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日本図書館協会の見解・意見・要望

2020/07/30

令和3(2021)年度予算における図書館関係地方交付税について(要望)

文部科学大臣、総務大臣、図書議員連盟会長、学校図書館議員連盟会長宛に提出。

                                            2020(令和2)年7月30日
                                          公益社団法人日本図書館協会
                                              理事長 小田 光宏 
 
               令和3 (2021)年度予算における図書館関係地方交付税について(要望)

 常日頃より、図書館振興についてご尽力賜り、感謝申し上げます。
 地方自治体が所管する図書館(公立図書館及び学校図書館)は、新型コロナウイルス感染症下においても徐々に従前のサービスを工夫しながら再開し、また新たなサービスを検討しているところで、地域における生涯学習施設として不可欠で重要な役割を果たしています。感染症とともに生活するための新たな生活様式を求められる環境下でも図書館はその役割を果たしていかなければなりません。
 しかしながら、個々の図書館の工夫だけでは難しい課題として、資料費と職員体制の確保があります。図書館が生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返すリカレント教育に資するためには、継続した図書館資料の収集と専門職の配置が欠かせません。
 このため生涯学習の中核的施設である図書館振興に中長期的視野を持った財政面での支援を要望する次第です。

1 新型コロナウイルス感染症による新たな生活様式の維持経費
公立図書館や学校図書館では、当面、新型コロナウイルス感染症とともに生活していくための新しい生活様式を維持していく必要があります。当協会でもそのためのガイドラインを「図書館における新型コロナウイルス感染症拡大予防ガイドライン」として、策定しました。その中でも触れている新たに導入が必要な機器や消耗品があります。たとえば非接触型検温機や消毒液の確保、高頻度の接触部位への拭き掃除のための掃除用具、注意喚起の電子式の広報盤、蔵書検索機や閲覧用パソコンのキーボードカバーの予備購入、トイレ内の便座用ペーパーの用意など、従来予算に盛り込んでいない経費を支出することになります。また、図書館への入館が制限される可能性もあることなどから、電子書籍の導入などを検討する図書館も増えてくることが予想されます。このような経費を地方交付税又は補正予算等の予算措置により考慮していただきますようお願いいたします。
 
2 公立図書館関係経費の改善
2.1 地方交付税における基準財政需要額の充実

 図書資料等購入費について、日本図書館協会の調査では、予算額で平成9(1997)年度に1館当たり1,469万円だったものが、令和元(2019)年度には849万円で、6割弱の規模にまで減少しており、住民が必要とする資料の確保ができない状況です。地方交付税における基準財政需要額の充実を、切に要望いたします。

2.2 公立図書館への正規の専門職員の配置
 公立図書館の専任職員の状況は、日本図書館協会の調査では、専任・兼任職員数で平成9(1997)年度に1館当たり6.78人だったものが、令和元(2019)年度には3.32人で、5割弱の規模に減少しており、また、この数字は全図書館職員数の実に4分の1に過ぎません。他方、地方交付税の図書館職員の給与費は正規職員と非正規職員に充当されているものであり、現実に、図書館が果たすべき専門的かつ継続的なサービスや学校、博物館、公民館、研究所などとの連携活動に支障をきたしています。公立図書館に正規の専門職員をより多く配置できるよう、地方交付税の改善を、要望いたします。

2.3 図書館協議会経費の充実
 図書館には地域の状況と住民の要望にこたえる運営方針が確立されなければなりません。そのために平成28(2016)年度から、市(区)町村の図書館協議会にも委員報酬費を措置いただきましたこと、感謝申し上げます。全国的には、3分の2の図書館に設置されている図書館協議会経費を引き続き充実していただくよう、要望いたします。

2.4 トップランナー方式の非適用
 図書館管理費に関し指定管理者制度等導入によるトップランナー方式について、昨年度一昨年度と導入を見送っていただきありがとうございます。図書館における指定管理者制度の導入は、専門的業務の存在、地域のニーズへの対応、持続的・継続的運営の観点から、図書館にはなじまないものです。トップランナー方式を図書館に適用しないでいただきたいことを、要望いたします。

2.5 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る経費の新設
 令和元(2019)年6月にいわゆる「読書バリアフリー法」が成立し、国においては基本的な計画が策定されるところです。この計画では、公立図書館においてアクセシブルな書籍等の充実や、視覚障害者等の円滑な利用のための支援の充実を図ることが示され、さらに関連施策の実施にあたって、国は必要な財源の確保に努めることが明記されています。従前措置されている公立図書館関係経費に加え、各種施策を実施するため、アクセシブルな書籍・電子書籍の充実を図るための図書費の拡充、拡大読書機器、デイジープレイヤー等の読書支援機器の購入費、サピエ図書館の年間運営費、アクセシブルな書籍等を配送するための経費、対面朗読や録音図書製作を行う図書館協力者への謝金、障害者サービス担当職員の人件費、障害者サービスに関する研修に参加するための旅費等の経費の新設を、要望いたします。

3 学校図書館関係費の改善(学校及び特別支援学校への地方交付税措置と学校司書配置の改善)
3.1 学校図書館図書費の措置

 新聞配備経費について、平成29(2017)年度予算から、小学校及び中学校(平成24(2012)年度から)に加えて、高等学校においても措置されたことを感謝いたします。しかし、初等中等教育課程でより重要度の高い学校図書館図書費については、小学校及び中学校のみであり、高等学校には措置されていません。また、学校におけるICT環境整備が進む中で、学校図書館のICT環境が明確に位置付けられる必要があります。令和3(2021)年度予算においては、高等学校の学校図書館図書費の措置とともに、学校図書館のICT環境整備を推進するための予算措置を強く要望いたします。

3.2 特別支援学校の学校図書館の整備
 2.5と同様にいわゆる「読書バリアフリー法」による基本的な計画を実効あるものとするため、整備が遅れている特別支援学校の学校図書館への予算措置をお願いいたします。様々な障害がある児童・生徒の読書環境を学校内に整備するための十分な配慮を要望いたします。

3.3 学校司書配置の改善
 学校図書館における専門職として学校司書の配置は不可欠です。小学校及び中学校に学校司書の経費が措置されたことは歓迎いたします。平成28(2016)年度文部科学省調査において、小学校・中学校でそれぞれ約60%、高等学校で67%と配置されています。しかし、すべてが専任(フルタイム)ではなく又複数校兼務の任用が少なくないのが実態です。これは、各地方自治体の努力だけでは解決が難しい課題です。学校図書館法改正から8年目を迎える令和3(2021)年度予算においては、全学校に少なくとも1名の専任の学校司書の配置が可能となる予算措置を、要望いたします。

4 会計年度任用職員導入に伴う措置の検討
 令和2(2020)年度より、会計年度任用職員制度が導入されておりますが、適正な任用や勤務条件の確保とともに、この制度による安定的な職員の確保の観点から、令和3(2021)年度の十分な予算措置を、要望いたします。
                                                                     以上

 

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