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日本図書館協会の見解・意見・要望

2020/05/13

「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(案)」への意見

「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する

基本的な計画(案)」への意見提出について

 

2020年5月12日

公益社団法人日本図書館協会

理事長 小田光宏

 

意見1

総括的な意見
 公益社団法人日本図書館協会は、この「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」により、情報入手に困難のあるあらゆる人たちの読書環境・情報利用環境が改善されることを期待しています。その実現のためには、この計画の具体的な数値目標とその評価を定期的に行っていく必要があります。具体的な数値を含めて、今後の関係者協議会等での検討を期待するとともに、計画の実現に向けた取組に積極的に協力していきたいと思います。

 

意見2

Ⅰ はじめに 2.基本計画について (1)位置付け 3p
  視覚障害者等の読書環境の整備については、従来、点字図書館等の福祉で行うべき、公共図書館などの教育で行うべきなどの意見があり、さらには出版社の果たすべき役割は何なのかという問題もあり、その責任や方法があいまいでした。読書バリアフリー法は、それらを整理し、ネットワークを活用してそれぞれの力を連携協力することにより日本全体で行うべきとしていることを高く評価します。
  具体的には、この「基本的な計画」の策定を「文部科学大臣及び厚生労働大臣」が行うべきとしたうえで、さらに策定に当たっては「あらかじめ、「経済産業大臣、総務大臣その他の関係行政機関の長に協議すること」としていることや、この基本計画を策定する関係者協議会の構成員も障害当事者を含むさまざまな関係者であることからもわかります。
 

意見3

Ⅰ はじめに、3.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題  6p
 『「借りる」に関しては、点字図書館と3~4割程度の公立図書館が、ボランティア・図書館協力者等の協力を得つつ、アクセシブルな書籍等の製作に取り組むとともに、窓口貸出・郵送貸出・宅配サービス・施設入所者へのサービス等の障害者サービスを必要に応じて展開して・・・。』とありますが、「3~4割程度」が何を指すのか明確でないうえに、その数字の妥当性に疑問があります。
 アクセシブルな書籍等を制作している図書館の割合を指すのであれば、実際には1割にも満たない状況です。また、障害者サービスを実施している図書館の割合であれば、国立国会図書館が2017年に行った実態調査では、一定水準以上の障害者サービスを実施している図書館は2割以下となっています。確認のうえ誤解を与えない表記をお願いします。
 

意見4

Ⅰ はじめに、3.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題 6p
 注記11の障害者サービスの用語説明が以下のようになっていますが、十分ではありません。11 図書館利用に障害のある人が図書館を利用する際に、来館・移動のための支援や、物理的環境への配慮、意思疎通への配慮を行う等、障壁となるものを取り除いて図書館を使えるようにするサービスのこと。
 
 修正案
  11 図書館利用に障害のある人に対して、録音図書などのアクセシブルな書籍・電子書籍の提供や対面朗読を行うと共に、図書館利用の際の、来館・移動のための支援や、物理的環境への配慮、意思疎通への配慮を行う等、障壁となるものを取り除いて図書館を使えるようにするサービスのこと。
 

意見5

Ⅲ 施策の方向性 1.視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係)
                                                                                 11p

(2)の二つ目の「・」
  学校図書館の整備においては、小学校・中学校・高等学校等の学校図書館に比べて、特別支援学校の学校図書館は整備が遅れています。特別支援学校の学校図書館に関する記述を加えて欲しい。文末に「その際、整備が遅れている特別支援学校の支援体制についても配慮する。」を加えていただきたい。

 

参考資料

文部科学省 平成28年度「学校図書館の現状に関する調査」

司書教諭の配置状況

特別支援学校(小学部・中学部・高等部) 12学級以上 89~93% 11学級以下 24~29%

小学校・中学校・高等学校               12学級以上 96~99% 11学級以下 29~36%

学校司書の配置状況 小学部9.1% 中学部6.5% 高等部10.6%

                    小学校59.2% 中学校58.2% 高等学校66.6%

1校あたりの蔵書冊数(平成27年度末)

                    小学部1,943冊 中学部1,516冊 高等部1,771冊

                    小学校8,920冊 中学校10,784冊 高等学校23,794冊
 

                         

意見6

Ⅲ 施策の方向性、1.視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係)
                                                                                12p

  アクセシブルな書籍等を視覚障害者等に提供する方法として郵送貸出は大変重要です。
 現実に、公立図書館・点字図書館等では盛んに行われています。しかし、「点字は誰に送っても無料」であるものの、「録音資料は重度の視覚障害者以外には無料で送ることができない」という現状があり、サービスの進展を拒む要因の一つになっています。
 民間事業者である日本郵便に無料の郵便を拡大することを依頼するのは難しいことは理解していますが、それ以外の方法も含め、肢体不自由、寝たきり状態、特別支援学校などの来館が困難な視覚障害者等のために、無料で配送ができるようにするための制度を工夫していただきたい。

以下の項目の追加をお願いします。
 (3)提供方法の充実
  肢体不自由、寝たきり状態、特別支援学校に在学している等の理由で図書館への来館が困難な視覚障害者等に、必要とするアクセシブルな書籍等が無料で配送できるようにするための方法を検討し、なるべく早い実施に努める。
 

意見7

Ⅲ 施策の方向性、4.アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(第12条関係) 15p

(4)その他
 「・音声読み上げ機能(TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスについて、関係団体の協力を得つつ図書館における適切な基準の整理等を行い、図書館への導入を支援する。」
  この項目は、アクセシブルな電子書籍を図書館に積極的に導入しようとするもので、高く評価します。図書館が購入し無料で提供することにより、真に「買いたい人は個人で購入する」「借りたい人は図書館から借りる」ことが実現することを期待します。
 

意見8

Ⅲ 施策の方向性 6.端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、ICTの習得支援 16p(第14条・第15条関係)
  視覚障害者等がアクセシブルな電子書籍などを利用するためには、再生機器の入手とその利用方法の習得が必須です。現状では福祉の日常生活用具給付制度がありデイジー再生機などを割引で購入できます。しかし、その利用対象者が限られており、また再給付を受けるまでに定まった年限があり、必要な人に必要な機器が給付される制度になっていません。その問題について、基本計画でも以下のように記されていますが、自治体関係者に現状の制度のままで良いと誤解されることのないように、さらなる制度の充実を求める表現に修正をお願いしたい。

「③ 地方公共団体による、アクセシブルな電子書籍等を利用するための点字ディスプレイ、デイジープレイヤー等の端末機器等の給付を行う。」
 

意見9

Ⅲ 施策の方向性 6.端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、ICTの習得支援 16p(第14条・第15条関係)
  学校図書館におけるICT環境整備について言及して欲しい。学校におけるICT環境整備が進む中で、学校図書館のICT環境整備が明確に位置付けられるよう文末に「その際、学校図書館におけるICT環境整備についても留意する。」を加えることをお願いしたい。 

参考資料

文部科学省 平成28年度「学校図書館の現状に関する調査」

学校図書館内に児童生徒が、検索・インターネットによる情報収集に活用できる情報メディア機器が整備されている。

小学部9.7% 中学部10.7% 高等部10.6%

小学校10.6% 中学校12.5% 高等学校47.6%

 

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