図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン

2010年2月18日
2013年9月2日別表一部修正
2019年11月1日一部改定
国公私立大学図書館協力委員会
(公社)全国学校図書館協議会 
全国公共図書館協議会
専門図書館協議会 
(公社)日本図書館協会 

(目的)
1 このガイドラインは,著作権法第37条第3項に規定される権利制限に基づいて,「視覚障害その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者」(以下このガイドラインにおいて「視覚障害者等」という)に対して図書館サービスを実施しようとする図書館が,著作物の複製,譲渡,公衆送信を行う場合に,その取り扱いの指針を示すことを目的とする。

(経緯)
2 2009(平成21)年6月19日に公布された著作権法の一部を改正する法律(平成21年法律第53号)が,一部を除き2010(平成22)年1月1日から施行された。図書館が,法律改正の目的を達成し,法の的確な運用を行うためには,「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」を構成する標記図書館団体(以下「図書館団体」という。)は,ガイドラインの策定が必要であるとの意見でまとまった。そのため,図書館団体は,著作者の権利に留意しつつ図書館利用者の便宜を図るために,同協議会を構成する権利者団体(以下「権利者団体」という。)と協議を行い,権利者団体の理解の下にこのガイドラインを策定することとした。

(本ガイドラインの対象となる図書館)
3 このガイドラインにおいて,図書館とは,著作権法施行令第2条第1項各号に定める図書館をいう。

(資料を利用できる者)
4 著作権法第37条第3項により複製された資料(以下「視覚障害者等用資料」という。)を利用できる「視覚障害者等」とは,別表1に例示する状態にあって,視覚著作物をそのままの方式では利用することが困難な者をいう。

5 前項に該当する者が,図書館において視覚障害者等用資料を利用しようとする場合は,一般の利用者登録とは別の登録を行う。その際,図書館は別表2「利用登録確認項目リスト」を用いて,前項に該当することについて確認する。当該図書館に登録を行っていない者に対しては,図書館は視覚障害者等用資料を利用に供さない。

(図書館が行う複製(等)の種類)
6 著作権法第37条第3項にいう「当該視覚障害者等が利用するために必要な方式」とは,次に掲げる方式等,視覚障害者等が利用しようとする当該視覚著作物にアクセスすることを保障する方式をいう。
録音,拡大文字,テキストデータ,マルチメディアデイジー,布の絵本,触図・触地図,ピクトグラム,リライト(録音に伴うもの,拡大に伴うもの),各種コード化(SPコードなど),映像資料のサウンドを映像の音声解説とともに録音すること等

(図書館間協力)
7 視覚障害者等のための複製(等)が重複することのむだを省くため,視覚障害者等用資料の図書館間の相互貸借は積極的に行われるものとする。また,それを円滑に行うための体制の整備を図る。

(複製の品質)
8 図書館は第6項に示す複製(等)の質の向上に努める。そのために図書館は担当者の研修を行い,技術水準の維持を確保する。図書館団体は,研修に関して積極的に支援する。

(市販される資料との関係)
9 著作権法第37条第3項ただし書に関して,図書館は次のように取り扱う。
(1)市販されるもので,次のa)~d)に示すものは,著作権法第37条第3項ただし書に該当しないものとする。
   a)当該視覚著作物の一部分を提供するもの
   b)録音資料において,朗読する者が演劇のように読んだり,個々の独特の表現方法で読んでいるもの
   c)利用者の要求がデイジー形式の場合,それ以外の方式によるもの
   d)インターネットのみでの販売などで,視覚障害者等が入手しにくい状態にあるもの(ただし,当面の間に限る。また,図書館が入手し障害者等に提供できるものはこの限りでない。)
(2)図書館は,第6項に示す複製(等)を行おうとする方式と同様の方式による市販資料の存在を確認するため,別に定める「著作権法第37条第3項ただし書該当資料確認リスト」を参照する。当該方式によるオンデマンド出版もこれに含む。なお,個々の情報については,以下に例示するように具体的にどのような配慮がなされているかが示されていることを要件とする。
また,販売予定(販売日を示したもの)も同様に扱う。
(資料種別と具体的配慮内容)
例:音声デイジー,マルチメディアデイジー(収録データ形式),大活字図書(字体とポイント数),テキストデータ,触ってわかる絵本,リライト
(3) 前記(2)の「著作権法第37条第3項ただし書該当資料確認リスト」は日本図書館協会のサイト内に置く。日本図書館協会は、その情報を適時確認し更新を行う。出版社などが新たに販売を開始した場合は日本図書館協会に連絡することにより、このリストに掲載することができる。
(4)前記(2)の販売予定の場合,販売予告提示からその販売予定日が1か月以内までのものを「提供または提示された資料」として扱う。ただし,予定販売日を1か月超えても販売されていない場合は,図書館は第6項に示す複製(等)を開始することができる。
(5)図書館が視覚障害者等用資料の複製(等)を開始した後に販売情報が出された場合であっても,図書館は引き続き当該複製(等)を継続し,かつ複製物の提供を行うことができる。ただし,公衆送信は中止する。

(ガイドラインの見直し)
10 本ガイドラインは,社会状況の変化等に応じて随時見直し,改訂を行う。その際は,「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」における検討を尊重する。


(附則)
1 2018(平成30)年5月25日に公布された著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)(平成31年1月1日施行)に合わせ、ガイドラインの一部を修正することとした。

以上

別表1

視覚障害聴覚障害肢体障害精神障害知的障害内部障害発達障害学習障害いわゆる「寝たきり」の状態一過性の障害入院患者その他図書館が認めた障害

別表2

※ガイドラインに基づき,図書館職員が「視覚障害その他の障害により視覚による表現の認識が困難な者」を判断するための一助としてこのリストを作成する。以下の項目のいずれかに該当する場合は,図書館の障害者サービスの利用者として登録ができる。(本人以外の家族等代理人によるものも含む)

