日本図書館協会の見解・意見・要望

2013/11/13

「学校図書館法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」に対する要望(衆議院法制局に提出)

平成25年11月7日

「学校図書館法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」に対する要望

社団法人日本図書館協会
理事長 森 茜


  日本図書館協会は、日本の図書館を代表する全国組織として、図書館の成長・発展に寄与する活動を行っています。日本図書館協会学校図書館部会は、学校図書館の意義・役割及び学校図書館員の専門性を研究し、専任の学校図書館専門職員制度の実現をめざしています。学校図書館には、児童生徒や教職員が必要としている資料・情報を的確に、迅速に提供することにより、学校の教育課程に寄与し、児童生徒の読書活動を支え、主体的に学ぶ力を育むという役割があります。
  現在、文部科学省も明らかにしているように、厳しい地方財政のなか、学校司書を配置する自治体は一貫して増加しています。この背景には、近年の全国各地の保護者や住民による働きかけと、自治体の努力があります。学校司書が配置された学校では、教諭と学校司書がお互いの専門性を活かし、豊かな授業を展開しています。
  このような折、衆議院法制局より、下記の「学校図書館法の一部を改正する法律案(仮称)骨子案」が示されました。

 一 学校司書
1 学校には、司書教諭のほか、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進を図るため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(2において「学校司書」という。)を置くよう努めなければならないこと。
2 国及び地方公共団体は、学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。
二 施行期日
この法律は、〇〇〇から施行すること


  今回示された骨子案の内容は、学校司書の位置づけが曖昧であり、真に学校図書館の充実につながるのか、の懸念があります。そのため、以下の点について要望します。

○要望
1)学校司書を「専門的職務を掌る」位置づけにする

学校司書も専門的職務を担う位置づけとし、各自治体のこれまでの施策がより良く発展していけるよう、学校司書の専門性の明確化をおこなってください。
「専ら学校図書館の職務に従事する」ではなく、「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、学校司書を置かなければならない」としてください。

2)学校司書を有資格の職員とし、教職員とともに児童生徒の教育にあたることができるようにする
現行法では、学校司書独自の資格は存在しません。そのため、図書館法にある司書又は司書補の有資格者を採用している自治体が数多くあります。この実態をふまえ、当面こうした資格を有する者を職員として配置し、さらに学校図書館に働くために必要な学校教育に関する内容を含む研修を実施してください。

3)専任の職員を1校1名以上、学校に必置とする

自治体に対し「置くよう努めなければならない」ではなく、「置かなければならない」としてください。

4)正規職員とする
児童・生徒一人ひとりの読書や学びを保障する学校図書館をつくるには、中長期的なとりくみが必要です。そのため、教職員の一員として継続した勤務と研修が保障されるよう、正規職員であることが確実な内容にしてください。

○理由
1 学校司書の専門職員としての位置づけが曖昧である

学校図書館が図書館として機能するためには、資料の収集・組織化などの基盤整備の上に、日常的に図書館サービスがあることが不可欠です。学校司書は、的確な資料・情報の提供によって児童・生徒の学びを支え、教師をサポートし、教師や司書教諭と協同して授業への支援を行います。
今回の改正案の財源は、使途が限定されない普通交付税の活用が前提となっており、新たな財源措置はないと聞いています。現在の全国の学校司書配置状況をみるにつけ、このままでは学校司書の雇用が非正規職員になる可能性が高く、継続性と専門性について何も保障されない形での学校司書配置が全国に広がってしまうことを強く危惧します。
2 資格が明確になっていない
学校司書配置を行う自治体が増えているとはいえ、何ら資格を問うことなく配置している自治体も数多くあります。このような配置形態が増える可能性が懸念されます。これでは、学校の教職員の一員としての位置づけが不明確となり、せっかく配置されても十分な職務を果たすことができません。
3 全校配置にならない
骨子案では、「置くよう努めなければならない」とあり、「必置」ではありません。教育の機会均等の観点からも再検討が必要です。

今回の骨子案には、理由としてあげた上記の問題点が考えられます。真に学校図書館を充実するものとするために、議論をつくし、改正の成案に上記の要望が取り入れられることを切に望みます。

以上
 

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