南海トラフ地震への備えについて
 
2024(令和6)年8月8日に日向灘を震源とする地震が発生し、気象庁より南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されましたが、8月15日17時をもって政府としての「特別な注意の呼びかけ」は終了となりました。その後、2025(令和7)年1月13日に同じ地域で地震が発生しましたが、大規模地震が発生する可能性は高まっていないと発表されています。
しかし、南海トラフ沿いの巨大地震発生を想定して図書館災害対策委員会は「図書館で考える南海トラフ地震への備え」に一部追記しました。これを参考にして、引き続き「備え」を継続してください。(2025年1月20日更新)

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令和6年9月に能登半島で発生した豪雨について
この度、能登半島地震の被災地にて大雨により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
saigai★jla.or.jp
(★を半角@に換えてください。)








JLAメールマガジンバックナンバー

2002/10/25

特別号5

======================================================<2002/10/25発信> 
            JLAメールマガジン  特別号5

       ◇◇◇全国図書館大会(群馬大会)特集 ◇◇◇

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■分科会要旨
大会2日目10月24日の分科会について、本日25日に全国図書館大会最終日の全
体会資料として作成された「分科会要旨集」を若干省略して編集したものを速
報します。
全体会の様子やや大会全般についても、続けてお送りする予定です。

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第1・第2分科会  公共図書館 
テーマ:暮らしを豊かに拓く図書館の力
<全体会>
基調講演は赤木かん子氏「本を読むとはどういうことか」。基調報告は糸賀雅
児氏(慶應義塾大学)「公共図書館の今日的課題」。図書館は今までの「文化
教養型施設」から「課題解決型空間」へ、魅力のある図書館づくりを目指して
いかなければならない。
<第1分散会:委託問題>
事例発表にて足立区と江東区の委託の現状についての発表。サービスの低下や
プライバシー保護等を考慮し、職員と非常勤職員が一体となって、民間委託に
向かわないようにしている。基調講演では、山口教授により委託の対応の問題
として現状では委託は違法行為である等7項目があがり、将来どのような図書
館を残していくかを議論していかなければならないとのことだった。
<第2分散会:市町村合併と図書館>
西東京市の事例を中川氏より、合併協議の進行から調整方針を作成し、課題と
問題点を解決していったことが発表された。次に島根県斐川町の白根氏より、
新図書館建設に向けて町と共同歩調で実施している様子が発表された。基調講
演では、大串氏より、まず図書館から声を上げることが必要と助言された。講
演に先だって講師が行った参加者アンケートの結果によって休館日の扱い方や
職員の昇任についての意見交換を行った。
<第3分散会:図書館での新サービス>
根津さよ子氏(浦安市立図書館)からはビジネス支援図書館について、蛭田廣
一氏(小平市中央図書館)からはこどものための地域資料について、二村健氏
(明星大学)からはこれからの図書館像について報告があった。二村氏からは
アメリカの先進図書館の事例も挙げられた。
<第4分散会:著作権と映像資料>
公共図書館への視聴覚資料導入の増加は、幅広い年齢層が図書館を利用する要
因になっている。その一方で資料の収集やトラブルに関して、職員にも、より
深い知識が必要とされてきている。また公共図書館独自の資料としての収集・
上映の基準を確立し、職員が精通していくことが、公共サービスの充実化と著
作権の保護という二面を満たしていくため必要である。
<第5分散会:図書館評価>
事例発表として国立国会の徳原直子氏、山梨県立の外川豊子氏、新里村立の内
田憲治氏、全体のまとめが糸賀雅児氏より行われた。日本でもJIS化される
ISO図書館パフォーマンス指標は図書館の年次の変化を比較し、また、図書
館のサービスを比較するという目的がある。今後はそれぞれの図書館で目標を
みつけ、それにあった評価指標を選び実践していかなければならない。
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第3分科会 大学図書館 
