令和6(2024)年能登半島地震について

この度、地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。
被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
saigai★jla.or.jp
(★を半角@に換えてください。)








COVID-19に向き合う

「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」改定を受けて図書館の再開を検討するために
来館記録の収集は推奨しません。
では、どうすればよいのだろう
新型コロナウイルス感染症と図書館の対応-「図書館の自由」の観点から-
日本図書館協会の対応(お知らせより)

「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」改定を受けて図書館の再開を検討するために

2020/05/05発信,2020/07/29最終更新

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の5月31日までの延長が決まりましたが、5月4日に改定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000633503.pdf 5月25日変更)では「博物館、美術館、図書館などについては、住民の健康的な生活を維持するため、感染リスクも踏まえた上で、人が密集しないことなど感染防止策を講じることを前提に開放することなどが考えられる。」とされました。

IFLAのホームページでは、図書館再開のための指針が公開されており、今後、図書館再開に向けて各自治体が行動計画を立てる際に参考になりま。

IFLAでは、「COVID-19と世界の図書館界」(COVID-19 and the Global Library Field https://www.ifla.org/covid-19-and-libraries)を開設して、継続的に情報を発信しています。これは 新たな状況に合わせて頻繁に更新されています。
次の項目立てで、新型コロナウィルスの情報、世界の図書館の動向、感染の段階に応じたサービスの提供のあり方、図書館再開に向けての対策などが説明されています。

  • COVID-19とその広がりについて
  • 世界各国の図書館閉鎖
  • 制限へのさまざまなアプローチの管理
  • 自宅や職場での安全確保
  • リモートでのサービス提供
  • リモートワークの管理
  • 図書館リソースの再配置
  • 図書館の再開  
  • 協会、国立図書館、図書館パートナーの活動
  • 異なる言語でのユーザーとのコミュニケーション
  • 進行中の課題
  • IFLAの活動

「図書館の再開」(Reopening Libraries https://www.ifla.org/covid-19-and-libraries#reopening) の項目では、図書館内の利用者数を制限する、そのために発券システムを使う、距離をとる方法、衛生管理の徹底、スタッフの安全確保など各国の対策を紹介しています。
現在(2020年5月5日更新)のホームページでは、フランスとドイツの図書館を再開するためのガイドラインをIFLAが英訳したファイルを参照することができます。

全体として、図書館は段階的に安全を確保したサービスのみ再開するよう助言し、急いで物理的な建物を再開することには警告を発しています。

英文:JLA IFC Facing COVID-19(PDFファイル321KB)

(付記)

「COVID-19と世界の図書館界」の抄訳が「コロナウイルスの感染拡大への対応における図書館のための重要な情報源」(5月1日現在の日本語訳)(https://docs.google.com/document/d/1ahM1nc674qbDzCc28HXUk6eplqfNHQK_MlXQMksAnBA/edit#)として翻訳協力者よしもと(カーリル)さんほかにより公開されています。

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来館記録の収集は推奨しません。

2020/05/10発信,最終更新2020/08/22

3月に、一部の施設で感染防止対策として新たに来館記録(入館記録)を収集する措置が行われていることが報道されています。図書館の利用事実を記録するような対策を講じることは、図書館利用のプライバシー保護の観点から図書館の自由委員会としては推奨しておりません。
地域の状況に応じて、どうしても来館者の記録が必要なときは、利用者への通知、外部機関(保健所等)への提供方法、管理方法、保存期限などプライバシー保護について明確な取り扱いを決めることが必要です。


来館記録の効果は認められるか?

感染者の行動調査から図書館への立ち寄りが判明したとしても、その感染者と同時刻に来館した利用者は「濃厚接触者」に該当するでしょうか。
国立感染症研究所の「濃厚接触者」の定義では、「1メートル以内かつ15分以上の接触」と定められています。
(国立感染症研究所感染症疫学センター:積極的疫学調査実施要領における濃厚接触者の定義変更等に関するQ&A(2020年4月22日)https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/9582-2019-ncov-02-qa.html, 2020.5.10アクセス)(https://archive.is/ZmRqd
書店のアルバイト従業員が感染した事例では、3時間という短時間勤務のため、保健所から、同僚や客は濃厚接触者に当たらない旨の連絡を受けていたことが報じられています。
(京都新聞2020年3月16日22:26 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/188655,2020.5.10アクセス)(https://archive.is/uduS2

