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日本図書館協会の見解・意見・要望

2020/12/22

文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」への意見提出について

      文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し
       (デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」への意見提出について


                                            2020年12月18日
                                       公益社団法人日本図書館協会
                                           理 事 長   小  田  光  宏

(1)総論 (第1章 問題の所在および検討経緯を含む)
 ※意見なし

(2)第2章第1節 入手困難資料へのアクセスの容易化(法第31条第3項関係)

①対応の方向性
 ヒアリングにあたり提出した資料にもあるように、デジタル化資料の利用を希望する利用者が増加しており、また、レファレンス調査に利用するケースも増えています。閲覧に加えて複写の件数も伸びています。新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い、図書館の休館が全国的に行われたことを背景に、デジタル化資料の有用性が改めて認識されたものと思います。よって特に入手困難資料へのアクセスの容易化に向けた議論、制度整備は必要と考えます。

②制度設計等
(ア)補償金の取扱いを含めた全体の方向性
 図書館資料の送信サービスを実現するために法を見直すことについては、図書館サービスの可能性を拡げるものと考えられます。ただし、補償金請求権については、様々なやり方が考えられるため、議論を続けることが必要と考えます。「個々の利用者への送信の実施状況等を踏まえ、幅広い関係者の意見を丁寧に聴きながら、継続的に議論することが望まれる。」(5頁)とされていますが、議論の工程を想定、明示することで制度運用が進むと考えます。

(イ)「絶版等資料」について(中古本の市場との関係を含む)
 絶版等資料とは、絶版等の理由により一般に入手困難な資料であると認識しております。ヒアリングにあたり提出した資料においても述べたとおり、市場で入手が困難になったものだけでなく、もともと出版部数が少ない地域資料、郷土資料、行政資料等が、図書館のデジタルアーカイブの対象として重要です。

(ウ)送信の形態
 IDとパスワードによって利用ができるようにすることは一般に普及している手順であり、利用促進に適当な方法と考えます。送信を受けたものを手元で利用するためには、受信者の管理するデバイス内に保存されることが望ましく、プリントアウトを可能にし、フットプリントなどを施すなど流出防止の配慮も必要と考えます。

(エ)受信者側での複製の取扱い
 調査研究を目的とすることが前提であり、その限りにおいての複製を認める措置が必要と考えます。

(オ)国立国会図書館から送信される入手困難資料に係る公の伝達権の制限
 ※意見なし

(カ)大学図書館・公共図書等が保有する入手困難資料の取扱い
 ※意見なし

(3)第2章第2節:図書館資料の送信サービスの実施(法第31条第1項第1号関係)

①対応の方向性
 ※ここでは意見なし。以下具体的項目へ。

②制度設計等
(ア)正規の電子出版等をはじめとする市場との関係(一部分要件の取扱いを含む)
 一部要件を外す対象資料を明確にし、保護期間が終了したものは無償、保護期間があるものについては、著作権者(この場合、出版社などをみなす、難しい場合は何らかの基金を設定し、供託のような形で)にいわゆる著作権料が還元される仕組みを考えてはどうかと考えます。
 ガイドラインの作成に当たっては、「文化庁の関与の下」(15頁)とあるとおり、実効性のある制度の実現に向けて、当事者間の自主的な協議を尊重しつつも、オブザーバー参加などの方法により、報告書の提言の方向での議論が適切に進むよう、文化庁にも適切に関与していただきたい。その一環として、一部では、電子書籍の代替サービスのような報道があります。そうではなく、これまで図書館が担ってきた複写サービスの延長上にあることを関係者に説明するなど、正確な認識の元で議論が進むような環境整備をお願いしたい。

(イ)送信の形態・データの流出防止措置
 システムによってデータの流失防止措置を取る場合であっても、煩雑な手順によって実際に利用する場合に使い勝手が悪くなることがないよう、また、視覚障害者など暗号化されることで事実上アクセスが難しくなることがないよう設計上の留意点を明記していただきたい。

(ウ)主体となる図書館等の範囲
 資料が集積されている専門的な図書館・資料館・博物館なども対象とする方向を検討していただきたい。

(エ)補償金請求権の付与
 補償金の支払義務者を、事実上利用者とするようにしていただきたい。
 現在の国や自治体の会計制度の下では、利用者に転嫁するということが難しいため、結局、図書館の運営費から、この補償金を支払うということになり、ただでさえ厳しい図書館予算がさらに削られる懸念があります。また、この報告書でも、利用者への転嫁は図書館側の裁量、とされていることから、利用者が補償金分の支払いを拒む動きも懸念されます。
 このため、あくまで補償金は利用者が支払うという構成にするか、制度設計が困難であるならば、形式的には図書館を支払い主体とするものの、補償金は実際には利用者に転嫁することとし、利用者から直接指定団体に支払うようにする、という制度設計にしていただきたい。補償金支払い義務者と事実上の支払者が異なる事例は、私的録音録画補償金制度にもすでにみられるところであり、このような制度設計も可能ではないかと考えます。

(オ)その他
(ⅰ)サービス利用者の登録
 ※妥当 意見なし

(ⅱ)脱法行為の防止
 ※妥当 意見なし

(ⅲ)契約上の義務との関係
 ※妥当 意見なし

(4)第3章:まとめ(関連する諸課題の取扱いを含む)
 小・中・高の学校図書館を第31条の対象となる「図書館等」に追加することを求めます。学校図書館では、第35条の「授業の過程における使用」にあたらない調査研究のための複製を求められることが、多々あります。児童生徒、教職員個人の興味・関心・必要に応じた複製ができるようになることは、授業の枠にとらわれない主体的な学習の支援につながります。また、学校図書館を経由して、公共図書館や大学図書館の所蔵資料の複製依頼を行っても、学校図書館が第31条の「図書館等」にあたらないことを理由に断られるという現状があります。さらに絶版等資料の複製物の提供が可能になります。学校図書館が第31条の「図書館等」に含められれば、学校図書館が行うサービス・活動の幅が広がります。
 また、ヒアリングにあたり提出した資料にあるように、31条図書館に、病院図書館(地域医療支援病院、特定機能病院、臨床研究中核病院は医療法で図書室の設置が義務づけられており、病院内の調査研究の支援を行っている。)等を含めることは、強く要望されています。また、専門図書館(官公庁の設置する図書館、民間 団体、企業の図書館、地方自治体の議会に設けられる議会図書館、各種研究機関等をいう。) において、公共のための複製が認められることは強く要望されています。

(5)その他の事項
 ※意見なし

                                                 以上

(参考)
図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第1回)

ヒアリングに提出した資料

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/toshokan_working_team/r02_01/pdf/92478101_06.pdf

 

 

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