いつでも開いている学校図書館へ-学校司書の配置等に関する提言-

2025年9月18日

いつでも開いている学校図書館へ
-学校司書の配置等に関する提言-

公益社団法人日本図書館協会

 学校図書館には学校における「学習センター」「情報センター」「読書センター」の3つの役割があります。学習のための資料と情報そして学習の場を提供することで学校教育の充実に資するのみならず、児童・生徒が自発的かつ自由に多様な本に触れることによって、豊かな感性と知識探究の意欲を育てます。加えて、近年では、児童・生徒にとっての学校でのオアシスであることが求められる事例が増えています。
 学校図書館が、上記の役割を発揮するための第一の必須要件は、専任の学校司書が常時勤務している「いつでも開いている図書館」です。しかるに、文部科学省の調査では、常勤職員及びフルタイムの職員が配置されているのは17.1%であり、多くの学校では、学校司書が限定された曜日、限定された時間しか配置されていないため、多くの時間は学校図書館が開いていないのが現状です(注1)。 また、その学校の事情や教職員、児童・生徒をよく知る学校司書が必要ですが、複数人での交代制や複数校の掛け持ちも多く、さらには学校司書のコンピュータの活用やデジタル教材へのアクセスに制限があるなど、児童・生徒の学習、読書環境に不平等、格差が生まれる要因となっています。
 日本図書館協会は学校図書館の実態に鑑み、「いつでも開いている学校図書館」の実現のため以下の提言を発信することで、広く国民の皆さまとりわけ児童・生徒の保護者の皆さま、学校教育関係者の皆さま、自治体教育委員会等ご関係の皆さま、並びに国会議員各位に、この問題に関する認識を共有していただきたいと訴えます。

提  言

  • 1.すべての学校に、フルタイムで一校専任の学校司書を配置すること
  • 2.学校司書を学校教育に関わる職員の一員として処遇すること
  • 3.公的な研修を制度化するなど、学校司書の資質向上を保障すること
  • 4.これらを可能とするため、学校司書の法的位置づけを明確にする学校図書館法の条文改正を行うこと

なお、本提言は、「学校司書の配置・処遇等について(見解)」(注2)などを参考としています。

注1:「令和5年度公立学校における学校司書の配置状況に関する調査」結果(概要)では、学校司書の任用の状況において、常勤職員13.3%、会計年度任用職員(フルタイム)3.8%となっている。
また、学校司書の配置状況では、一校専任の割合は、高等学校・中等教育学校(後期)95.4%、中学校・義務教育学校(後期)・中等教育学校(前期)55.6%、小学校・義務教育学校(前期)66.6%となっている。
https://www.mext.go.jp/content/20250617-mxt_chisui01-100002176_1.pdf

注2:「学校司書の配置・処遇等について(見解)」日本図書館協会非正規雇用職員に関する委員会・学校図書館部会
https://www.jla.or.jp/wp/wp-content/uploads/2025/09/sl_kenkai.pdf

いつでも開いている学校図書館へ-学校司書の配置等に関する提言-(PDF版)