テーマ:大学図書館と図書館-これからの大学図書館のあり方を問う
基調講演では千葉大学の土屋俊教授が大学図書館が取り組むべき課題として
「電子化」「国際化」「資源共有」をキーワードとしてあげ、キャンパス全体
の電子化・ネットワーク化に対応した教育、研究両面での改革、さらにその成
果の社会への還元、といった大学改革の成否は授業との連携、情報リテラシー
教育の実施など大学図書館の積極的な関与が必要不可欠であるとされた。事例
発表はまず、立命館大学総合情報センターの田中康雄氏が、学術情報のデジタ
ル化、図書予算の停滞・減少、アウトソーシングの増大などに迅速に対応する
ため、機構改革、情報システム部門との統合に至った経緯を説明した。
次に、明治大学の飯澤文夫氏は、大学の経営環境の悪化、サービスの一層の高
度化、8大学図書館による「山手線沿線私立大学コンソーシアム」を設立し、
資源共有等による相互協力を推進することでの対応を紹介した。また、群馬大
学の瀧沢憲也氏は、全学生を対象とした「図書館利用評価アンケート」の調査
結果の分析がいかに自己点検・評価、中期目標策定に至ったかの説明した。
午後はパネルディスカッションが行われ、進行中の大学改革に対し、図書館が
自らの立場を把握し、いかに積極的に関わっていくかが今後の課題とされた。
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第4分科会  短大・高専図書館
テーマ:利用者の求める図書館のゆくえ-携帯世代への情報リテラシー-」
午前は合同の全体会で基調講演が行われた。国際基督教大学図書館長の長野由
紀氏から「変化を学習する-新館完成と図書館員の仕事-」との演題で「従来
の紙媒体と電子情報の相乗効果により利用率が増加している。図書館員も変化
を学習し成長することが必要である」とお話があった。次に群馬工業高等専門
学校長の吉澤晴行氏から「図書館の環境」との演題で「従来型の図書館は消滅
する。学校のシンボルとなる様な環境作りが望まれている」と問題提起された。
午後は分散会を実施。短大分散会では図書館員としての立場・教員としての立
場から、情報リテラシー教育の実践報告及び問題提起があった。
高専分散会では司会の三角氏より、分科会テーマの趣旨説明があった。3人の
パネラーの報告は「図書館は利用者によって育てられていく」という共通の結
論だった。高専図書館のこれからについては「教員との共同」でやっていく必
要性を感じた。なお、自由討議の中で、高専生の英語力向上について、茨城高
専での取り組みが紹介された。 
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第5分科会 学校図書館
テーマ:児童・生徒の未来を拓く学校図書館
<全体会>
講義1「学校図書館と情報リテラシー」野末俊比古(青山学院大学文学部)。
学校図書館の現状把握と、今後の展望を探り、情報活用能力の習得・向上の支
援に対して学校や学校図書館が果たす役割や機能を検討。講義2「総合的な学
習のためのブックトーク??」佐藤凉子(NPO図書館の学校)。ブックトーク
の実演で魅了。講義3「子どもが走ってくる学校図書館」赤木かん子(児童文
学研究家)。子どもが走ってくる学校図書館を作るなら行きたいと思う図書館
を考える。
〈第1分散会〉 利用教育・メディアリテラシー教育
中川好幸(同志社国際中学校高等学校)学習情報メディア施設として、生徒が
主体的に取り組む学習の場、さまざまな教科でプロジェクト学習の形態をとり
ながら活動する場として実践報告。木村裕子(長野原町立応桑小学校)「学習
情報センターとしての学校図書館の活用・整備」読書活動の推進に取り組んだ。
〈第2分散会〉 読書活動 
今井ひろ子・岩井靖子(富岡市立一ノ宮小学校)児童の立場を尊重した図書室
経営を努めている。富岡市の市立図書館と連携。渡辺正一(群馬県立伊勢崎東
高等学校)読書習慣作り。読むだけでなく書くことも意識させる。
〈第3分散会〉学校図書館経営 
五十嵐絹子(鶴岡市立朝暘第一小学校)「子どもの生活と学習を豊かにする図
書館づくり」構想を立て、職員・保護者を巻き込みながら図書館づくり。図書
館に常駐する学校司書はコーディネーター的役割を担う存在として組織を支え、
教育改革を進める要と考えている。
高橋知尚(國學院大學久我山中学高等学校)広報活動、朝の読書・学級文庫、
学校内の組織づくりなど兼任の司書教諭としての活動報告。 
〈第4分散会〉須永和之(國學院大学文学部助教授)指導案作成のワークショ
ップ。実際に資料を用い、目的を明らかにして情報を読みとったり、発表の方
法を考えたり、自己評価の方法を参加者全員で考察した。