利用登録確認項目リスト

チェック欄確認事項
 身体障害者手帳の所持 [ ]級(注)
 精神障害者保健福祉手帳の所持[ ]級
 療育手帳の所持 [ ]級
 
 医療機関・医療従事者からの証明書がある
 福祉窓口等から障害の状態を示す文書がある
 学校・教師から障害の状態を示す文書がある
 職場から障害の状態を示す文書がある
 
 学校における特別支援を受けているか受けていた
 福祉サービスを受けている
 ボランティアのサポートを受けている
 家族やヘルパーに文書類を読んでもらっている
 
 活字をそのままの大きさでは読めない
 活字を長時間集中して読むことができない
 目で読んでも内容が分からない,あるいは内容を記憶できない
 身体の病臥状態やまひ等により,資料を持ったりページをめくったりできない
 その他,原本をそのままの形では利用できない

注 (身体障害者手帳における障害の種類)視覚,聴覚,平衡,音声,言語,咀嚼,上肢,下肢,体幹,運動-上肢,運動-移動,心臓,腎臓,呼吸器,膀胱,直腸,小腸,免疫など(身体障害者福祉法別表による)

目次

図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編
評価シート 用語解説

図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート

日本図書館協会障害者サービス委員会
図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編検討チーム

2023年4月1日
国立国会図書館関西館 杉田正幸
専修大学 野口武悟
西宮市視覚障害者図書館 山田友香

評価シート Excel版
評価シート PDF版
評価シート テキスト版
評価シート 点字版

目次

はじめに:本評価シートについて
  (1)図書館の区分
  (2)評価のランク分け
1 職員体制
2 予算
3 職員の研修
4 指定・届け出・会員登録
5 利用登録
6 設備・サイン(館内表示)
7 読書支援,コミュニケーションを支援する機器
8 所蔵資料
9 資料製作
10 実施しているサービス
11 PR,利用案内,目録
12 催し物,集会活動
13 障害者サービスに関わる図書館協力者,ボランティア
14 都道府県立図書館の障害者サービスに関する市区町村支援
15 公共図書館相互ならびに他館種,他機関との連携

アスタリスク(*)のある語句には,別に用語解説を用意した。

はじめに:本評価シートについて

  「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(通称「障害者差別解消法」)が2016年に施行されるのを機に,日本図書館協会では,「図書館における障害を理由とする差別の解消の推進に関するガイドライン」および「JLA障害者差別解消法ガイドラインを活用した図書館サービスのチェックリスト」を作成,公表した。
 その後,「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(通称「読書バリアフリー法」)が2019年に,「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(通称「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」)が2022年に制定された。
 しかしながら,いまもなお,多くの公共図書館では十分な障害者サービスを提供できているとは言いがたい現状にある。特に都道府県立図書館の取り組みは,域内の公共図書館の障害者サービスのモデルとなるべきであるが,残念ながらそうなっていない場合も多い。障害者サービスの地域差が大きいのも課題といえる。
 そこで,日本図書館協会障害者サービス委員会では,過去に作成したガイドラインやチェックリストをふまえて,図書館の規模ごとに具体的にどのような取り組みが必要かをまとめた「図書館利用に障害のある人々へのサービス(障害者サービス)評価シート 公共図書館編」を作成することとした。各図書館では,この評価シートを活用して,職員,予算,研修,設備,サービス,広報,連携などについて具体的に自館の状況を確認したうえで,障害者サービスの達成目標を定めるなどして,改善につなげていただければ幸いである。 なお,自治体内に複数の図書館を設置している場合は,障害者サービスの拠点となる図書館を本評価シートでは想定している。委託や指定管理の図書館では自治体が障害者サービスの仕様書を作る際に自治体の規模に合わせたサービスが行えるよう,この評価シートの内容をできる限り盛り込んでほしい。
 すべての公共図書館が「障害者差別解消法」および「読書バリアフリー法」,「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」の目的とするところの実現を目指して,障害者サービスの一層の充実に取り組むことを期待する。

(1)図書館の区分

  本評価シートは,総務省の自治体区分に沿って区分けしている。  区分は,左から順に
  「1:都道府県立図書館」
  「2:政令指定都市・人口50万人以上の自治体の図書館」
  「3:人口20万人以上50万人未満の自治体の図書館」
  「4:人口5万人以上20万人未満の自治体の図書館」
  「5:人口5万人未満の自治体の図書館」
  「6:私立図書館」
の6つに分けている。
 なお,県人口の少ない地域等では,単純に人口だけで自治体のあり方を区分できるとは限らない。そのため,人口規模によらず,各自治体の特性や歴史的・社会的背景も考慮しつつ,以下のランク分けをより積極的に考えてほしい。

