参加希望者は、メールタイトルを「zoom研究協議参加」とし、本文に「1)お名前、2)所属(任意)、3)メールアドレス」を明記して、次の問合・申込先へ申し込んでください。
折り返しZoomミーティングへの招待メールをお送りします。
申込後3日以上たっても連絡のない場合はご一報ください。
- 必要機材
マイクのついたパソコンかタブレット端末、またはスマートフォンが必要です。
カメラがあれば顔を出すことができます。
- 必要なソフト
Zoomアプリの「zoomミーティング」を使用して開催します。
Zoomアプリを事前にダウンロードしておくこともできます。
Zoomアプリは無料で、参加するだけならアカウントを取得する必要はありません。
- 当日の参加方法
当日の受付開始時間になったら、招待メールにある「Zoomミーティングに参加する」urlをクリックして参加してください。
参加するときは、音声をミュートにしてください。
発言するときは、参加者の「手を挙げる」をクリックし、司会者から指名があってから発言してください。
チャットを利用して意見や感想を参加者に伝えることができます。
問合・申込先
- 日本図書館協会 図書館の自由委員会事務局
メールアドレス:jiyu_at_jla.or.jp (_at_を@に変えてください)
大会ハイライト
第7分科会/図書館の自由 図書館の自由を日常に活かす
(『図書館雑誌』vol.115,no.2より)
本分科会では,基調報告「図書館の自由・この1年」(西河内靖泰・JLA図書館の自由委員会委員長),報告1「新型コロナウイルス感染症と図書館の対応-「図書館の自由」の観点から-」(山口真也・同委員),報告2「『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説』の改訂について」(熊野清子・同副委員長)の三つの報告文を大会サイトに掲載するとともに,Zoom利用による研究協議を11月28日に実施した。
基調報告「図書館の自由・この1年」
この1年間の図書館の自由に関する事例をふりかえり,コロナ禍での図書館の対応として,感染防止対策としての臨時休館と利用制限,来館記録の収集について報告した。また,利用者のプライバシー保護として,防犯カメラの運用をめぐる問題,IFLAとICAがプライバシー法の制定とアーカイブに関する共同声明を発表したことなどを紹介した。さらに,検閲・表現の自由をめぐる動きとして,「あいちトリエンナーレ2019」補助金不交付問題,香港・国家安全維持法(国安法)の施行,日本歴史学協会の公文書の不適切な管理への抗議などを紹介した。
報告1「新型コロナウイルス感染症と図書館の対応-「図書館の自由」の観点から-」
図書館の自由委員会は「COVID-19に向き合う」を公表し,感染対策として来館記録を図書館が収集することについて,プライバシー保護の観点から推奨しないとしている。報告では,来館記録を強制的に収集することの問題点として,来館事実を知られたくない人の利用を抑制すること,追記式の名簿等から来館者の個人情報が流出する恐れがあること,年齢的・身体的・精神的・経済的な理由や社会的差別等により,名前・住所等の申し出が困難な人々の利用が阻害されることを指摘した上で,来館記録の収集状況を図書館サイトから分析して検討事項を示した。具体的には,(1)利用者自身に来館記録を残すよう呼びかけるといった代替手段があること,(2)来館記録の収集が任意であることが説明されていないこと,(3)来館記録を収集することを決定するプロセスにおいて主体的な判断がなされていないように思われること,(4)目的明確化・目的に応じた最低限の範囲での収集・目的外利用の禁止といった個人情報保護のルールに基づかないままに来館記録を収集しているケースがあること,等の問題があることを指摘した。
COVID-19は終息に至っておらず,感染症のパンデミックは今後も起こりうる。図書館の自由の視点から,感染症対策としての来館記録の収集の是非が広く議論される必要性を示した。
報告2「『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説』の改訂について」
解説の改訂文案とこれまでの提案状況を説明して研究協議を行った。
「人権またはプライバシーの侵害」にかかわって,ネット社会の中の部落差別の問題,問題ある表現が電子書籍で差し替えられても気づかないこと,「検閲」については,検閲の主体が変化していること,「インターネットと図書館」では職員の通常業務とフィルタリングの関係,自治体情報セキュリティクラウドでアクセスログの扱いがあいまいなこと,情報源としてのインターネット接続担保の必要性などの指摘があった。
基調報告および報告1に関連して,入館記録の取り扱いについての自由委サイトの文書とJLAの示すガイドラインに齟齬があると受け止められたことについて指摘があった。
(くまの きよこ:JLA図書館の自由委員会)
このページの先頭に戻る