図書館利用教育委員会からのお知らせ

学校図書館ワーキンググループが発足

有吉末充(京都学園大学)

 図書館利用教育委員会は好評をいただいている『図書館利用教育ハンドブック大学図書館版』に続く学校図書館(高等学校)版の出版について,検討のためのワーキンググループを発足させることにしました。

社会のデータベース化,フラット化が進行する現在,個人がアイデンティティを確立することや主体性を確立することはますます難しくなっています。この困難な時代に「考える市民」の育成するために高等学校図書館は何をなしうるのか,それがワーキンググループの検討の出発点になると考えます。情報の探索技術を教えるだけではもはや十分とは言えません。手に入れた情報を取捨選択し,それをもとに自分で考え,社会にコミットしていくような力を生徒が身につけていくために,学校図書館は教育のなかでどのような役割を果たすことができるのでしょうか?

このハンドブックは単なる技術的リテラシー教育のマニュアルを目指すものではありません。もちろん,学校図書館の現場で何ができるのか,その方法を探っている人にとっては平明なテキストであることが必要ですが,そこにとどまらず,学校図書館が秘めている可能性を提示するものであることをも目指したいと思います。従って,読者として想定しているのは,学校図書館の現場で活動している司書教諭,学校司書,その他学校図書館担当者はもちろんですが,同時に,これから学校図書館と協力していく可能性のある教科教諭,学校図書館に関心のある市民やマスメディアをも潜在的読者と想定します。

ワーキンググループでは,これから1年程度をかけて,様々な実践事例を集め,その効果と方法を分析して,どうすればそれを多くの人に応用可能な形で提示できるのかを検討します。学校図書館での指導の方法だけでなく,教科や担任との連携をどう作るかなど実践を支える背景的な部分にも焦点をあてていきます。その過程で「利用教育ガイドライン」の内容をも検討し,時代にあわせて変更することが必要な部分があれば改訂することもありえます。また同時に,出版か,あるいはWebでの公開など他の方法をとるかなど有効な発表の方法も検討していきます。

ワーキンググループのメンバーに予定されているのは現在の所次の方 々です。

(順不同)
監修

 委員会からの連絡調整担当には有吉末充(京都学園大学)があたります。またグループのまとめ役は松田さんにお引き受けいただきました。
 ワーキンググループ次回打ち合わせは6月中を予定しています。

通信70号目次← →次の記事へ