0類 10版試案
下線:改訂箇所
0類のうち情報科学(007)については,新訂9版改訂の基本方針に従い,情報工学(548)
との統合を検討した。この件については,引き続き5類の改訂作業においても検討するので,
007の試案の発表は,5類の改訂作業の終了後に548と一括して行う予定である。
したがって,以下では,007を除く0類の試案について,「日本十進分類法第10版試案の
概要―その4「総記」の部―」(『図書館雑誌』2009年7月号掲載)で省略した部分も含め
て述べる。とくに014(資料の収集・組織化・保存)と015(図書館サービス・活動)に大
きな変更を加えた。014では,分類項目や注記中の用語を変更し,新語を挿入するなどして
表の現代化を図ったが,015では,図書館サービス・活動の多様化に対応するため,表の構
造に関わる分類項目の新設や移動も行った。
010 図書館.図書館情報学
*電子図書館は,ここに収める
項目名を「図書館学」から「図書館情報学」に変更し,これに伴い「図書館情報学は,こ
こに収める」という既存の注記を削除した。
011 図書館政策.図書館行財政
*ここには,一般および公共図書館に関するものを収める;公共図書館以外の各
館種に関するものは,016/018に収める
公共図書館以外の図書館を収めるべき分類記号を指示する注記を付した。
013 図書館経営・管理
*ここには,一般および公共図書館に関するものを収める;公共図書館以外の各
館種に関するものは,016/018に収める
*図書館の安全管理,危機管理は,ここに収める
図書館経営論に関する出版物の増加を踏まえ,項目名に「経営」を追加した。
014 資料の収集.資料の組織化.資料の保存
*館種の別なく,ここに収める
*資料組織法,書誌コントロールは,ここに収める
*ウェブアーカイビング,メタデータ〈一般〉は,ここに収める
*各種の資料に関するものは,目録法および分類法を除き,014.7/.8に収める
近年の変化を踏まえ,分類項目名中の「整理」を「組織化」に,そして「保管」を「保存」
に変更した。また,どこに分類すべきか迷いがちな書誌コントロール,ウェブアーカイビン
グ,メタデータに関する注記を付した。
014.1 図書館資料.図書の選択.蔵書構成
.2 受入と払出:購入,寄贈,登録,蔵書印,除籍,廃棄
.3 目録法 →:007.57
*記述目録法は,ここに収める
*典拠コントロールは,ここに収める
.32 目録規則:記入,記述,標目
*英米目録規則[AACR],RDA,日本目録規則[NCR]などは,ここに収める
.33 配列.編成
014.2の分類小項目名に「除籍」と「廃棄」を追加した。014.32については,014.45(一
般分類表)に倣って代表的な目録規則の名称を列挙した注記を付した。
〈014.34/.37 各種の目録〉
.34 目録の種類.目録の形態
カード目録,冊子目録
.35 総合目録〈一般〉
*総合目録データベース→014.37
(.36 目録カードの複製.印刷カード →014.34)
.37 コンピュータ目録
*機械可読目録[MARC]とそのフォーマットは,ここに収める
*集中目録作業,共同目録作業,書誌ユーティリティは,ここに収める
*図書館の機械化〈一般〉→013.8
各種の目録に関する中間見出しを新設した。その下の014.35に総合目録データベースを
014.37に導く注参照を付し,さらに014.37の項目名を「目録の機械化」から「コンピュー
タ目録」に変更することにより,総合目録を含む各種のコンピュータ目録を014.37に収め
ることを明示した。他方,014.36は,今後の使用が見込めないという理由から削除項目に
変更した。
014.4 主題分析:分類法,件名標目法
*主題目録法は,ここに収める
*別法:主題分析007.52
9版の分類項目名は「分類法.件名標目法.主題分析」であったが,「分類法」と「件
名標目法」は「主題分析」の下位概念であるという理由から,分類項目名を「主題分析」
に変更し,「分類法」と「件名標目法」は分類小項目名とした。
014.6 資料保存.蔵書管理
.61 資料保存
*保存方針,保存計画,保存協力〈一般〉は,ここに収める
.612 劣化.破損
虫害,かび,酸化,水濡れ,光化学的劣化,物理的損傷
.614 資料保護:消毒,曝書,燻蒸,脱酸,紙強化法,ドライ クリーニング,
補修,保存容器,中性紙
*資料修復は,ここに収める
.616 内容保存.媒体変換
.66 図書館製本
*製本〈一般〉→022.8
.67 書庫管理
*蔵書点検,亡失は,ここに収める
.68 保存図書館[デポジット ライブラリー].共同保存
資料保存に関する近年の動向を踏まえ,014.614の項目名を「劣化・破損の対策」から
「資料保護」に変更し,014.616「内容保存.媒体変換」を新設し,さらに注記等の充実
を図った。
〈014.7/.8 各種の資料〉
*目録法は014.38に,分類法は014.48に収める