また、多くの図書館では感染防止のために、滞在時間短縮、マスクの着用、手指の消毒、ソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保を利用者に求めています。こうした点を考慮すると、感染者と同時刻に来館した利用者、またはその時間帯にカウンターで対応した職員がすぐに濃厚接触者と認定されることは少ないのではないでしょうか。
なお、今後、図書館サービスが徐々に拡大され、閲覧席の利用を許可するようになった場合でも、1~2メートルの距離を置いて席に着いてもらう、向かい合わせの席を廃止する、パーテーションを設置するなどの対策をとれば、利用者同士が濃厚接触者となることを回避できるでしょう。


来館者に感染者が出た場合、どう対応するか?

来館記録を取らない場合でも、図書館にはその他の利用記録が一時的に残っている場合があります。そして、その記録についても、感染拡大防止のために活用すべきかどうか、外部から求められたらどうするか、という問題が生じる可能性があります。
例えば、感染者の立ち寄り情報が保健所等の外部機関から図書館へ寄せられた場合、その感染者が本を借りていたならば、同じ時間帯に本を借りている利用者を来館者として特定することができます。上述のように、同時刻に図書館を利用していただけでは濃厚接触者には該当しないと思われますが、保健所等からその情報の提供を強く求められたらどうするべきでしょうか。
『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説 第2版』では、来館事実も利用者のプライバシーとして保護することを求めています(「利用事実」(p.37~)参照)。まずは外部機関に対してこの理念をしっかりと説明し、データを直接渡すことは避け、図書館から同時刻の来館者へ連絡する等の対応をとるようにしましょう。図書館のホームページやツイッター等で呼びかけることもできるでしょう。また、そうした場合に備えて、対応方針を明確にしておくことも求められます。
なお、感染者の図書館利用が判明したときは、保健所等からの情報をふまえて、利用者が立ち寄ったかもしれない場所を消毒したり、(記録が残っていれば)使った(借りた)資料を消毒、一定期間利用禁止にするといった対策を行うことで、図書館が感染拡大防止に協力することも可能です。


通常は行っていない来館記録を収集するときは?

個人情報保護条例に基づき個人情報保護審議会に諮り、収集目的と来館記録の保存期間や管理方法、外部機関への提供方法をきちんと定める必要があることがまず確認しておきたいことです。具体的には次の作業を行うことが求められます。
1.個人情報保護条例に基づき個人情報保護審議会に諮ること
2.国や自治体の法令、方針、指示や協力要請等の根拠を示して収集目的を明確化すること
3.収集した情報の保存期間・管理方法の事前の決定と速やかな廃棄のルール作り

再開にあたって、サービスを一部制限したり、来館記録を収集せざるを得ないときは、根拠に基づき必要最小限であること、そしてきちんと利用者に説明することが求められます。地域での感染の広がりをふまえつつ、住民の生命や健康の危機が緊急に懸念される状況にあるのかどうか、しっかりと検討しましょう。

(アーカイブurlを付加しました。最終更新2020/08/22)

英文:JLA IFC We do not recommend collecting visitor records(PDFファイル250KB)

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では、どうすればよいのだろう

2020/08/22発信

まずは基本的な感染対策

そもそも、図書館がクラスターを発生させないためには、「三つの密」を徹底的に避ける、「人と人との距離の確保」「マスクの着用」「手洗いなどの手指衛生」などの基本的な感染対策が大前提です。
図書館利用者へのお願いと図書館の感染予防対策を、わかりやすいポスターなどで示している図書館がたくさんあります。以下はその一例です。
・新宿区立図書館「利用者の皆様へのお願い」
 https://www.library.shinjuku.tokyo.jp/lib/newsfiles/libimg1590715830.pdf
https://web.archive.org/web/20200819013007/https://www.library.shinjuku.tokyo.jp/lib/newsfiles/libimg1590715830.pdf
・新宿区立図書館「図書館での感染予防対策」
 https://www.library.shinjuku.tokyo.jp/lib/newsfiles/libimg1590715814.pdf
https://web.archive.org/web/20200819013106/https://www.library.shinjuku.tokyo.jp/lib/newsfiles/libimg1590715814.pdf
・伊那市立図書館(長野県)「新型コロナウイルス感染防止対策」
 http://www.inacity.jp/shisetsu/library_museum/ina_library/tosyokanosirase/174bok200407.html
・豊橋市図書館(愛知県)「ご利用の皆様へのお願い」
 http://www.library.toyohashi.aichi.jp/index.php?key=jopfzlm54-379#_379
https://archive.is/Yh5oz