(2)評価のランク分け

 各項目においてA~C,該当しないの4つのランクを示している。
 A:必ず取り組みたい,B:取り組みたい,C:できれば取り組みたい,―:該当しない

1 職員体制123456
1-1事務分掌に障害者サービスがあるAAAAAB
1-2障害者サービスを担当する専任の職員がいるAAABBB
1-3障害者サービスを担当する職員がいるAAAAAB
1-4障害者サービスを担当する障害のある職員がいるAABBBC
1-5障害者サービス以外を担当する障害のある職員がいるAAAABC
1-6点字の読み書きができる職員がいるAAABBB
1-7手話のできる職員がいるAAABBB
1-8録音資料製作の基礎的なスキルを有する職員がいるAAABBC
1-9対面朗読*のできる職員がいるAAABBB
1-10読書支援機器*等の説明ができる職員がいるAAAAAB
2 予算123456
2-1対面朗読の予算があるAAABBC
2-2障害者サービス用の資料購入費があるAAAAAB
2-3録音資料(音声デイジー*・マルチメディアデイジー*)製作の予算があるAAABBC
2-4点字資料製作の予算があるAABBBC
2-5テキストデータ(テキストデイジー*・プレーンテキスト*)製作の予算があるABBCCC
2-6拡大写本*製作の予算があるBBCCCC
2-7字幕・手話入り資料*製作の予算があるBCCCCC
2-8図書館協力者(音訳者・点訳者等)養成のための予算があるAABBCC
2-9図書館協力者への報償費を予算化しているAAAAAA
2-10図書館協力者,ボランティアへの交通費等の実費を予算化しているAAAABC
2-11読書支援機器等の利用をサポートする人材育成の予算があるAAABBB
2-12研修会・イベント等の開催に際して,障害のある参加者に対する情報保障(手話通訳・要約筆記*・点訳等)の予算があるAAABBB
2-13読書補助具(拡大鏡,老眼鏡,リーディングトラッカー*等)の購入予算があるAAAAAB
2-14障害者サービス用機器(拡大読書器,デイジー再生機*,音声読書器*等)を購入またはリースする予算があるAAABBB
2-15利用者向けの読書支援機器の使い方講座を開催する予算がある AABBBB
2-16障害者サービスに関する職員研修(開催・派遣)の予算があるAAAAAB
2-17視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ*」に加入する予算があるAAAABB
2-18郵送貸出用サービスに関わる予算*があるAAABBC
2-19障害者サービスに関する広報パンフレットを作成する予算があるAAAAAB
3 職員の研修123456
3-1自館または都道府県立図書館が開催する障害者サービスの基本的な事項に関する研修会に参加AAAAAA
3-2自館または都道府県立図書館が開催する障害者サービスの専門的な事項に関する研修会に参加AAAABB
3-3障害者差別解消法や読書バリアフリー法等に関する職員研修会を実施・開催AABBBB
3-4日本図書館協会等が開催する障害者サービス研修会に参加AAAAAB
3-5自館または他機関で開催される点字の研修会に参加AAAAAB
3-6自館または他機関で開催される手話等のコミュニケーションスキル向上等の研修会に参加AAAAAB
3-7自館または他機関で開催される音訳の研修会に参加AAAAAB
3-8自館または他機関で開催される読書支援機器の研修会に参加AAAAAB
4 指定・届け出・会員登録123456
4-1特定録音物等郵便物発受施設*の指定を受けているAAAAAB
4-2心身障害者用ゆうメール*発受施設の届出をしているAAAAAB
4-3聴覚障害者用ゆうパック*発受施設の指定を受けているAABBBB
4-4「サピエ」に会員登録をしているAAAABB
4-5「視覚障害者等用データの収集および送信サービス*」(国立国会図書館)の送信承認館になっているAAAAAB
5 利用登録123456
5-1家族や代理人による利用登録を受け付けているAAAAAA
5-2登録申し込み等で必要な場合は職員が代筆,筆談の支援をしているAAAAAA
5-3登録申し込み等で必要な場合は職員が手話,点字等のコミュニケーション支援をしているAAABBB
5-4来館せずに電話,郵送,FAX,メール,オンライン等の方法で利用登録ができるAAAAAA
5-5「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」の別表に該当するかの確認をもって,障害者サービスの登録・利用ができるAAAAAA
5-6視覚障害者の「サピエ」の個人利用登録を受け付けている(A会員)AAAABB
5-7視覚障害者でない障害者の「サピエ」の個人利用登録を受け付けている(B会員)AAAABB
6 設備・サイン(館内表示)123456
6-1障害者用の駐車スペースがあるAAAAAA
6-22階建て以上の建物の場合はエレベーターがあるAAAABB
6-3エレベーターに点字・音声・車いす用ボタン等の配慮がしてあるAAAAAA
6-4入口や館内の段差にスロープがあるAAAAAA
6-5階段や廊下に手すりがあるAAAAAA
6-6階段や廊下の手すりには点字表示が付いているAAAAAA
6-7階段や廊下の手すりには触覚でわかるもの*が付いているAAAAAA
6-8対面朗読室があるAAAABB
6-9音訳の部屋(録音室)があるAAABCC
6-10点訳の部屋*があるBBBCCC
6-11障害者サービス用資料コーナー*があるAAAABB
6-12障害者のための読書室(録音図書の閲覧,知的障害者のクールダウンスペース)があるAABBCC
6-13車いす利用者を意識したカウンターがあるAAABBB
6-14貸出用の車いすを用意しているAAAAAB
6-15高さ調節のできる閲覧机があるAAABBB
6-16明るさ調節用のカーテン等があるBBBBCC
6-17バリアフリートイレ(多機能トイレ)があるAAAAAA
6-18補聴援助システム*(ヒアリングループ)があるABBCCC
6-19聴覚障害者用の緊急連絡システム(デジタルサイネージ,点滅ランプ等)があるAAABBB
6-20入口に盲導鈴(チャイム)があるAAABBB
6-21入口付近に職員と連絡するためのインターホンがあるAAAAAA
6-22道路から入口までの点字誘導ブロックがあるAAAAAA
6-23館内に点字誘導ブロックがあるAAAAAA
6-24点字誘導ブロックは黄色,または弱視*に見やすい床面と区別がつくような配色になっているAAAAAA
6-25館内の案内にルビがついているAAAAAA
6-26案内表示は大きく見やすくなっているAAAAAA
6-27案内表示にピクトグラム(絵記号)を活用しているAAAAAA
6-28案内表示の色の組み合わせに注意しているAAAAAA
6-29案内表示に点字がついているAAAAAA
6-30点字案内板が設置されているAABBBB
6-31音声案内版が設置されているAABBBB
6-32通路上にブックトラックを放置するなど移動の障壁となる物を置いていないAAAAAA
6-33車いすや高齢者等のために,通路の幅や書架の高さと幅に配慮しているAAAAAA
6-34透明なドアや仕切りがある場合,衝突防止への配慮ができているAAAAAA
7 読書支援,コミュニケーションを支援する機器123456
7-1据え置き型の拡大読書器AAAAAA
7-2携帯型の拡大読書器ABBBBB
7-3卓上型デイジー再生機AAAAAB
7-4携帯型デイジー再生機ABBBBC
7-5音声読書器AAABBC
7-6点字ディスプレイ*AAABBC
7-7視覚障害者等が利用できるソフトウェア
(1)スクリーンリーダー(画面読み上げソフトウェア)*AAABBC
(2)画面拡大ソフトウェア*ABBBCC
(3)音声ブラウザ*AAABBC
(4)読書専用ソフトウェア*AAABBC
(5)活字OCRソフトウェア*AAABBC
(6)点訳ソフトウェア(点字エディタ)*AAABBC
(7)自動点訳ソフトウェア*AAABBC
7-8上肢障害者向けのパソコン操作を補助する装置およびパソコン支援ソフトウェアABBBBC
7-9点字プリンター*AABBCC
7-10拡大鏡や老眼鏡AAAAAA
