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「石に泳ぐ魚」利用禁止措置の見直しについて(国立国会図書館へ要望) 

2003日図協第47号

2003年3月6日

国立国会図書館長 黒澤 隆雄 様

社団法人日本図書館協会 理事長  竹内 セ

同 図書館の自由委員会 委員長  三苫正勝

柳美里著「石に泳ぐ魚」(『新潮』1994年9月号所収)の利用禁止措置の見直しについて(要望)

拝啓 時下、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

さて先般、「『新潮』1994年9月号所収の柳美里著「石に泳ぐ魚」の閲覧禁止措置について」お尋ねしましたところ、貴館より平成14年11月1日付でご回答をいただきました。ご多用のところありがとうございました。

当協会図書館の自由委員会は、貴館の措置が各図書館に及ぼす重大な結果に鑑み、ご回答の内容を慎重に検討いたしました。その結果、このたびの措置について見直しをお願いしたいという結論に至りました。それは以下の見地にもとづくものです。どうぞご検討をお願いします。

国民の知る自由を保障するという貴館の役割に鑑み、憲法に定められた国政調査権の存する国会の議員をも含めた、完全な閲覧禁止措置には深い危惧をいだきます。

閲覧禁止の理由として、貴館は最高裁判所判決がこの「石に泳ぐ魚」の頒布差し止めを命じたものとされておられますが、この判決は裁判の被告である著者と出版者に出版等の公表を差し止めたもので、国民が当該作品を読むことを禁じたわけではありません。また原告も図書館に対して、閲覧禁止を求めたものでもありません。

貴館の措置は全国の図書館に影響を与えており、国民の知る自由を保障する機関としての図書館の在り方を図書館界内外に示すためにも、できる限り早い時期に閲覧禁止措置の見直しをご検討いただきますよう強く要望いたします。

                                        敬具