2010年1月6日
NPO法人日本禁煙学会
理事長  作田 学 様
社団法人日本図書館協会
理事長  塩 見  昇
 

「タバコ礼賛「たくさんの不思議2010年2月号」の不当性について」への お答え



このたび、福音館書店「月刊たくさんのふしぎ」2010年2月号『おじいちゃんのカラクリ江戸ものがたり』について、次のようなご指摘と要請を頂きました。

1.喫煙シーンが頻繁に描かれており、本文にもタバコを「良いもの」「嗜好品」だという意識を児童・幼児に植え付ける表現・内容がある。
2.このことは、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」の第13条4項aが国に禁止することを求められている「誤った印象を生ずるおそれのある手段を用いることによってたばこ製品の販売を促進する・・・広告」に当たる。
3.資料として蔵書することはともかく、書架において児童・幼児の閲覧に供することは直ちに中止するよう求める。


このことにつき、次の通りお答えします。

1.多くの公立図書館と学校図書館は、健康増進法、未成年者喫煙禁止法などの法律をふまえた健康増進、青少年保護などに係わる条例などにもとづき、施設内における喫煙および受動喫煙を防止する方策をとっています。

2.当協会は、図書館の運営原則について「図書館の自由に関する宣言(1979年改訂)」(総会決議)を公表し、資料の収集に当たっては、「多様な、対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する。」「図書館員の個人的な関心や好みによって選択をしない。」「図書館の収集した資料がどのような思想や主張をもっていようとも、それは図書館や図書館員が支持することを意味するものではない。」としています。
 蔵書の提供については、「すべての国民は、図書館利用に公平な権利をもっており、人種、信条、性別、年齢やそのおかれている条件等によっていかなる差別もあってはならない。」と言明し、特定個人の「人権またはプライバシーを侵害するもの」や、「わいせつ出版物であるとの判決が確定したもの」など以外は、市民の自由な利用に供することとしています。
 出版物はじめ知的生産物については、自由かつ旺盛に公表されるとともに、自由な流通とアクセスが保障されることが民主主義と国民主権を支える「表現の自由」及び「知る権利」の本旨であり、このことは年齢によって抑制されるべきではないものと考えます。  なお、図書館は著者ないし出版当事者が自著に見解を付加する要請を排除するものではありません。

3.個々の資料・情報の収集・提供・保存において、公立図書館、学校図書館は、各館が基づく法令・規則などや地域(コミュニティ)の実情をふまえて自主的・自律的に判断します。
 当協会は図書館事業の振興に係わる個人(個人会員)と図書館(施設会員)の任意加盟による社団法人であり、個々の資料の扱いを含む図書館の運営について指示を行う立場にはないことを念のため申し添えます。
以上