7-11ウェアラブル眼鏡*BCCCCC
7-12リーディングトラッカーAAAAAA
7-13書見台AAABBC
7-14ページめくり機BCCCCC
7-15タブレット端末(読書支援用)AAABBB
7-16筆談器*AAAAAA
7-17コミュニケーションボード*AAAAAB
7-18立体プリンター(3Dプリンター)*,立体コピー機*BCCCCC
7-19スマホスタンド,タブレットスタンドBCCCCC
7-20電子ルーペ*AAABBB
7-21点字器*AAAABB
7-22点字タイプライター*BBBBCC
7-23表面作図器(レーズライター)*BBBBCC
7-24卓上ライトAAABBB
8 所蔵資料123456
8-1録音資料(音声デイジー・テープ)AAAAAB
8-2録音資料(朗読CD,朗読テープ,オーディオブック等)AAAAAB
8-3点字資料(冊子)AAAAAB
8-4点字資料(データ)AABBBC
8-5マルチメディアデイジーAAAAAB
8-6テキストデイジーBBBBBC
8-7プレーンテキストAABBBC
8-8その他のアクセシブルな電子書籍*(EPUB*,透明テキスト付きPDF*等)AABBCC
8-9大活字本*AAAAAB
8-10拡大写本BBBBCC
8-11点字付き絵本*AAABBB
8-12触る絵本*AAABBB
8-13布の絵本*AAABBB
8-14その他のバリアフリー絵本(手話付き等)AABBCC
8-15LLブック*AAAAAB
8-16字幕・手話入りDVDAAABBC
8-17音声解説付きDVDAAABBC
9 資料製作123456
9-1録音資料(音声デイジー等)の製作AAABBC
9-2点字資料(データ・冊子)の製作AABBBC
9-3マルチメディアデイジーの製作ABBCCC
9-4テキストデイジーの製作BBBCCC
9-5プレーンテキストの製作ABBCCC
9-6拡大写本の製作BBCCCC
9-7字幕・手話付きビデオの製作BBCCCC
9-8点字付き絵本の製作BBCCCC
9-9触る絵本の製作BBCCCC
9-10布の絵本の製作AABBBB
9-11完成した資料の書誌情報は国立国会図書館「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」,「サピエ図書館」を通じて提供しているAAAAAA
9-12完成した資料のデータは国立国会図書館「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」,「サピエ図書館」を通じて提供しているAAAAAA
10 実施しているサービス123456
10-1対面朗読サービスAAAAAA
10-2読書支援機器の提供AAAAAB
10-3一般資料の郵送貸出,または宅配サービスAAAABB
10-4視聴覚資料の郵送貸出,または宅配サービスAAAABB
10-5点字資料の郵送貸出,または宅配サービスAAAAAB
10-6録音資料の郵送貸出,または宅配サービスAAAABB
10-7その他の著作権法第37条第3項により複製された障害者サービス用資料の郵送貸出,または宅配サービスAAAABB
10-8アクセシブルな電子書籍の配信サービスBBBBCC
※現状の図書館向け電子書籍システムのアクセシビリティーは発展途上であり十分なものとはいえない。しかし,読書バリアフリー法を受けて関係者の研究開発が進められており,今後の動向を見ながら導入を積極的に考えていく必要がある。
10-9アクセシブルなデータベース*の提供AABBCC
10-10アクセシブルなデジタルアーカイブ*の構築AABBCC
10-11アクセシブルなウェブOPAC*の提供AAAAAB
10-12アクセシブルな館内OPAC*の提供AAABBC
10-13施設入所者へのサービス*AAABBC
10-14入院患者へのサービス*AAABBC
10-15特別支援学校・学級へのサービス*AAAABC
10-16来館時の合理的配慮の提供*AAAAAA
10-17機器の使い方などの個別支援の実施AAAAAA
11 PR,利用案内,目録123456
11-1一般的な利用案内がある
(1)印刷版(ルビ有り)AAAAAB
(2)印刷版(ルビ無し)AAAAAB
(3)拡大文字版AAAAAB
(4)点字版AAAAAB
(5)音声版AAAAAB
(6)テキストデータ版AAAAAB
(7)LL版(わかりやすくて読みやすい)AAAAAB
(8)字幕手話入り映像版AABBBC
11-2障害者サービス利用案内がある
(1)印刷版(ルビ有り)AAAAAB
(2)印刷版(ルビ無し)AAAAAB
(3)拡大文字版AAAAAB
(4)点字版AAAAAB
(5)音声版AAAAAB
(6)テキストデータ版AAAAAB
(7)LL版AAAAAB
(8)字幕手話入り映像版AABBBC
11-3障害者サービス用資料の目録がある
(1)印刷版AAAAAB
(2)拡大文字版AAAAAB
(3)点字版AAAAAB
(4)音声版AAAABC
(5)テキストデータ版AAAAAB
11-4図書館だより(利用者向け広報)
(1)印刷版AAAAAB
(2)拡大文字版AAAAAB
(3)点字版AAAABB
(4)音声版AAAABB
(5)テキストデータ版AAAAAB
11-5図書館のホームページ
(1)図書館単独のホームページがあるAAAAAA
(2)ウェブアクセシビリティのJIS規格*に準拠しているAAAAAB
(3)読み上げソフトに対応したページ*を作成しているAAAAAB
(4)文字の色・大きさ・背景色などの配慮をしているAAAAAB
(5)障害者向け利用案内ページを作成しているAAAAAB
(6)ウェブアクセシビリティ方針を公開しているAAAAAB
12 催し物,集会活動123456
12-1手話によるおはなし会の開催AAAABC
12-2バリアフリー映画会の開催AAABBC
12-3ICT読書支援機器講習会の開催AABBCC
12-4障害者サービスに関する資料展を実施しているAAAABB
12-5障害者サービスに関する常設展示を実施しているAAAABC
12-6障害者サービスなどに関するセミナーの開催AAABBC
12-7講演会・セミナーにおける障害者への配慮
(1)障害を理由に参加を断らないAAAAAA
(2)ボランティアなどの同伴者がいなくても障害者が個人で参加できるAAAAAA
(3)申し込みや問い合わせについて,コミュニケーションに困難のある障害者が単独でもできるように配慮しているAAAAAA
(4)希望により手話通訳をつけているAAAAAB
(5)希望により要訳筆記をつけているAAAAAB
(6)希望により点字資料を準備しているAAAAAB
(7)希望により録音資料を準備しているAAAAAB
(8)希望によりテキストデータを準備しているAAAAAA
(9)希望により大きな文字の資料を準備しているAAAAAA
13 障害者サービスに関わる図書館協力者,ボランティア123456
13-1図書館協力者,ボランティアの登録体制があるAAAAAB
13-2対面朗読を行う図書館協力者(音訳者)がいるAAAABB
13-3録音資料製作を行う図書館協力者(音訳者等)がいるAAABBC
13-4点字資料製作を行う図書館協力者(点訳者等)がいるAAABCC
13-5その他の資料製作を行う図書館協力者,ボランティアがいるAAABCC
13-6図書館協力者の養成講座を実施しているAAAABB
13-7図書館協力者,ボランティアのためのフォローアップ研修を実施しているAAAABB
13-8図書館協力者,ボランティアが外部研修を受けられる体制ができているAAAABB
14 都道府県立図書館の障害者サービスに関する市区町村立図書館・学校図書館への支援123456
14-1域内職員研修会の開催A
14-2域内職員の情報交換会や連絡会等の開催A
14-3運営相談や見学への対応A
14-4障害者サービス実態調査の実施A
14-5障害者サービス関連資料の収集,サービスマニュアル等の整備A
14-6市区町村等で製作が困難な障害者サービス用資料の製作A
14-7市区町村等で所蔵していない障害者サービス用資料の協力貸出A
14-8都道府県としての読書バリアフリー計画の策定に参画A
14-9市区町村の読書バリアフリー計画の策定支援A