.7 非図書資料.特殊資料
*電子資料〈一般〉は,ここに収める
.71 文書.記録.書写資料.貴重書
.72 郷土資料.博物資料
(中略)
.75 継続資料:逐次刊行物,更新資料
.76 マイクロ資料
.77 視聴覚資料:映画フィルム,スライド,レコード[音盤],録音テープ,ビデオ
テープ,レーザーディスク[LD],コンパクト ディスク[CD],DVD
→:375.19
.78 地図資料.図表.楽譜.絵画.写真
.79 視覚障害者用資料:点字資料,録音資料,大活字資料 →:016.58;378.18
.8 政府刊行物
各種の資料(014.7/.8)に関する中間見出しを設け,その下に「目録法は014.38に,
分類法は014.48に収める」という注記を付した。これに伴い,014.7と014.8の下の同一
内容の注参照と,014.76の下の「マイクロ化資料に関するものは,すべてここに収める」
という注記を削除した。以上のほか,014.7以下に列挙された各種の資料の名称は,日本
目録規則1987年版改訂3版における名称と一致させた。
015 図書館サービス.図書館活動
*ここには,一般および公共図書館に関するものを収める;公共図書館以外の
各館種に関するものは,016/018に収める
*利用者研究および図書館利用法は,ここに収める
*広報活動→013.7
.1 資料提供サービス:閲覧,貸出
*リクエスト サービス,予約サービスは,ここに収める
.12 複写サービス
*別法:015.29
.13 図書館相互貸借[ILL]
*別法:015.38
[.17] 障害者に対するサービス →015.97
.2 情報提供サービス:レファレンス サービス[参考業務]
*レフェラル サービス,遡及探索サービス,読書相談は,ここに収める
.23 利用教育
*参考図書の利用法は,ここに収める(別法:019.4)
[.29] 複写サービス →015.12
(.3 図書の貸出.貸出記録法 →015.1)
[.38] 図書館相互貸借[ILL]→015.13
(.4 貸出文庫.団体貸出 →015.1)
(中略)
.8 集会・行事活動
講演会,郷土研究会,展示会,映画会,音楽鑑賞会
.9 特定の利用者に対するサービス
.91 乳幼児に対するサービス
*ブックスタート→019.53
.93 児童・青少年に対するサービス
.94 成人に対するサービス
*ビジネス支援サービスは,ここに収める
.95 高齢者に対するサービス
.97 障害者に対するサービス
*別法:015.17
.98 多文化サービス
.99 アウトリーチ サービス
近年の図書館サービスの多様化に対応するため,表の構造を015.1「資料提供サー
ビス」,015.2「情報提供サービス」,015.8「集会・行事活動」,015.9「特定の利
用者に対するサービス」に改めた。これに伴い,015.3「図書の貸出.貸出記録法」
と015.4「貸出文庫.団体貸出」は削除項目に変更して,015.1を使用するよう指示し
た。しかし,015.17「障害者に対するサービス」,015.29「複写サービス」と015.38
「図書館相互貸借[ILL]」については,分類実績が多いために削除項目とせず,9版
の分類記号を引き続き使用することができる二者択一項目とした。
以上のほか,名辞については,「奉仕」を「サービス」に変更した。また,015.8
「集会・行事活動」の関連分類項目名「お話会」は,015.93「児童・青少年に対する
サービス」の新設に伴い削除した。
〈016/018 各種の図書館〉
*ここには,公共図書館を除く館種別の経営・管理を含む各種の問題を収める
*図書館〈一般〉および公共図書館〈一般〉に関する政策・行財政は011に,
経営・管理は013に,サービス・活動は015に収める 例:011.4公共図書館
の財政; 013.1図書館の人事管理;015.2公共図書館の参考業務
*建築・設備に関するものは,館種の別なく012に収める;ただし,一館ごと
の建築誌は,ここに収める 例:012.1大学図書館の建築計画
*資料の収集・組織化・保存に関するものは,館種の別なく,個々の館を含
め,すべて014に収める 例:014.1学校図書館の資料収集
*一館ごと(公共図書館を含む)の沿革,要覧,統計,報告書などは,ここ
に収める;ただし,近世以前の文庫史は010.2に収める
9版と同じ内容であるが,分かりやすく書き直した。
016 各種の図書館
.1 国立図書館
*地理区分
*専門図書館として機能する国立図書館は,018の下に収める 例:018.49
国立医学図書館(米国)
.2 公共図書館
*地理区分
*公共図書館〈一般〉に関しては,政策・行財政を011に,建築・設備は一
館ごとの建築誌を除いては012に,経営・管理を013に,図書館サービス
および活動を015に収める;なお,012,014の注記をも参照
.28 児童図書館
*青少年図書館は,ここに収める