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第6分科会(専門図書館)  
テーマ:専門図書館からの情報発信
国内の3つの機関とアメリカの5つの大学で取り組まれている先進的な活動が
8つの事例報告として発表された。「専門領域(看護)のデータベースの自館
作成と情報発信」(日本看護協会)DBを作成したのでレファレンスに対する対
応が可能になるなどメッリトは大きい。「ミシガン大学におけるアジア学(日
本学)の周辺史、および資料について」(ミシガン大学)日本国憲法前文のマ
ニュスクリプト"Hussey Paper"は貴重な資料。「最近の情報環境とNCCの動向
について」(ピッツバーグ大学)北米における日本研究資料プロジェクトにつ
いて。「「梶山文庫」と「高沢文庫」:ネットサービスの展開」(ハワイ大学)
二つの特殊文庫のウエブ技術の活用によるサービスの提供。「アジア経済研究
所図書館における多角的情報サービスのあり方」(日本貿易振興会)発展途上
国関係資料のウエブサイトによる情報発信のメッリトと冊子体の通覧性。「北
米における日本語コレクションの運営について」(アリゾナ大学)図書館改編に
よる日本語コレクション運営戦略。「浅田栄次関係資料の発掘:マイクロ化・
電子出版 シカゴ大学開学第一号博士の再評価」(シカゴ大学)日本における
文部省版「英語教科書」の原著者のコレクションのマイクロ化と明細目録の作
成。「IHIの技術センター(図書館)の新設と全社情報サービス体制」(石川
島播磨重工株式会社)豊洲から横浜に移転し新装オープンした情報センターの
サービス活動。
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第7分科会  児童・青少年サービス                    
テーマ:ぐんま発・現在、わたしたちができること~ひとりひとりの笑顔の
ために~
読書活動推進法・乳幼児サービスとしての「ブックスタート」・学校と図書館
との連携、という3つの柱を発表者ひとりひとりが、子どもたちのためにどの
ようなサービスを展開し、そして何ができるかを熱く語る密度の濃い分科会と
なった。そして、自分たちに身近なサービス対象である子どもとヤングアダル
ト世代だけではなく、図書館や本に親しむことのできない世界中の子どもたち
や、障害を持つ子どもたちのことを考えての児童青少年サービス活かせないか
と司会から提案があった。テーマを受けそれぞれの発表者から<現在できるこ
とは何か>メッセージが発信された。
・ ほんものの司書になりましょう
・ すべての子どもに読書の喜びを、笑顔がキーワード
・ 国境や人種を越えたサービスの実施を21世紀は地球市民の時代。
・ 人と人のつながりが大切、違う視点で学びあうことを大切に
・ 多くの部署と連携が大切
・ デジタルではなくアナログで
・ 主役である子どもたちにサービスすること、していることを忘れないよう
に。
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第8分科会  障害者サービス・多文化サービス
日図協会障害者サービス委員会の田中委員長から「障害者サービス、この一年」
という基調報告があり、特に、第三種・第四種郵便制度の存続を求める日本図
書館協会の取り組みについての報告が注目された。浦安市立図書館の藤井さん
からは、図書館を利用できないというハンディキャップを図書館側の障害とし
てとらえ、司書集団として様々な努力をしているさまが生き生きと語られた。
日本図書館協会など三団体が提案した「障害者の情報アクセス権と著作権問題
の解決を求める声明」の実現が重要であることが提起された。「アジア太平洋
障害者の十年最終年」にあたる本年、この声明の実現に向けて次の十年の行動
計画にこの理念を盛り込む必要性が確認された。
<多文化サービスシンポジウム> 深井耀子氏(椙山女学園大学)より海外で
の多文化サービスの実情紹介の後、IFLA多文化サービガイドスライン1998年版
の解説とその日本への適用の方向性についての示唆があり、それを受けた実践
報告が続いた。酒川玲子氏(JLA)からは、児童書の多文化ブックリスト『みん
なで元気に生きよう』の製作についての報告、石田智子氏(大阪市立中央図書
館)からは韓国・朝鮮語データベースの提供事例の報告、糸井昌信氏(大泉町
立図書館長)からは、在住外国人比率14%(全国第一位)の町での図書館サー
ビス提供の事例報告、池田園子氏(福岡市総合図書館)からは、国際都市福岡
における国際資料提供サービスの事例報告である。各報告に共通していたのは
多文化サービスとは何ら特別なものではなく、図書館の基本的な機能である情
