図書館利用教育ガイドライン_大学図書館版
日本図書館協会利用教育委員会編:1998年II. 各図書館で実施すべき項目と手順
大学図書館は以下の10の項目を、総合的に実施しなければならない。
1.理念の確認
1-1. 利用者の自立の支援という理念を自館の方針として明文化する。
1-2. その方針を館内および大学コミュニティ内に周知し、理解者・協力者を増やし、合意を得る。
2.組織の確立
2-1. 図書館および大学の公式の事務分掌の中に図書館利用教育の規程を明記する。
2-2. 図書館利用教育の計画・実施・評価に責任を持つ部署と責任者を決める。
2-3. 図書館利用教育の責任者には図書館の他の主な業務の責任者と同等の 地位・権限を与える。
3.現状分析
3-1. 大学の使命・目的を理解する。
3-2. 大学のカリキュラムと諸活動を把握する。
3-3. 利用者をセグメント化し、各セグメントの情報ニーズを明確にする。
3-4. 図書館における現行の図書館利用教育の実態を分析する。
4.目的・目標の設定
4-1. 図書館利用教育の目的・目標を次の5つの領域で明文化する。
・領域1:印象づけ
・領域2:サービス案内
・領域3:情報探索法指導
・領域4:情報整理法指導
・領域5:情報表現法指導
4-2. 利用者の各セグメントのニーズに対して多様な目標を設定する。
4-3. 少数のニーズに対する目標も含める。
5.方法・手段の設定
5-1. 設定した目的・目標を達成するために必要な方法・手段を具体的に設定する。
5-2. その方法・手段を準備するために必要な要員と予算を設定する。
5-3. 準備作業の手順と日程と担当者を設定する。
6.財政の確立
6-1. 図書館利用教育に関連する予算を毎年計上し確保する。
6-2. 予算は目標達成に必要な職員、研修、施設・設備、教材、広報手段の調達に十分な額にする。
7.担当者の採用と研修
7-1. 図書館利用教育の計画・実施・評価を行うことのできる図書館員を採用・育成する。
7-2. 目標達成に必要十分な数の職員を確保する。
7-3. 研修内容には、指導法、教材の作成法、機器の操作法、評価方法、各学問分野の専門知識などが含まれる。
7-4. 研修マニュアルを作成する。
8.施設・設備、教材、広報手段の提供
8-1. 目標に適した施設・設備を提供する。
8-2. 多様な指導形態に合わせて教材を準備する。
8-3. 実習で利用される参考ツールを教材として揃える。
8-4. 多様な広報手段を展開する。
8-5. 教材準備のための機器と作業場を提供する。
8-6. 実施マニュアルを作成する。
9.協力体制の確立
9-1. 目標の明文化、実施への大学コミュニティ構成員の参加・協力の体制を確立する 。
9-2. 目標達成度の評価への大学コミュニティ構成員の参加・協力の体制を確立する。
10.評価の定着化
10-1. 各プログラムの効果を定期的に評価する。
10-2. 目標達成度を評価し、実績を館内および大学コミュニティ内に公表する。
10-3. 次期の目標の設定に反映させる。