*公共図書館における児童サービス,ヤングアダルト サービスは,015.93
に収める
(中略)
.3 官公庁図書館.議会図書館
*地理区分
*地方議会図書室は,ここに収める
(中略)
.5 その他の図書館
.53 刑務所図書館
.54 病院患者図書館
*医師などの専門職を対象とする病院図書室は,018.49に収める
016.3の下の注記「国立図書館→016.1」を削除し,016.53と016.54の項目名を現在広
く使用されるものに変更したほか,必要に応じて他の関連した分類項目に導くための注
紀などの充実に努めた。
017 学校図書館
(中略)
(.6 短期大学図書館 →017.8)
.7 学術図書館.大学図書館
*地理区分
.8 短期大学図書館.高等専門学校図書館
9版では,017学校図書館の下に,学校図書館法にいう学校図書館と,それに該当し
ない短期大学図書館と大学図書館を列挙した。また,学術図書館が項目名や注記に明
示されていない。この試案では,017.7の項目名に「学術図書館」を加えて学校図書
館と同位の項目とした。また,分類項目の並びを377に倣って大学図書館,短期大学
図書館の順に変更し,017.8の項目名に「高等専門学校図書館」を追加した。
018.09 文書館.史料館
*ここには,文書館,公文書館,史料館〈一般〉を収め,個々の文書館
に関するものは,018.096/.098に収める
*文書館学,文書管理論,記録管理論は,ここに収める
*貴重書,郷土資料,その他の特別コレクションの専門図書館に関する
ものは,018.098に収める
.091 文書管理政策.文書館行財政・法令
.092 文書館建築.文書館設備
.093 文書館経営・管理.文書館職員
.094 資料の収集.資料の組織化.資料の保存 →:014.71
.095 資料の展示.資料の利用.資料・展示の宣伝
〈.096/.098 各種の文書館〉
.096 文書館
.097 学校文書館.大学文書館
.098 専門文書館
.099 文書館収蔵文書目録
*特定主題に関するものは,各主題の下に収める 例:121.59吉田松
陰関係資料目録;218.2香川家文書目録;318.231茨城県行政文書目録
公文書管理に関する制度整備に伴う出版点数の増加が見込まれるため,018.09の下を
細分した。
021.49 コンピュータによる編集
*DTPは,ここに収める
*電子出版の事情は023に収める
2番目の注記の冒頭に記された「CD‐ROMやレーザーディスク[LD]などの」を削除した。
027.2 政府刊行物および団体出版物目録
*地理区分
項目名を014.8に合わせて変更した。
029.3 官公庁図書館.議会図書館
*地理区分
9版の項目名「官公庁および地方議会図書館」を016.3の項目名に合わせて変更した。
029.5 刑務所図書館.病院患者図書館
項目名を016.53と016.54に合わせて変更した。
031.5 名数.番付
*数値による比較などを集めたものも,ここに収める
*数え方に関する辞典,数量呼称一覧などは,815.2に収める
名数とは何かが分かりづらいので,注記を付した。
039 用語索引〈一般〉
*ここには,一般の語句索引を収め,特定主題の語句索引は,各主題の下に
収める 例:193.5聖書コンコーダンス
例示を追加した。
051.9 情報誌〈一般〉
*タウン情報誌は,ここに収める
注記を追加した。
059 一般年鑑
*地理区分
*ここには,総合年鑑および一地域に関する総合年鑑を収める
*特定主題の年鑑は,各主題の下に収める 例:010.59図書館年鑑
*統計を主とした年鑑は,350/357に収める
一般年鑑以外の年鑑に関する注記を追加した。
065 親睦団体.その他の団体
*ロータリークラブ,県人会などは,ここに収める
注記に県人会を追加した。
069.3 博物館経営・管理.博物館職員
(中略)
.7 学校博物館.大学博物館
069.3の項目名に013に倣って「経営」を追加した。また,069.7の項目名に大学博
物館を追加した。
070.17 報道写真.新聞写真.新聞印刷
*報道・新聞写真の撮影技術は,743.8に収める
*報道写真集〈一般〉は,748に収める;特定主題の報道写真集は,各
主題の下に収める
注記を追加した。
071/077 新聞紙
*発行地による地理区分 例:071日本発行の新聞紙;072.2中国発行
の新聞紙;073.4ドイツ発行の新聞紙
注記に,例示を加えた。
080 叢書.全集.選集
*原著の言語による言語区分;ただし,081および082に限り下記のように
細分;083/088は,033/038のように言語区分
040一般論文集.一般講演集,050逐次刊行物に倣って,注記を追加した。
082.9 東洋の諸言語
*829のように言語区分 例:082.936タイ語の全集
東洋の諸言語の叢書.全集.選集について,032.9東洋の諸言語の百科事典に倣っ
て,分類項目を新設した。
(文責・平野美惠子:JLA分類委員会委員)