図書館の利用者から「面白い本なんかないかな?」「この本はどんな内容なの?」と聞かれたとき、わかりやすく図書を紹介することは日常のことです。こうした図書の紹介を書評として全国の公立図書館や学校図書館など、さまざまな司書に執筆依頼し、委員によって原稿の修正・訂正等をしたものを『図書館雑誌』の「図書館のおすすめ本」に掲載することが図書紹介事業委員会の主な活動です。またこの事業は日本図書館協会の「選定図書事業」を引き継ぐものです。
司書が書評を書く意義は,本を扱うさまざまな職種の中にあって著者や出版社,書店などと一定の距離があり,利害関係がないことです。本来,司書は,信用度が高く,公正な書評は,読み手にとって信頼でき,他の書評者とは違う強みがあります。
司書にとっても書評を書くことはその資質の向上にとても役立つはずです。書籍の内容を的確につかみ読者に分かりやすく紹介する文章力が鍛えられます。また,資料を深く知り,資料に精通した司書に育っていくことも期待できます。資料を熟知している司書の存在は図書館サービスの質的な向上にも役に立つと思います。さらに,書評の執筆は,個々の司書の向上につながるだけではなく,司書の社会的認知度を高め,広く出版文化を支えることにも寄与できるのではないかと思います。
図書館員の書評がメディアに載ることは稀です。「図書館員のおすすめ本」は、全国の司書に書評を発表する場を提供するものです。図書紹介事業委員会では、多くの司書に書評を執筆していただき、選書に資する充実した書評欄として育てていきたいと願っています。
『図書館雑誌』に掲載された書評をまとめて2021年に『司書が書く 図書館員のおすすめ本』(JLA図書実践シリーズ)として出版しました。ぜひご一読いただければと思います。

詳しくは図書紹介事業委員会のページをご覧ください。