日本図書館協会の見解・意見・要望

2013/04/17

「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の障害者サービス関連項目について(見解)

             2013年4月10日

「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の障害者サービス関連項目について(見解) 

                       日本図書館協会

2012年12月19日に図書館法第7条の2に規定する「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」が告示された。2008年の図書館法改正以後、かなりの時間が経過したが、図書館事業の現況を踏まえ、各方面の意見に丹念に応える作業を経て告示に至ったことを歓迎する。
しかしながら、今回告示された基準の中で、障害者サービス関連項目において、昨年8月の改正原案(パブリックコメント時の案)をさらに修正されたことにより、異議が生じている。具体的には、「対面朗読」が、今まで図書館現場で使われていない「図書館資料等の代読サービス」に置き換えられた点である。
図書館の障害者サービスは、「図書館利用に障害のある人々へのサービス」であり、その目的は「すべての人にすべての図書館サービスを提供すること」にある。これは図書館が行うべき基本的なサービスである。その中心的なサービス方法である対面朗読は,視覚に支障のある障害者を含むあらゆる人が図書館を利用できるように始められたものであり、図書館の蔵書だけでなく、蔵書でカバーできない場合には利用者の持ち込み資料も対象にして実績を積み重ねてきたサービスである。
他方、代読サービスは、「読み書き(代読・代筆)情報支援サービス」と言われるもので、対面朗読に代わる言葉ではない。
いうまでもなく、望ましい基準は、国の図書館政策や目指すべき方向を示す重要かつ基本的な基準であり、そのような重要な文書が、誤解を招くような表現に修正されたことに危惧を持つものである。さらに、図書館の障害者サービスの理念や目的等が誤って 認識されてしまう恐れを感じるとともに、長年培われてきた障害者サービスが損なわれることを懸念するものである。

以上のことから、日本図書館協会は当該事項を以下のように確認する。

(1)障害者サービスは、すべての人に図書館利用を保障するための、図書館が行うべき基礎的なサービスである。
(2)対面朗読は、閲覧サービスを障害者・高齢者を含むすべての人に保障しようとするものであるため、音訳の対象となる資料は図書館資料を中心とするものである。
(3)「図書館資料等の代読サービス」とは、障害者・高齢者等への基本的なサービスの一つである従来の「対面朗読」と、さらに「読み書き(代読・代筆)情報支援」の双方を指すものと考えられる。
(4)図書館は基本となる対面朗読サービスの実施に努めること。また、読み書き情報支援を図書館で実施することについては、多様な意見があるので、今後さらに社会全体としてそのあり方や方法を検討すべきである。
以 上


<参考>
パブリックコメント時(2012年8月22日)の改正案と告示された基準との違い
(該当部分のみ抜粋)
第二 公立図書館
一 市町村立図書館
3 図書館サービス
(四) 利用者に対応したサービス
市町村立図書館は、多様な利用者及び住民の利用を促進するため、関係機関・団体と連携を図りながら、次に掲げる事項その他の図書館サービスの充実に努めるものとする。
(パブリックコメント時の改正案)
イ(高齢者に対するサービス)大活字本、録音資料等の整備・提供、図書館利用の際の介助、対面朗読、宅配サービスの実施
ウ(障害者に対するサービス)点字資料、録音資料、手話や字幕入りの映像資料等の整備・提供、手話・筆談等によるコミュニケーションの確保、図書館利用の際の介助、対面朗読、宅配サービスの実施
(今回告示された基準)
イ(高齢者に対するサービス)大活字本、録音資料等の整備・提供、図書館利用の際の介助、図書館資料等の代読サービスの実施
ウ(障害者に対するサービス)点字資料、大活字本、録音資料、手話や字幕入りの映像資料等の整備・提供、手話・筆談等によるコミュニケーションの確保、図書館利用の際の介助、図書館資料等の代読サービスの実施

 

一覧

トップに戻る
公益社団法人日本図書館協会
〒104-0033 東京都中央区新川1-11-14
TEL:03-3523-0811 FAX:03-3523-0841