「図書館利用に障害のある人々へのサービス」刊行の意義と内容紹介  日本図書館協会障害者サービス委員会委員 目黒区立八雲中央図書館 椎原綾子 1 出版の目的 図書館員選書「障害者サービス」補訂版(2003年刊行)出版から15年が経ち、障害者サービス用資料の進展、法律の改正、施行など現状にそぐわなくなったことによる、内容の改定 障害者サービスの普及と推進のための基本書  より深いサービスの推進のための手引書として、先進事例などの紹介 2 最新情報を取り入れた内容 著作権法改正   2009年著作権法第37条第3項の改正により、点字図書館だけでなく、公共図書館や学校図書館なども障害者用資料の作成が許諾なく行えるようになった。 障害者差別解消法   2016年施行により差別の禁止の基本原則を具体化。 マラケシュ条約   視覚障害者等の著作物の利用機会を促進するため,点字,音声読み上げ図書等の「利用しやすい様式の複製物」に関し,著作権の制限又は例外を規定するとともに,そうした複製物を国境を越えて交換すること等について定めるもの。日本は2018年批准。 障害者用資料の進展、機器、ソフトの普及   マルチメディアデイジー、デイジー再生ソフトの増加、等。 3 編集方針 障害者サービス初心者にもわかりやすく   図書館利用に障害のある人の理解から、障害者サービスを始めるにあたっての実際の作業・手順など、具体的に活用できる内容。 障害者サービスを行っている図書館にも役に立つ情報   先進事例、最新の制度、機器、アプリの紹介。  執筆者は各分野において活動し、詳しい方々に依頼   JLA障害者サービス委員会委員に限らず、多くの方に依頼。 重複を避け、文体、用語を統一し、読みやすく編集   各執筆者の原稿をまとめて一貫性を持たせた編集を行ったため、執筆者は多いが、 読みやすい。 4 活用方法 障害者サービスはこれからという図書館へ 図書館利用に障害のある人の理解   身体障害者手帳を持っている人だけが対象ではない。 障害者用資料と入手方法   障害者用資料を所蔵していなくても資料は提供できる。 サービスを開始するための実際の作業・手順   利用登録、貸出、揃えたい用具 など。 5 活用方法 様々な図書館利用に障害のある人々へ   視覚障害者だけが対象ではない。 障害者サービスを学ぶための基本図書として 新しく担当になった職員や、障害者サービスを知ってもらうための基本図書として。 障害者サービスのPR   障害者サービスの利用者がいない(少ない)のは、障害者サービスが知られていないことも理由の一つ。 自館のサービスを見つめなおし、新たな取り組みのヒントを得るために   先進事例を参考に。 6 活用方法  大学でのテキストとして   図書館学を学ぶ学生へ。 図書館運営に関わる関係者の方にも   教育委員会など自治体関係者の方や、学校や大学の図書館運営に関わる方などへ。 図書館協力者   音訳・点訳・布の絵本などの障害者用資料製作に関わる方へ。 障害者サービスについて知りたい利用者の方へ 7 EPUB版(電子書籍版)について ダウンロード版とCD版 購入者個人が自分で使用する場合は1ライセンスで複数台での使用が可能 電子書籍ならではの特徴   カラー表示、注・HPへのジャンプ、全文検索、白黒反転、フォントの変更(サイズ、種類、文字間隔)。   ページ表示はビューワによって変わる。 日本図書館協会の出版物として、はじめての電子書籍化の取り組み 8 まとめ 障害者サービスを行っている図書館は、2割に満たない(国立国会図書館2017年度公共図書館における障害者サービスに関する調査研究指標1より) アクセシブルな電子書籍の刊行を 障害者がいない自治体はない 本書を基本書として障害者サービスの取り組みと拡充を