図書館利用者へマナーを呼びかけるポスターを無料提供しているところもあります。
・ポプラ社「【書店・図書館支援】 やさしい言葉で感染予防を呼びかける「#ねずみくんのおもいやり。ポスター」全国3万校の小中学校に配布&無料ダウンロード!」
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000194.000031579.html
https://archive.is/fhoD1
・カーリル「Stay at home… Keep reading!」と「手を洗おう」
 https://blog.calil.jp/2020/05/covid-poster.html 
https://archive.is/GZ24L
・DRESSERS【ダウンロード無料】図書館での新型コロナ対策マナーポスター『LIBRARY編』をデザインしました<第五弾> 
 https://dressers.work/apps/note/?p=415
https://archive.is/h6EBK


図書館資料による接触感染を防ぐには

資料との接触による感染拡大リスクは充分に解明されていませんが、資料保存委員会は2020年7月6日に次の文書を公表しました。
・「図書館資料の取り扱い(新型コロナウイルス感染防止対策)について-人と資料を守るために-」2021 年 3 月1日改訂
 http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/iinkai/hozon/改訂見解020210301.pdf
「資料を介した新型コロナウイルス感染を防ぐ最も効果的な対策は、資料利用前後の手洗い・手指の消毒と、利用された資料の一定時間の隔離だと考えます。利用後の資料を一定時間「隔離」することは、時間の経過を待つだけなので安全であり、資料に与える影響もありません。保管場所さえあればコストも発生しませんので非常に現実的で効果的な方法です。
しかし、利用の多い資料で、その隔離の「時間」が待てないような場合は、資料の利用前後の手洗い・手指の消毒を徹底することがより重要になります。」と述べています。

ポスターなども使って手洗いを呼びかけるといいですね。
埼玉県立図書館では「手を洗おう」ポスターで資料を利用する前後の手洗いを呼びかけています。
・埼玉県立図書館「手を洗おう」
 https://twitter.com/saitamaken_lib/status/1264008014794592256
 (https://archive.is/YxC4A

出版社が提供してくれるポスターもあります。
・福音館「オニのサラリーマン」手洗いポスター公開中!
 https://www.fukuinkan.co.jp/detail_contents/?id=106
https://archive.is/coXhX
・福音館「バルバルさん」手洗いポスター&手洗い歌シート公開中!
 https://www.fukuinkan.co.jp/detail_contents/?id=107
https://archive.is/3KV73


来館記録を収集しない宣言!

約1000の自治体では来館記録を収集をしていません。図書館が来館者の記録を保有するのではなく、来館者自身による行動の記録を推奨してはいかがでしょう。国による接触確認アプリや自治体ごとのコロナお知らせシステムの活用を利用者に呼びかけることも考えられます。

鎌倉市(神奈川県)や府中市(東京都)は、プライバシーを守ることを明示して来館記録を収集しないことを宣言しています。
・鎌倉市図書館(神奈川県)
 https://lib.city.kamakura.kanagawa.jp/opw/OPW/OPWNEWS.CSP?PID=OPWNEWSLIST&DB=LIB&MODE=1&LIB=&TKAN=&CLASS=&IDNO=100720
https://archive.is/20lvO
「引き続き、鎌倉市図書館では、皆さまの安全を守るため、感染症対策をとってサービスを行います。
利用者の方のプライバシーを守り、自由に利用していただけるよう、来館記録を求めたり、管理したりしません。必要な方はご自分で行動を記録していただくよう、お願いいたします。感染された方が鎌倉市図書館を利用していたことが判明した場合、図書館のホームページ、館内掲示等で「何月何日何時頃、感染された方が鎌倉市○○図書館を利用された」事実のみを発表し、個別にお知らせはしません。ご理解とご協力をお願いいたします。」