※都道府県立のみの評価

15 公共図書館相互ならびに他館種,他機関との連携123456
15-1公共図書館同士が相互に連携しているAAAAAA
15-2視覚障害者情報提供施設*(点字図書館)と連携している AAABBB
15-3聴覚障害者情報提供施設*と連携しているAAABBB
15-4特別支援学校の学校図書館と連携しているAAAABB
15-5小学校・中学校・高等学校の学校図書館と障害者サービスに関して連携しているAAAAAB
15-6大学図書館と障害者サービスに関して連携しているAABBBC
15-7上記以外の図書館(福祉施設, 病院患者図書館,刑務所図書館等)と障害者サービスに関して連携しているAABBCC
15-8図書館以外の機関と障害者サービスに関して連携しているAABBCC
15-9自治体内に館種横断の障害者サービスに関する協議体を組織しているAABBCC

評価シート 用語解説

用語解説 Word版
用語解説 PDF版
用語解説 テキスト版
用語解説 点字版

1-9 対面朗読
 視覚障害等により,図書館資料をそのままでは読むことが困難な人の読書を保障するサービスの一つ。
 図書館の朗読室等で,音訳者が利用者の読みたい本や雑誌を対面で読む。対面音訳や対面リーディングなどともいわれる。

1-10 読書支援機器
 拡大読書器,書籍の自動読み上げ機,デイジー再生機,点字ディスプレイなどが挙げられる。広い意味では,ルーペ,書見台,リーディングトラッカーなども含まれる。
 パソコンやスマートフォンに画面読み上げソフト等のアプリを入れる場合と,専用の再生機器を用いる方法がある
 近年ではスマートフォンを活用して,録音図書や電子書籍を利用できるようになってきている。スマートスピーカーによる読書も開発が進められている。