報提供サービスの一環であるという姿勢であった。
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第9分科会  図書館の自由  
テーマ:国民の知る自由をめぐる状況と「自由宣言1979年」解説の改訂
山家東地区委員長が、図書館の自由をめぐるこの1年の主要事例の報告を行っ
た。1.船橋市西図書館蔵書廃棄事件、2.柳美里氏の小説「石に泳ぐ魚」の最高
裁判所判決と図書館の閲覧制限、3.東大和市立図書館の閲覧禁止措置取消訴訟
の3件に絞って報告された。船橋市西図書館の事件は、除籍の動機等が明らか
でないことが説明された。「石に泳ぐ魚」は、判決確定後直ちに国立国会図書
館が閲覧制限措置を取り、他の図書館にも波及しているところから、日本図書
館協会が同館に対して、提供制限の必要性はないとの見地から質問書を提出し
ていることが報告された。東大和市立図書館の訴訟については、公共図書館の
憲法上の位置付けを考える上で重要な事例であることが指摘された。
次に、「『メディア規制法』の背景」と題して毎日新聞社社長室委員北村肇氏
が講演した。メディア規制の背景や流れ、法案成立が社会に及ぼす影響、新聞
社等の取り組み等について、事例を紹介しつつわかりやすく説明された。
午後は、『自由宣言』解説の改訂について、図書館の自由委員会試案を紹介し、
参加者からの意見を求めた。自由宣言解説改訂の必要性や、人権またはプライ
バシーを侵害する資料の閲覧制限の問題を中心に、活発な意見交換が行われた。
出席者は35名。マスコミでも大きく報道され、図書館の自由の問題に関する社
会的関心が高まっているにも拘らず、出席者が少なかったことは残念だった。
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第10分科会 著作権
テーマ:著作権をめぐる現状と課題 参加者:95人 
講演1「大学図書館における著作権問題への取組みと今後」酒井清彦氏(国公
私立大学図書館協力委員会著作権問題拡大WG副主査)では、大学図書館にお
けるコピーサービスをめぐる著作権者団体との協議や各大学図書館が抱える著
作権に係る諸問題の解決に向けての動き、著作権分科会WGの審議への取組み
等について、当事者の立場から解説があった後、若干の質疑応答があった。
講演2「不自由さの中の自由 ~現場からの報告~」西尾肇氏(鳥取市民図書
館)では、現場の図書館が直面している著作権問題について具体的な事例を交
えて紹介され、更に、現在の著作権法の改正動向に対する意見が述べられた。
その後、若干の質疑応答があった。
午後のパネルディスカッションは、著作権者側から金原優氏(日本書籍出版協
会副理事長)と中西敦男氏(学術著作権協会常務理事)が、図書館側から酒井
清彦氏と酒川玲子氏(日図協参与)がパネラーとなり、コーディネーターを前
園主計氏(日図協著作権委員会委員長)が勤めた。図書館における著作物の利
用に係る検討経過及び文化審議会著作権分科会報告につき、各々の立場からの
解説があった後、会場からの質疑応答を行った。図書館と著作権に係る最近の
動向についての関心の高さを表すかのように、分科会参加者が多数に上り、パ
ネルでの議論に関係した質問が多く、盛況であった。
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第11分科会 資料保存 
テーマ:進化する図書館のなかで資料保存の原点を考える 参加者:56名
資料保存委員会の委員長から、最近の動向として、文部科学大臣告示に示され
た資料保存、自治体合併に伴う資料の廃棄についての懸念等が話された。
基調報告として、町田市立図書館の守谷信二氏から都立図書館の再編問題の顛
末を話され、永続的資料提供のために保存ネットワークの可能性に言及された。
都立中央図書館の真野節雄氏からは、「防ぐ」をテーマに、都立図書館内に設
置された資料保存委員会の活動や資料保存の取り組みが紹介された。
資料保存機材の木部徹氏からは、資料を劣化させる要因を調べるための「点検
する」項目を8点にわたって話された。
上毛新聞社の安野雅人氏からは、上毛新聞縮刷版のCD-ROM化について、媒体を
「取り替える」事業の経緯とその活用について報告された。
国立公文書館の小原由美子氏からは、資料を治す理由、治さない理由を明確に
することが重要である話され、そのための方策、情報についての紹介があった。
国立情報学研究所の大場秀穂氏からは、国立大学の保存図書館構想について報
告書の紹介があり、保存システムの延長にある「捨てる」問題にも触れられた。
各報告者の補足説明のあと質疑応答、討論に入った。都道府県立と市町村立図
書館の保存分担・資料保存への取り組み、資料保存技術を有する人材の活用、
