図書館利用教育ガイドライン_大学図書館版

日本図書館協会利用教育委員会編:1998年

序文

 現在、わが国において情報化社会あるいは生涯学習社会ということが提唱され、人々の間に情報活用能力の重要性が認識されているかに見えます。しかし実情はそれが図書館利用能力と結びついているとは言えません。多くの人々の図書館利用はまだ未成熟な段階にあり、日常生活を始め、学習、研究、調査等の活動に少なからず支障を来しております。

 これは過去において、初等教育、中等教育、高等教育また社会教育にわたって、図書館利用教育への取り組みがほとんど組織的になされていなかった結果と考えられます。人々は基本的人権としての知る権利を充分に保証されていなかったと言えましょう。図書館および教育関係者は、利用教育を実施することにより、人々の情報面での自立を支援し、知る権利を保証する義務があると考えます。

 このガイドラインはわれわれ関係者が、それぞれの立場でその責務を果たす方策を示したものです。図書館関係者はもちろんのこと、図書館行政担当者、教育関係者の方々には、これを参考にしていただき、 図書館利用能力の一層の向上を推進していただくことを期待しております。その上で、ご意見、ご提案がありましたならば、ぜひお聞かせいただきたいと存じます。

 最後に、このガイドライン策定にあたり貴重なご意見やご提案をいただいた方々、および策定にご尽力をいただいた委員各位、および作業委員各位に対して深く感謝申しあげます。

日本図書館協会 図書館利用教育委員会委員長 濱田敏郎