2-3,2-5 デイジー(DAISY)
 デイジー(DAISY)は,「Digital Accessible Information SYstem」の略で日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳す。視覚障害者,高齢者,発達障害者,知的障害者および聴覚障害者など,印刷された出版物を読むことが困難な人のためのアクセシブルな電子書籍の国際標準規格。
 デイジー図書は,専用再生機,パソコン,タブレット,スマートフォンなどを利用して読みたいページに移動したり,スピードや文字の大きさ・色・背景色などを変更して読むことができる。以下の3つの種類の図書がある。
(1) 音声デイジー
     目次とページのテキストがあるが,本文部分は,音声のみのデジタル録音図書。
(2) テキストデイジー
 目次と本文のテキストでできているデイジー。音声はないが,音声化ソフトを用いて読み上げが可能。
(3) マルチメディアデイジー
 目次と本文のテキストと,音声と画像でできたデイジー。音声を読み上げると同時にテキストの該当個所をハイライト表示する。画像もあり,わかりやすくなっている。

2-5 プレーンテキスト
 文字の種類・色・大きさ・レイアウト情報などをもたないテキストデータ。

2-6 拡大写本
 視覚障害者等のために,ボランティアにより読みやすい文字の大きさに拡大して作成された図書。
 当初はボランティアが1つずつ手書きで作成したものが大半であったが,現在はパソコンによって作成されたものが多い。

2-7 字幕・手話入り資料
 映像資料に聴覚障害者用の字幕や手話の入ったもの。背景音など,セリフ以外の情報も字幕になっている。洋画の字幕は聴覚障害者用ではないが,それで使える聴覚障害者も多い。

2-12 要約筆記
 聴覚障害者へ話の内容を文字に変えて伝える方法。その際,話す速さに文字化が追いつかない場合,話の内容を要約するので「要約筆記」という。文字を手書きする場合と,パソコンでキーボード入力する場合がある。対象者が大勢いる場合は,拡大投影機を用いスクリーンに映す。1~2名の際は,「ノートテイク」といって聴覚障害者の横に座り,紙や画面を見てもらう。最近は,より多く文字化するために「パソコン文字通訳」といって,2名以上の入力者が連携して文書を作成する方式もある。

2-13 リーディングトラッカー
 読みやすいように資料の特定の行に焦点を当てるための読書補助具。タイポスコープともいう。もともとは視野狭窄のある視覚障害者のための読書補助具であった。近年は,ディスレクシアのある発達障害者や高齢者などの利用ニーズも高い。

2-14 デイジー再生機
   主に音声デイジーを再生するための専用機。録音機能や,サピエ図書館に単体でネットから接続して利用できるものもある。

2-14 音声読書器
 紙に書かれた情報を自動的に合成音声で読み上げる機器。文字の読み取り方法が据え置き型のものと,カメラ型のタイプがある。

2-17 サピエ
 視覚障害者等のための総合情報ネットワークサービス。
 全国の点字図書館等が製作・所蔵する点字や録音資料等の書誌情報とそのデータ等を収録するオンライン図書館。資料の検索だけではなく,オンラインで貸出依頼を出したり,コンテンツをダウンロードできるものもある。図書館等の施設やボランティアには一部有料のサービスもあるが,視覚障害者等はすべて無料で利用できる。
https://www.sapie.or.jp/

4-1 特定録音物等郵便物発受施設
 第四種郵便物として特定録音物等郵便物(盲人用録音物)を無料で郵送することができる施設を指す。日本郵便の認可が必要。

4-2 心身障害者用ゆうメール
 重度の心身障害者を対象に,図書館と障害者との間で割引料金で本や雑誌を発受することができるサービス。利用にあたっては図書館から日本郵便への届け出が必要。

4-3 聴覚障害者用ゆうパック
 聴覚障害者の福祉を増進することを目的とする施設と聴覚障害者との間で,ビデオテープその他の録画物の貸出・返却を割引料金で行えるサービス。日本郵便への届け出が必要。 

4-5 視覚障害者等用データの収集および送信サービス
 (1) 国立国会図書館視覚障害者等用データの収集
 国立国会図書館は,全国の図書館等が製作した視覚障害者等用データを収集している。収集されたデータは,視覚障害者等の個人や図書館等が視覚障害者等用データ送信サービスを通じて利用できる。収集されたデータのうち,DAISYと点字データについてはサピエ図書館を通じて利用することもできる。
   https://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual-10_01.html

 (2) 国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス
     国立国会図書館が製作した学術文献の視覚障害者等用資料のデータ(デイジー・EPUB・プレーンテキストデータ等)と,全国の図書館等が製作し国立国会図書館が収集した視覚障害者等用のデータ(デイジー・点字・テキストデータ等)を,視覚障害者等の個人や図書館等がインターネットを通じて利用できるサービス。
 収録されているデータの内,デイジー及び点字データはサピエ図書館からも利用できる。
      https://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/supportvisual-10.html
       2023年3月より「国立国会図書館障害者用資料検索」(みなサーチ)から,デジタル化画像からOCRにより自動生成した未校正のテキストデータも利用できるようになった。
   https://mina.ndl.go.jp/

6-10 点訳の部屋
 点訳者による点訳作業や,点字プリンターを設置して点字の印刷等を行う部屋。

6-11 障害者サービス用資料コーナー
 障害者サービスで用いる,点字や録音等のさまざまな形の資料や,障害者を理解するための資料等を集めたコーナー。障害者だけではなく,広く市民に公開する。「りんごの棚」という名称を用いている図書館もある。

6-18 補聴援助システム
 マイクからの音声を無線方式等で聴覚障害者の補聴器や人工内耳へ送信するシステム。聴覚障害者は雑音がある場所や話し手との距離があると特に聞き取りづらくなるが,補聴援助システムは周囲の雑音を入れないことにより,聞き取りやすくする。「ヒアリングループ」などがある。