などについて話し合いを行った。最後にアピールを採択して終了した。
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第12分科会  図書館学教育
テーマ:ネットワーク社会と図書館員の専門性 参加者:73人 
筑波大学・知的コミュニティ基盤研究センター杉本重雄氏が「IT時代の図書館
員に求められる専門性」と題する基調講演を行い、図書館員に求められる専門
性は変わらないものの、情報技術に関係する新たな知識が要請されていること
と、図書館員の専門性は図書館の中だけではなく外ででも通用するものである
こととを指摘した。次に東京大学大学院教育学研究科根本彰氏による、講演
「高度な専門性を支える図書館学教育のあり方」では、図書館学教育における
法令上の問題や日本図書館情報学会の取り組みまで幅広く報告された。三番目
の講演、駿河台大学文化情報学部岸田和明氏の「図書館学を取り巻く情報技術
と図書館学教育」では、情報に関するセンスあるいは原理の把握を可能にする
教育の必要性の指摘、駿河台大学文化情報学部の事例報告が行われ、分化して
いく図書館員の専門性を支えるためには画一的な図書館学教育では不十分にな
りつつあることが指摘された。そして、これまでの講演を元に、講師をパネラ
ーとして、「ネットワーク社会と図書館員の専門性」に関するパネルディスカ
ッションを行った。図書館員の専門性の内訳、司書資格養成のレベル、司書課
程の単位数の問題、法律と資格の関係、現在の図書館員の専門性の程度などに
ついて、フロアの参加者を交えて、活発な議論が行われた。
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第13分科会 出版流通
テーマ: 出版界と図書館界の相互理解のために
最初に基調報告として東村山市立図書館協議会委員でもある出版ニュース社の
清田社長より、一連のベストセラー問題のまとめ、これからの図書館の方向性
について話があった。図書館側には情報公開の必要、批判者側にももっと地元
の図書館と関係を持つ事、図書館と出版界の交流が必要との指摘がされた。
 続いて、出版社2名、書店1名、図書館2名の5名より報告を受けた。共通点
としては、どのように本が選ばれ、読まれているのか等図書館の情報をより公
開する必要があること。一連の批判には多分に感情論的なものがあり、書き手、
送り手、図書館、読者の間の交流の促進をはかる必要があること。公共図書館
のありかたについてあらためて考える事も必要であることが指摘された。また、
出版側としても図書館の増設、資料費削減への歯止めを求める声も聞かれた。
公貸権については他の分科会で論議されているため余り触れなかったが、新古
書店や漫画喫茶とは同列に論じるべきではないとの意見も出された。
フロアーからは、単発の分科会で終わるのではなく、継続的に論議を深めるよ
う協会にも取り組んで欲しいとの意見が出された。図書館や出版界がお互いが
反目しあうのではなく協同することで、読者、利用者の利益とともに出版文化
が発展することを望みたい。
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第14分科会 図書館利用教育                         
テーマ:eラーンニング時代の個人学習支援-ホームページを活用した指導サー
ビスの可能性
貴重講演として上田純美礼氏から「情報産業が描くeラーニング戦略」と題し
て話があり、eラーニングの動向、なぜ人気があるのか、その事例、代表的な
形態などについて説明があった。
事例報告は、東京大学情報基盤センター学の事例として、その組織の機能と役
割等について話があった。日常的に展開される定期講習(隔日・一日三回開催、
定員12名)の頻繁さに驚かされ、出張講習(図書館、研究者、外国人)とい
う積極的な展開を可能にする専門部署の効果性に学ばされた。
午後は、ポスターセッションが7ブロックに分かれ開催された。静岡県立図
書館が行う市民へのIT講習会と自館が持つ特色コレクションを活用したセミ
ナー、東京農工大図書館が行う、地域貢献としての子どもへのIT講習会、京
都精華大学図書館のブロードバンドコンテンツを活用した個別学習事例、横浜
市立大学図書館が行う市民への情報探索ガイダンス、神奈川県立霧が丘高校の
パスファインダーの共有化事例、国立女性教育会館が行う女性職員のためのe
ラーニング事例など、各図書館横断的な事例報告と、報告者との熱心な交流に
今後の利用教育展開に必要な示唆を得られたように強く感じられた。
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