・府中市立図書館(東京都)「新型コロナウイルス感染症対策とご協力のお願い」 
 https://library.city.fuchu.tokyo.jp/corona_20200804.pdf
https://web.archive.org/web/20200817045004/https://library.city.fuchu.tokyo.jp/corona_20200804.pdf
「府中市立図書館では、利用者の方のプライバシーを守り、安心してご利用していただけるよう、来館記録表等の記入は求めておりません。必要な方はご自身で行動を記録していただくよう、お願いいたします。
また、感染された方が府中市立図書館を利用していたことが判明した場合は、図書館のホームページ、館内掲示等でお知らせいたします。ご理解とご協力をお願いいたします。」

狭山市(埼玉県)、上尾市(埼玉県)など多くの図書館が、利用者自身による行動記録を推奨しています。
・狭山市立図書館(埼玉県)
 https://sayamalib.jp/event/?id=110
https://archive.is/yWPnF
「来館時にご注意いただきたいこと
皆さまの安全確保のため、ご自身による来館日時の記録をお願いします。」

・上尾市図書館(埼玉県)
 https://www.city.ageo.lg.jp/site/library/071120062501.html
https://archive.is/Cp1Y8
「ご利用にあたってのお願い
皆様が安心してご利用いただけるよう、以下のルールをお守りください。
感染拡大防止のため、来館者の皆さまの情報が必要となる場合があります。来館日時の把握・記録をお願いします。」

綾瀬市(神奈川県)や海老名市(神奈川県)などは、利用者自身による行動記録に加えて、県域のコロナお知らせシステムの利用を呼びかけています。
・綾瀬市立図書館(神奈川県)
 https://www.ayaselib.jp/news/200302.html
https://archive.is/JdcdS
「ご来館にあたりお願い
入館記録として、入館時に「来館記録用紙」をお渡します。2週間程度「来館記録用紙」は保管するようお願いします。 神奈川県の「LINEコロナお知らせシステム」に、図書館本館と各図書室を登録しております。ご活用ください。」

・海老名市立図書館(神奈川県)
 https://ebina.city-library.jp/ja/info_page/3151
https://archive.is/5NusA
「入館の際は
来館日時はご自身で記録をしてください。なお、ご心配で図書館側での記録を希望される際は、スタッフまでお知らせください。/また、本図書館は「LINEコロナお知らせシステム」に登録しておりますので、こちらもご利用ください。」


接触確認アプリや自治体ごとのコロナお知らせシステムってどうなの?

新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAは2020年6月19日に運用が始まりました。これは、スマートフォンの近接通信機能(Bluetooth)を利用し、感染者が発生した場合に濃厚接触者(15分以上、概ね1m以内にいた方)に対してアプリで通知するものです。本人の同意を前提に、利用者の位置情報・氏名やメールアドレスは収集しない仕組みとなっています。
・接触確認アプリ利用者向けQ&A(厚生労働省)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou_00009.html
https://archive.is/CXSPC

自治体ごとのシステムとしては、東京版新型コロナ見守りサービス、神奈川県のLINEコロナお知らせシステム、岐阜県感染警戒QRシステム、京都府新型コロナウイルス緊急連絡サービス(こことろ)、大阪コロナ追跡システムなどがあります。いずれも、施設やイベントのQRコードを利用のたびにスマートフォン等で読み取り、感染者が発生したときには、濃厚接触者だけでなく,同じ日に同じ場所に居たことにより感染者と接触した可能性がある人に幅広く注意喚起の連絡があるものです。あくまで任意で、本人の安全安心を担保するものです。
これらのシステムや全国の人出状況をビッグデータの活用によって把握する仕組みなどについては、監視社会につながるのではないかという批判もあります。システムを運用する国や自治体には、利用者が納得できるよう透明性を高めた形で運用していただきたいと思います。