6-24 弱視
 視覚障害者で全盲でないもの。ロービジョンともいう。見え方が人によりかなり違うので支援に配慮が必要。

7-6 点字ディスプレイ
 点字を機械的に表示する装置。パソコンの操作画面に表示された文字を点字に置き換えることで,視覚障害者が情報を読み取ることができる。また,単体で点字データを読み取ることもできる。ピンディスプレイとも言う。

7-7(1) スクリーンリーダー(画面読み上げソフトウェア)
 視覚障害者等がパソコンやスマホを使う場合に,キーボード・タッチ操作や画面を音声で読み上げるソフトウェア。
たとえばiPhoneなどに搭載されているVoiceOverなどが有名である。
 パソコンではWindowsに標準搭載されたナレーターや,Macパソコンに標準搭載されたVoiceOver等がある。
 近年はOSにアクセシビリティ機能が標準搭載されるようになってきているが,その機能だけでは操作が難しい場合が多くあり,追加で支援ソフトをインストールして使用することが多い。

7-7(2) 画面拡大ソフトウェア
 視覚障害者や高齢者等が,パソコンやスマホの画面にある文字等を読みやすい大きさに拡大する際に使用するソフトウェア。

7-7(3) 音声ブラウザ
 パソコンでホームページを閲覧した時に,その画面に表示されている内容を音声で読み上げたり,画面の変化を音声で伝えるためのソフト。
 簡単なキーボード操作で画面上の必要な箇所に移動したり,画面上の文字列を検索したり,弱視者向けに文字の大きさや色を変えたり,効率的にホームページを読み上げできるように工夫されている。
 また,パソコンに点字ディスプレイを接続することで点字で画面の内容を表示することができるようになる。

7-7(4) 読書専用ソフトウェア
 電子媒体の図書(デイジー,テキストデータ,PDF,EPUB,ワード,エクセル等)が音声や拡大機能等で閲覧できるソフト。
 サピエ図書館や国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービスにアクセスして,障害者サービス用資料が閲覧できるものもある。

7-7(5) 活字OCRソフトウェア
 パソコンに読み取り用のスキャナを接続し,紙の書籍を画像データとして取り込み,それを文字データに変換するためのソフト。文字データはそのまま合成音声で読ませたり,テキストデイジーやマルチメディアデイジーの素材となる。
 他にもスマートフォンのカメラで写真を撮影し,その中から文字列を認識して読ませる機能を搭載しているアプリもある。
 スキャナにもいろいろな形状の機種があり,コピー機をそのまま使えるものもある。

7-7(6) 点訳ソフトウェア(点字エディタ)
 パソコンで点字図書を作成するソフト。音声読み上げや,点字ディスプレイ,点字プリンターと接続して点訳図書を作成するのに用いられている。
 主に点訳ボランティア向けに点字図書を作成するためのツールと,視覚障害者が点字図書を読んだり,点字データを編集したりする機能に大別される。
 また,点図を作成する機能を付加したものや,点図作成ツールと連動して作図できるソフトも開発されている。

7-7(7) 自動点訳ソフトウェア
 ワード等の漢字仮名交じりの一般的な文章を,点字データに自動的に翻訳するソフト。点字には基本的に漢字はなく,仮名のみでできているため,分かち書きと言って特有のマス空けのルールがあり,自動的に変換することができる。
 ただし,自動点訳には誤読等の誤変換が発生するため,点字表記に慣れた人の校正と修正が必要となる。

7-9 点字プリンター
 パソコンに接続して点字を印刷する専用の機器の総称。機種により印刷速度や印刷時の動作音などにも違いがある。両面印刷や点図の印刷に対応した機種もある。

7-11 ウェアラブル眼鏡
 メガネに取り付けられた小型カメラ映像を自動的に音声化するAI視覚支援機器。文字の読み上げ,顔の認識,商品の識別等を行うことができる。日本ではいくつかの海外製品が販売されている。

7-16 筆談器
 聴覚障害者・言語障害者等のために,筆談によるコミュニケーションが取れるように設置してある紙や専用の器具のこと。

7-17 コミュニケーションボード
 知的障害者,自閉症,聴覚障害者等のコミュニケーション支援を目的として作成された図版。指差しして用いることが想定されている。
 絵に加え,簡易な日本語,英語,韓国語,中国語が記載されているものもある。

7-18 立体プリンター(3Dプリンター)
 立体物を表す設計データをもとに,樹脂で立体の造形物を作ることができる機械。

7-18 立体コピー機
 視覚障害者等が触って形がわかるように,専用紙(カプセルペーパー)の表面が立体的に盛り上がって印刷できるコピー機。
 専用紙を立体コピー機に通すことで,書かれた黒い文字や線が膨張して盛り上がるようになっている。

7-20 電子ルーペ
 弱視など見えづらい視覚障害者等が印刷資料を読みやすい大きさに拡大して読むことができる機器。レンズを使用したルーペとは違い,明るさ,文字の大きさを変更できたり,白黒反転することができるものがある。特に,持ち運びができる小型のものをいう。

7-21 点字器
 点字を一点一点打って書く用具。点字用紙1枚分の点字盤のほか,携帯用点字器もある。

7-22 点字タイプライタ―
 点字を一文字ずつタイプして書く機器。
 
7-23 表面作図器(レーズライター)
 専用の板に専用の紙を装着してボールペンなどで強く書くことで線を浮かび出すことができる器具。簡単な図や写真を手書きすることで触って読むことが可能となる。ただし,細かい部分は書けないので,かなり大きめに書いたり,情報を抜粋して表現する等の工夫をする必要がある。

8-8 アクセシブルな電子書籍
 障害者や高齢者等が使えるように配慮した電子書籍のこと。

8-8 EPUB
 EPUBは「Electronic Publication」の略で,電子書籍のファイルフォーマットの一つとして広く一般的に流通している。EPUB3は2011年にデイジー(DAISY)と統合した。2020年にISO規格となり,DAISY規格と同等のアクセシビリティや,日本語の縦書きやルビへの対応などが実現された。2021年には,EPUBのアクセシビリティを明示・規定するISOの規格もでき,利用者は書誌情報から自分の読めるものを選ぶことができる。

