「図書館利用における障害者差別の解消に関する宣言」                               2015年12月18日                             公益社団法人日本図書館協会  2016年4月1日に予定される「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)の施行を控え、  ・国際障害者年(1981年)の全国図書館大会(埼玉大会)全体会における「著作権問題の解決を求める決議」とその後の著作権法改正活動を含む図書館利用に障害がある人々へのサービス(障害者サービス)の発展を回顧し、 ・障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)が、その第二十一条で締約国に「障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること」を求めていることに特に留意するとともに、障害者との意思疎通に努め、 ・全国のすべての図書館と図書館職員が、合理的配慮の提供と必要な環境整備とを通じて、図書館利用における障害者差別の解消に、利用者と手を携えて取り組むことを宣言する。 (この宣言は、2015年第101回全国図書館大会(東京大会)障害者サービス分科会に提案し参加者に承認されたものである。  日本図書館協会ではこれを協会宣言として発表し、全国のあらゆる図書館及びその職員に対し、障害者権利条約でいう合理的配慮の提供と基礎的環境整備を行うことで、図書館利用における障害者差別の解消、つまりすべての人が利用できる図書館に図書館自らが変わるべきことを求める。) 障害者の権利に関する条約 (日本政府公定訳)                     2014年1月20日公布 第一条 目的  この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。  障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。 第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会  締約国は、障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(他の者との平等を基礎として情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するための全ての適当な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。 (a) 障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること。 (b) 公的な活動において、手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が自ら選択する他の全ての利用しやすい意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受け入れ、及び容易にすること。 (c) 一般公衆に対してサービス(インターネットによるものを含む。)を提供する民間の団体が情報及びサービスを障害者にとって利用しやすい又は使用可能な様式で提供するよう要請すること。 (d) マスメディア(インターネットを通じて情報を提供する者を含む。)がそのサービスを障害者にとって利用しやすいものとするよう奨励すること。 (e) 手話の使用を認め、及び促進すること。