来館記録を図書館はどう扱っているか

感染者が図書館を利用していたことが判明しても、同時刻の図書館利用者が濃厚接触者に該当する場合は少ないことは、「来館記録の効果は認められるか」「来館者に感染者が出た場合、どう対応するか?」でも示しました。
しかし、来館者の情報を収集する図書館が、saveMLAK有志による「COVID-19の影響による図書館の動向調査」(2020年6月20日調査2020年8月1日調査)によると340館(自治体)以上あることがわかりました。この調査は、全国の公共図書館(公民館図書室を含む)について、ウェブサイト公開情報を目視で調査しており、1718自治体が対象となっています(全国1788自治体のうちJLA『日本の図書館 2019』による公共図書館設置自治体数は1385)。
これをもとにして、来館記録を収集している365館について公表内容を確認してみました(開館状況は感染拡大状況によって変化するので、確認内容は上記調査と完全に一致するものではありません)。


・来館記録の廃棄時期・保存期間を明示しているか?

個人情報保護や保健所等への提供について言及する館は137ありますが、来館記録の廃棄と保存期間について明示する館は58にとどまっています。保存期間は、2~3週間:2、1ケ月:31、2か月:5、3か月:1、1年間:1、令和3年3月末:1、のほか、一定期間・目的が終了したとき・不要になった時点:17となっています。
「通常は行っていない来館記録を収集するときは?」にも書いたように、「来館記録を収集せざるを得ないときは、根拠に基づき必要最小限であること、そしてきちんと利用者に説明することが求められます。」
利用者への説明をウェブサイトに公開していない館が多くあることは残念です。


・来館記録の収集は任意でなければならない

任意と明示する館は19、強制と明示する館が25あります。「ご協力ください。」「お願いします。」「ご了承ください。」「記入していただきます。」などの表現は、任意とも強制とも判然としません。
来館記録を図書館に提供することで、万一感染者があったときに感染拡大防止に役に立つし、自分にも連絡してもらいたい、と積極的に情報を提供する利用者もあるかもしれません。
しかし、もし強制されるならば、図書館利用カードを作れない人、ホームレスなど住所を持たない人、連絡先のない人は図書館を利用することができなくなります。借金や暴力被害などを理由に身元を隠したい人、障害など様々な理由から連絡先を申し出ることが難しい人など普段から図書館を利用しにくい人もいるでしょう。新型コロナウイルス感染拡大のために職を失ったり住む場を失った人、こんなときだからこそ、図書館を利用して生活を豊かにしたい、新たな生活へ踏み出す方法を探している人もいるでしょう。
だれもが図書館利用に公平な権利をもっています。どんな人も入口で拒否することのないよう、来館記録の収集は本人の同意を得た任意のものであるべきです。

羽村市(東京都)、名古屋市(愛知県)、北九州市(福岡県)などは、任意であることを明記しています。
・羽村市図書館(東京都)
 https://www.hamura-library.tokyo.jp/news2/?id=118
https://archive.is/hucfh
「ご利用のみなさまへ
万一の感染時に保健所への情報提供をするため、入館時に氏名・連絡先の記入をお願いします。(同意者のみ)」

・名古屋市立図書館(愛知県)
 https://www.library.city.nagoya.jp/oshirase/topics_sonota/entries/20200620_01.html#chap02
https://archive.is/HKKgr
「利用者の皆さまへ ご協力のお願い
新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Applicationをご活用ください。
万が一図書館利用者から感染者が発生した場合に図書館から連絡を希望される方は、館内の入館記録票をご記入ください。」

・北九州市立図書館(福岡県)
 https://www.toshokan.city.kitakyushu.jp/branches/chuo/2020/07/71.html
https://archive.is/mAMYd
「万が一館内で感染症が発生した場合の連絡を希望される方のみを対象に、「新型コロナウイルス感染症拡大防止のため来館者カード」への記入をお願いします。」

(2020/08/22掲載)

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新型コロナウイルス感染症と図書館の対応-「図書館の自由」の観点から-

2021/01/12掲載

第106回全国図書館大会和歌山大会の第7分科会図書館の自由で山口真也委員の報告した資料を掲載します。

新型コロナウイルス感染症と図書館の対応-「図書館の自由」の観点から-

日本図書館協会の対応(お知らせより)

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