図書館利用教育委員会のWebサイトの変更について
アクセシビリティに配慮したWebサイトに

福田博同(跡見学園女子大学文学部)

 図書館Webサイトは図書館利用の窓であり,アクセシビリティに配慮する必要があります。本サイトも2010年6月からアクセシビリティ対応に変更しつつあります。
 さて,アクセシビリティWebサイトについて若干振りかえってみます。
1999年5月,W3Cの「Web Content Accessibility Guidelines 1.0」(WCAG1.0)や,それに基づき2004年6月にJIS規格JIS-X8341-3で具体的な基準が示されております。
 WCAGについては,2008年10月にWCAG2.Oとして改訂されました(日本語訳:財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター情報アクセシビリティ国際標準化に関する調査研究開発委員会ウェブアクセシビリティ国際規格調査研究部会)。
 それに伴い,JIS-X8341-3は2010年8月20日に改訂されました。
 現在,工業標準化法第六十七条,障害者福祉法第十九条,政府の「行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)」などにより,公共機関のアクセシビリティ対応は必須となっています。
 また,2010年3月に筆者は「アクセシビリティを具現した図書館利用教育 : 現状と課題(1)」(『跡見学園女子大学文学部紀要』No.44 全文)として県立レベルの公立図書館を調査し,そのレベルを分析,批評し,望ましき方向を提言しました。
 同様な試みでは,この11月4日アライド・ブレインから「A.A.O.ウェブサイトクオリティ実態調査 図書館編第1回」として県立図書館の実名入りで公開されました(バックナンバー: カレントアウェアネス記事
 そのニュースを同日に伝えたJapan.internet.comは,「公立図書館Web サイトの多くがアクセシビリティへの配慮不十分――アライド・ブレインズ調査」として,他の地方自治体より配慮の不十分さが指摘され,Webサイトの改訂が急務となっております。
 「先ず,隗より始めよ」です。図書館利用教育委員会では,先ず,「盲ろう者」が読むことのできるサイト,高齢者・弱視者が読むことができるサイトへ変更し,徐々に肢体不自由者も利用できるサイトへと変更する予定です。今回の修正は以下の通りです。

   
  1. 見やすい配色(コントラスト比)
     白地に黒文字(リンクは青文字)より,黒地(もしくは紺地・青地)に白太文字(リンクは黄文字)が最も見やすく,対応しました(また,コントラスト比がない場合,読めない人がおります)。
  2. 見やすい行間
    英語(1バイト文字)の行間に日本語(2バイト文字)を入れれば必然的に行間がせまく,見づらくなります。英文を1とすると1.5前後の行間が必要で,対応しました。
  3. 単語の間に空白を入れない
    「日 本 図 書 館 協 会」と空白を入れて記入されている文字は音声ブラウザでは何を申しているか分かりませんので対応しました。
  4. 弱視者用に画面を拡大してもカーソルの横スクロール不要
    老眼用には,18point程度の文字が最低限必要ですが,現在のブラウザはCtrlキーに+キーで画面を拡大できます。弱視の場合,さらに文字を拡大する必要があります。拡大で画面外の文字は横スクロールしないと読めないサイトが多いのですが,本サイトは対応しております。
  5. 1ページを音声ブラウザで90秒以内を目標に
    1ページを下スクロールしないことが原則ですが,読み物の場合長くなるので90秒以内の読み上げを基準としています。リンク数が多いと音声ブラウザで読み上げるのも大変です。1ページのリンク数を最大15以内を目標にしています。
  6. WCAG1.0に対応
    3つのアクセシビリティチェックにパス。
     ・W3Cのアクセシビリティチェック(The W3C Markup Validation Service)にパス
     ・W3Cの「CSS Validaton Service」にパス
     ・Another HTML-lintで100点。
  今回修正した,紺地に白文字分はすべてパスしております。チェックマークを推奨されておりますが,リンクが増えるので記入しておりません。
 概ね,上記の点を配慮しましたが,なお,今後,残りのページを順次更新する予定です。
                            

以上

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