日本図書館協会図書館の自由委員会大会・セミナー等2017年東京大会

平成29年度(第103回)全国図書館大会 東京大会 第11分科会 図書館の自由


第7分科会/図書館の自由

テーマ:プライバシー保護と図書館の自由



大会への招待

 (『図書館雑誌』vol.111,no.9 2017.9 掲載原稿より)

第11分科会 図書館の自由  プライバシー保護と図書館の自由

□基調報告:図書館の自由・この一年 西河内靖泰(JLA図書館の自由委員会委員長、広島女学院大学)

1.「図書館の自由・この一年」
 この一年間の図書館の自由に関する事例をふりかえり,自由委員会の論議と対応を報告します。
・マイナンバーカードの図書館利用について
 2017年1月に緊急学習会を開催。「『マイナンバーカード』を『図書館カード』として使用することについての論点・課題整理」を公表しました。
・委員会サイトに「図書館の自由通信」「こんなとき,どうする?」新設
 「図書館の自由通信」は「図書館の自由」関連事項の迅速な情報提供を,「こんなとき,どうする?」は日常業務の中の考え方や確認点を掲載します。
・「組織犯罪処罰法改正案」の成立に対する声明などを予定しています。
2.「『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説』2019年版の必要性について」1987年に刊行した『「図書館の自由に関する宣言 1979年改訂」解説』は2004年に改訂し,その後10年以上が経過しています。今日的状況に見合った新たな解説の必要性を提起します。

□報告:プライバシー保護ガイドライン策定に向けて 松井正英(JLA図書館の自由委員会委員,長野県茅野高等学校図書館)

 2013年に行った連続セミナー「みんなでつくるネットワーク時代の図書館の自由」の論点整理や,ALAのプライバシー・ガイドラインを参考にしながら作成した,ガイドラインの骨子を発表します。

□会場討議

 報告をふまえて,自由宣言の新たな解説やガイドライン骨子に関する意見交換を行います。

(天谷真彦(あまたにまさひこ) :守山市立図書館)

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平成29年度(第103回)全国図書館大会ハイライト

第11分科会=図書館の自由 プライバシー保護と図書館の自由

(『図書館雑誌』vol.112,no.1 掲載予定原稿より)

 基調報告では、図書館の自由委員会の西河内靖泰委員長よりこの一年間の図書館の自由に関する事例と同委員会の活動が報告された。主なものとしては、「共謀罪」法案関連、マイナンバーカードの図書館利用のほか、直近の事案として枚方市のリクエスト資料の提供などが取り上げられた。
 また、『「図書館の自由に関する宣言1979年改訂」解説』について、情報環境やプライバシー概念など、時代の変化に即した加筆や改稿の必要性を述べた。特にプライバシー保護に関して、1984年に総会
採択された「貸出業務へのコンピュータ導入に伴う個人情報の保護に関する基準」及び「委員会見解」に替わるガイドラインの作成を主眼に置くことが説明された。
 続いて、松井正英委員からは「図書館利用のプライバシー保護ガイドライン策定に向けて」報告があり、ガイドライン検討への経緯とIFLAやALAなどの動向の紹介のあと、ガイドラインの骨子案が示された。
 案は、2013年に開催した連続セミナー「みんなでつくる・ネットワーク時代の図書館の自由」において合意を得られた内容を元に章立てを行っている。アクセスログについても収集情報とみなすこと、不要になった情報の匿名化・破棄、ビッグデータ時代における商業・民間からの脅威、利用者への説明責任、履歴サービスについてはオプトイン方式とすることなど、各章のポイントが紹介された。
 会場討議では、宣言解説について会員からの意見を募ること、学校現場に向けたガイドライン普及の取り組みを求めることなどの意見が出た。マイナンバーカードに関連して、配布資料「「マイキープラットフォーム実証事業 図書館共同利用システム」の機能利用に関する課題」について委員より説明を行った。また、システムベンダーへの対応として、「図書館システムのデータ移行問題検討会」の取り組みが紹介された。
 参加者は49名であった。

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