第27期目録委員会記録 No.15
第15回委員会

日時:2000年9月2日(土)14時〜16時45分
場所:日本図書館協会5階会議室
出席者:永田委員長、乙骨、原井、古川、堀井、増井、室橋、横山、和中
<事務局>磯部

[配布資料]
1. 日本目録規則1987年版改訂版第9章電子資料
(1冊−A4)(事務局)
2. 13章改訂に関する問題点整理
(2ページ−A4)(原井委員)
3.13章原文(1章関連条項を含む)
(31ページ−A4)(原井委員)
4.ISSN Manual ドラフト(−Revised-June 2000)
(1枚−A4)(原井委員)
5.改題基準の見直しについて(ISSNの改題基準抜粋より)
(4ページ−A4)(原井委員)
6.改題としない変化
(3ページ−A4)(原井委員)
7.平成11年度該当事例
(2ページ−A4)(原井委員)
8.Outcomes of the Meeting of the Joint Steering Committee held in San
Diego, 22-24 March 2000 and other documents
(10ページ−A4)(古川委員)
9.ウェブOPACの実際と図書館ウェブサイトの設計
(8ページ−A4)(乙骨委員)
10.『ウェブOPACの原理と技法』(仮題)第2章:目録の意義と機能
(9ページ−A4)(和中委員)
11.目録評価表(著作、表現形、実現形及び記述対象の属性との関係)
(8ページ−A4)(和中委員)
12.第3章電子資料の書誌記述(作業中)
(8ページ−A4)(委員長)


[検討事項]
1. 第13章逐次刊行物の検討について
原井委員から、資料2に基づいて、第13章を検討していく上でのポイントに関する説明があり、その後協議を行った。
(NCR全体との関係について)
・ AACR2の改訂草案はかなり大幅な変更を見せているようだ。また、ISBD(S)も名称がISBD(CR)に変わるとのことである。第13章の改訂作業を進める前に、このような状況を踏まえ、まず問題点を整理した上、NCR全体の構成との関係をどうとらえるかについてしっかり押さえておきたいと思う。枠組みが固まらないと先に進むのが難しい。
・ AACR2のJoint Steering Committee の記録(資料8)を見ると、第9章の改訂内容はISBD(ER)を大きく踏み越えた内容になっており、NCRの新第9章とは随分異なるものになりそうな雰囲気だ。今後も周囲の動向をよく見ていく必要がある。
・ 一つの章の改訂がその章だけの問題にとどまらないことを、われわれは、第9章の改訂作業を進める中で学んできた。第13章の改訂作業も、当然、他の章との関連を考慮せずに進めることはできないだろう。
◎ 具体的な改訂作業と文献読解とを同時進行で進めていきたい。新13章の章名は、とりあえずISBDなどと同じContinuing Resourcesとし、Serial だけでなくIntegrating Resourcesも含めて考えたい。
(タイトル・チェンジについて)
・ 国会図書館では現在の13章に対する適用細則を作成している段階である。
・ 電子ジャーナルの場合、タイトル・チェンジがあるたびに、遡及してすべての号がいっぺんに変わってしまう。紙媒体を扱うのとは様相が異なる。
・ 学術の世界は日を追うごとに電子化され、今や電子ジャーナルが紙媒体を凌駕する状況にある。一方、大量に出回る一般雑誌は圧倒的に紙媒体である。このどちらをも扱わなければならないところに図書館の目録の難しさがある。
◎タイトル・チェンジに関する枠組みは固まっているようだ。ただ、日本の逐次刊行物にどう適用するか、ISBDに準ずるとしても問題は生じよう。総合目録とのからみも押さえながら検討を進めていきたい。
(書誌階層について)
・ 第13章の改訂を行う上で、書誌階層をどう考えるかは大きな問題である。一つの章だけの問題では済まないと思われる。
・ 87年版を作る過程で、書誌階層と書誌単位についての議論は十分に行われたのか。逐次刊行単位は、書誌記録内の階層とは異なるレベルの話であり、今回の改訂に際して削除してもよいのではないか。
・ 単行単位という言い方をしてしまったために、逐次刊行物に適用できなかったところが反省点である。基礎単位とでもしておけば、共通して使えたのではないか。
・ 書誌階層に触れると、全体の改訂に波及せざるを得ないだろう。あえて踏み込まない方法もあるのではないか。
(所蔵事項について)
・ 所蔵事項は他の章にはなく、13章だけにある。慎重に検討したい。
・ 現在の13章だと、Continuing Resourceにおける特定巻号の書誌的記録を作成することは難しいのではないか。特集号の内容などの重要な情報はどう扱えばよいのか。
・ 巻次等に関する注記と内容注記を組み合わせれば、書誌的記録を完成させることは可能だと思われる。所蔵事項はあくまで個別図書館の情報だろう。
・ 図書に関しては、書誌単位と物理単位の組み合わせによって記録を作成する形になっているが、雑誌は、逐次刊行単位と所蔵事項から成っている。逐次刊行物の物理単位という考え方も成り立つのではないか。
◎所蔵事項の議論は書誌階層の問題と関連する。時間をかけて検討したい。

2.『ウェブOPACの原理と技法』(仮題)について
第1章は乙骨委員、第2章は和中委員、第3章は委員長から、それぞれ資料に基づいて説明があり、これを受けて協議を行った。
(第1章)
・ 1.1.1という表記方法は避けた方がよいだろう。せいぜい2桁どまりでは。
・ いきなりウェブOPACから始まるのでは唐突な印象を与えてしまう。歴史の話は後回しでよいとしても、序説的な部分が必要である。冒頭でOPACの説明を簡単に行った方がよいのではないか。
・ セキュリティーにも触れてほしい。
・ 電子資料のコンテンツ・サービスの実例も紹介した方がよい。
(第2章)
・ 先に実例を紹介し、その後で歴史や理論を扱った章を持ってくるという構成はよいと思う。ただ、序説に相当する部分は第1章に移した方がよいだろう。
・ 第2章と第3章のつながりをもう少し整理したい。
(第3章)
・ 第2章はSemanticsの議論が中心になるが、第3章ではSyntaxについて書きたいと考えている。
・ 第3章でダブリン・コアの話が出てくるが、ダブリン・コアは典拠コントロールをどのようにとらえているのか。同一人格が著したものをまとめるという考えはあるのか。
・ ダブリン・コアはその名が示すとおりコアとなるエレメントを提示したものであり、典拠コントロールとは直接的には関係しない。ダブリン・コアを拡大しようという動きもあるが、そうなると共通の基盤ではなくなってしまう。典拠コントロールは、上位のコミュニティである図書館の目録の世界の話であろう。
◎ 図書館協会の意向もあり、この『ウェブOPACの原理と技法』(仮題)はできる限り早い時期に完成させたい。今後も精力的に執筆活動を進めていただきたい。