8-8 透明テキスト付きPDF
 PDFデータに文字列を付加した形式。表面上画像データに見えても,文字データも含んでいることから,画面読み上げソフトでも利用可能となる。文字列の検索も可能である。

8-9 大活字本
 視覚障害者や高齢者等向けに,大きな活字と読みやすいフォントで印刷された図書。通常は出版された図書を指すが,拡大写本等も含めた文字の大きな図書全般を指すこともある。

8-11 点字付き絵本
 見える人と見えない人が一緒に絵本を楽しめるようにと工夫された図書。
 市販の絵本に文字の部分を点訳した透明なシートを貼って手作りされたものと,すでに文字の部分に点字を併記して出版されているものがある。

8-12 触る絵本
 視覚障害児等が触って楽しめるように,主に市販の絵本を元にして,台紙の上に布や毛糸,皮やビーズなどの素材を使って絵の部分を作り,点字と墨字で文字を書いた絵本。手で見る絵本などとも呼ばれる。
 なお,墨字とは紙に書かれた文字のこと。視覚障害者の点字に対して,印刷または手書きの文字のことをいう。

8-13 布の絵本
 障害のある子どもたちのために布やフェルトを使って作られた絵本。ボタンやマジックテープなどを使って取り外したりくっつけたりして遊ぶことができる。布やフェルトを使った遊具を含んでいわれることもある。楽しみながら発達をサポートし手指の訓練にもなる絵本。

8-15 LLブック
 わかりやすく書かれていて読みやすい本のこと。やさしい日本語による文章,文章の意味理解を助けるピクトグラム(絵記号)などを用いることが特徴。主な読者として,知的障害者や外国にルーツのある人が想定される。必ずしも子ども向けではなく,生活年齢にあったテーマをわかりやすく伝えることが意図されている。

10-9 アクセシブルなデータベース
 データベースが音声環境等で障害者等も使えるように配慮されていること。

10-10 アクセシブルなデジタルアーカイブ
 デジタルアーカイブが障害者等も使えるように配慮されていること。

10-11 アクセシブルなウェブOPAC
 図書館のウェブOPACが,音声環境等で障害者等も使えるように配慮されていること。
 
10-12 アクセシブルな館内OPAC
 図書館の館内OPACが,音声環境等で障害者等も使えるように配慮されていること。

10-13 施設入所者へのサービス
 何らかの施設に入っていて来館が困難な人たちへのサービスの総称。
 図書館が施設に出向いて,貸出,おはなし会等を行う直接的なサービスと,施設への団体貸出,施設利用者への郵送や宅配を行う個人向けサービス等がある。

10-14 入院患者へのサービス
 病院等に入院している患者へのサービスの総称。
 図書館が病院等に出向いて,貸出,おはなし会等を行う直接的なサービスと,病院図書館や患者図書館への団体貸出,入院患者への郵送や宅配を行う個人向けサービス等がある。

10-15 特別支援学校・学級へのサービス
 特別支援学校や地域の学校の特別支援学級に学ぶ何らかの支援が必要な児童生徒へのサービスの総称。多くは,学校図書館や教員との連携により行われる。
 図書館が学校に出向いて,利用案内やおはなし会等を行う直接的なサービスと,学校図書館への団体貸出やリクエスト資料の提供,学校図書館を通じての個人利用者への資料提供等がある。資料の搬送も図書館が定期的に行っている場合がある。

10-16 合理的配慮の提供
 障害者の権利に関する条約や障害者差別解消法で規定されている概念。障害者等の社会的不利益がある人への個別の配慮や支援を指す。社会のあらゆる物やサービスについて,それを行う者(職員等)が,障害者等のそのサービスを使えない人の利用を保障しなくてはならないということ。利用者とそのサービスを行う職員が連携して,合理的にできうる範囲の支援を行う。ただし,過度な負担でないこととされている。

11-5(2) ウェブアクセシビリティのJIS規格
 「JIS X 8341-3:2016 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第三部:ウェブコンテンツ」
 障害の有無に関わらず,誰もがウェブコンテンツを利用できるようにするための基準。使用している端末,ウェブブラウザ,支援技術などに関係なく,ウェブコンテンツを利用することができるようにすることを目的としている。そのためにウェブコンテンツが満たすべきアクセシビリティの品質基準として,レベルA,レベルAA,レベルAAAという3つのレベルの達成基準が定められている。
https://waic.jp/knowledge/accessibility/#view-obtain-jis

11-5(3) 読み上げソフトに対応したページ
 読み上げソフト(スクリーンリーダー)で読めるように配慮されているHPのこと。音声のみで使うことを意識したページ構成,文字データでできている,画像や写真に代替テキストが付いているなどの配慮がある。

15-2 視覚障害者情報提供施設
 視覚障害者へ,点字図書・録音図書の貸出や製作等を行っている施設。
 点訳・朗読ボランティアの養成,視覚障害者に対する点字・読書用機器操作の指導等を併せて行なっている施設もある。
 身体障害者福祉法第34条で位置づけられ,都道府県,市町村,社会福祉法人等によって設置・運営されている。
 
15-3 聴覚障害者情報提供施設
 聴覚障害者のために手話通訳者の養成や派遣を行う施設。字幕・手話の入った映像資料の貸出や制作も行っている。併せて聴覚障害者への各種相談事業・情報機器の貸出等を行っている。
 身体障害者福祉法第34条で位置づけられ,都道府県,市町村,社会福祉法人等によって設置・運営されている。