公益社団法人日本図書館協会 図書館災害対策委員会
2026年3月11日更新
日本図書館協会図書館災害対策委員会では、過去の災害を教訓として、これまで集めた情報や課題を基に、地震への備えについて緊急にまとめ、これまでに『南海トラフ「巨大地震注意」呼びかけの終了に伴う対応 Ver.2.1』まで発信してきました。
2025年12月に青森県東方沖で発生したマグニチュード7.5の地震の後、初めて「後発地震注意情報」が発表されました。これは、地震発生から1週間「特別な備え」及び「日頃からの地震への備えの再確認」を実施するように呼びかけるものです。
このように近年、地震や大雨による災害が全国各地で発生しており、2026年もすでに1月6日に島根県東部を震源とする地震が発生し、鳥取・島根両県で震度5強を記録しています。もう地震は「いつ、どこで発生するか分からないフェーズに入っている」と言えるでしょう。
そこで、これまでの備えを再確認し、新たな状況にも対応できるよう、表題を変更して、内容も一部更新しましたので、引き続きそれぞれの図書館のマニュアルなどと合わせて再確認の上、災害への備えの参考にしてください。なお、このメッセージは、開館や運営全てにおいて行動制限するものではありません。国や自治体の情報等を把握し、適切な行動の下で図書館の運営にあたってください。
1.人命の第一を考えた備え
◎緊急連絡網の確認
□可能であれば、緊急連絡網以外に、SNSやメールといった複数の連絡手段を持ちましょう。
◎地震発生時の安否確認
□責任者を決めておき、地震発生後は前述の連絡手段を使って、まず職員全員の安否確認を行いましょう。
□職員は身の回りや自宅周辺の状況、並びに公共交通機関の運行状況を確認して、職場へ参集できるかどうかを判断の上、自身の安否と併せて回答しましょう。
◎緊急参集時の安全確保
□車での移動は特に危険が伴いますので、細心の注意をしましょう。地震や冠水による道路の陥没や隆起があるかもしれません。特に、夜間や雨天時には視界が悪くなりますので、注意しましょう。
□時間帯別(朝、昼、夜)に対応が取れるように体制を整えておきましょう。
開館前、開館中、閉館後で職員の状況は大きく変わります。安全を第一に考え、それぞれの場面で集まる人員を想定しておきましょう。
◎地震が続く場合
□臨時休館を検討しましょう。もしくは、館内で安全な場所を確保できる場合は、部分開館を考えましょう。(例:書架が無い場所や机がある場所で、新聞や地図等の閲覧。Wi-Fiの提供など)
□1週間程度は同程度の地震(余震)が起きることを想定して、慎重に判断しましょう。
◎適時の情報発信
□ウェブサイトやSNSでの発信に加えて、来館者にも伝わるように必要に応じて期間を定めるなどして、図書館玄関に開館情報等を掲出しましょう。
□近隣の図書館員と連絡が取れるようにしておきましょう。被災状況を伝えることで、早期に支援を受けられる場合もあります。また、被害の無い地域へ情報を伝えることで、代わりに発信してもらい、現地からの情報が拡散していく可能性が高まります。
◎移動図書館車の運行
□津波の浸水想定区域内、または土砂災害の危険区域内の経路やステーションの有無を確認しておきましょう。そして、地震や豪雨への備えと対応として、暫定的に運休も検討しましょう。
2.資料への配慮
◎落下による人命・資料への配慮をしましょう。
□緊急対応で暫定的に排架(配架)した資料を戻しましょう。その際、管理・運営や利便性とのバランスを考え、防災・減災に繋がるレイアウトなどを次の点に配慮して職員みんなで考えましょう。
□水漏れの損傷を避けるために、貴重な資料は上段に排架しましょう。また、保存ケースに入れるなどの方法も有効です。
水濡れは直接的な浸水以外にも、地震で配水管が損傷したり、スプリンクラーが誤作動したりすることで、引き起こされます。
□津波の浸水想定区域内にある図書館は、貴重な資料を上階または安全な場所への排架を検討しましょう。
□資料の床置きはやめましょう。
納品間もない資料が入った段ボールはその日のうちにブックトラックなどに排架、または木製以外のパレットを敷いた上など、床よりも高い位置に置くようにしましょう。自然災害による浸水だけでなく、漏水や雨漏りから資料を守ることができます。
3.施設、什器や備品類への配慮
◎安全点検を実施し、必要に応じて修繕をしましょう。
□避難経路の確認をしましょう。
□通路に置いてあるブックトラックや台車、床置きの段ボールを整理整頓し、避難経路を確保しましょう。
□車輪がついている備品は、ストッパーなどを必ずセットしておきましょう。
□事務机の引き出しに鍵を掛けることを習慣にしましょう。飛び出し防止機能の無い引き出しは地震により、引き出しが飛び出して、避難の妨げになります。
□災害時に事務室は図書館の災害対策本部になります。文書棚などが床と天井に固定されているか確認しましょう。
□書架が固定されているか確認し、固定されていない場合は危険な場所への立ち入りを禁止、または制限することを検討しましょう。ただし、利用や運営に配慮しながら、避難経路の確保が大切です。
□手動式の集密書庫の場合、地震を感知した際に自動的にロック機構が解除されないものは、人がいない場合や夜間は予めロック機構を解除しておくことも考えられます。
□水道やガスの元栓を把握しておきましょう。例えば、館内の漏水による被害を減らすことができます。
□スプリンクラーの元栓も把握しておきましょう。地震による配管の損傷に伴う漏水は、水道復旧時にも発生する可能性があり、これを防ぐことができます。
4.まとめ ~「つなぐ」使命を、備えから~
もし、「後発地震注意情報」が発表された際は、その後1週間程度、職員同士で積極的に声を掛け合い、常に地震へ対応できる体制を整えておきましょう。注意情報の発表が解除された後も、日頃からの備えを緩めることなく継続していくことが何よりの守りとなります。
図書館によって状況は様々ですが、まずは「今できること」から始めていきましょう。人命を守り、地域の大切な資料を次世代へ引き継ぎ、そして施設を安全に維持すること。これら一つひとつの行動が、私たちの図書館を守る大きな力となります。
特に3月から4月にかけては、多くの図書館で職員の入れ替わりが起こる時期です。せっかく積み上げてきた防災の意識や知識が途切れることのないよう、組織全体での情報共有と徹底した引き継ぎを心掛けましょう。職員全員による連携を図り、いつか来る災害への備えを万全にしていきましょう。
※関連リンク
気象庁:「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について
→https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/nceq/info_guide.html
内閣府:防災情報のページ>北海道・三陸沖後発地震注意情報の解説ページ
→https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/hokkaido/index.html
