第27期目録委員会記録 No. 11
第11回委員会

日時:2000年4月22日(土)14時〜16時45分
場所:日本図書館協会5階会議室
出席者:永田委員長、乙骨、酒井、原井、古川、堀井、増井、室橋、横山、和中
<事務局>磯部

[配布資料]
1. 第9章改訂案(2000−04−21バージョン)
(23ページ−A4)(横山委員)
2及び3.続『日本目録規則1987年版改訂版』への意見と提案(上・下)
(各1冊−B5)(古川委員)
4. キータイトルの軽微な変化(Minor title change)の範囲拡大の動向とその背景
(7ページ−A4)(古川委員)
5. 情報発見システムの設計:ウェブOPACとメタデータの作成(案)
(1枚−A4)(永田委員長)
6.「ウェブOPACの原理と技法」(仮)の第1章について(メモ)
(22ページ−A4)(乙骨委員)
7.『ウェブOPACの原理と技法』(仮題)第2章の構想(案)
(1枚−A4)(古川委員)

[連絡事項]
1. 「電子資料の組織化」検討会の報告書について
・ 現在、著者校正の段階まで来ている。5月には刊行できる見通しである。施設会員には無料で配布し、当日の参加者には送料込み1000円程度での頒布を考えている。その他に対しては、定価1500円で販売したい。

[検討事項]
1. 第9章改訂案について
・ 前回の議論及びメーリングリストでの指摘等を踏まえ、横山委員が修正箇所について説明した。その後、案全体の最終点検を行った。
(資料から記述対象へ)
・ itemの意味で使われている「資料」は「記述対象」に改めた。
・ 9.0.2.1などで「記述の対象」という言い方も見受けられるが、「記述対象」と「記述の対象」という二つの表現を使い分ける意味はあるだろうか。
・ 第1章を受けた表現である。これに限らず、第1章をそのまま取込むことによって不整合が生じているケースがいくつかある。検討したい。
(9.0.5)
・ 第3パラグラフに2回出てくる「常に」は削除した方がよい。
・ 「リモートアクセス」はもう少し前の条項で説明しておいた方がよいのではないか。
・ 9.0の冒頭で言葉としては使っている。ただし、用語解説の中で定義を示すつもりだったので、意味の説明はしていない。
・ リモートアクセス可能などの「可能」という表現が気になる。ローカルアクセスかリモートアクセスかの違いは、各図書館のサービス方針によって変わる可能性のある問題であって、個々の利用局面ではどちらか一方に決まっているのではなかろうか。「可能」よりも「される」の方が文脈の論理に合うように思われる。
・ 「リモートアクセスの利用を可能にする」と言い換えてはどうか。
・ 第9章の根幹に関わる指摘ではあるが、これまでの検討経緯を踏まえると、これ以上手を入れない方がよい。
(9.1.0.0)
・ この条項は全体として意味が取りづらい。以下のように直した方がよいだろう。
「タイトルの存在は、書誌的記録成立の必須条件である。タイトルは、記述対象を構成する著作の知的・芸術的内容等に関する責任表示などとともに、記述の冒頭に記録する。」
(9.2.1.1)
・ 今回の案では「をとる」と言いきる形を採用しているが、この部分の原意はincludeであって、本質規定的な意味合いは少ないと思われる。元の形の「ある」の方がよいのではなかろうか。
・ 「通常」の後ろに読点を打つことで、一般的なケースを強調できる。版に関する議論は出尽くした訳ではないので、今後の大きな課題としてとらえ、今回は断定的な表現は避けたい。
(9.2.2.1)
・ 記述対象は目の前にあるものを指すのだから、当該という言葉は不要ではないだろうか。
・ これまでは目の前にある資料の意味で「当該資料」という言い方をしてきたが、資料を記述対象に改めた時点で削除すべきだったかもしれない。原則として削除する方向で検討したい。
・ ア)とイ)の末尾の「とき」は「著者など」とした方が明確になる。
(9.4.0.0)
・ 第2パラグラフは、前後の文脈の中で見ると唐突な印象を受ける。ここに置く必要があるだろうか。
・ 9.4.0.0A以下で記述の意義を展開していることを考えると、関連するDの部分で述べた方が適切かもしれない。
・ 9.4.0.0の第2パラグラフを取込む形で、9.4.0.0Dを次のように改める。
「記述対象が非刊行物の場合、本来の出版項目というものは存在しないので、記述対象の製作項目を記録する。リモートアクセスされる記述対象は、すべて刊行物とみなす。したがって、非刊行物はローカルアクセスされる記述対象に限られる。
(まとめ)
・ 委員会の場での議論は今回が最後である。今後はメーリングリストを活用し、各委員は「校正」の視点を持って細かい点までチェックしていただきたい。
・ 長期にわたる改訂作業となってしまったが、反省点として、規則の全面的な見直しの必要性を痛感したことと、国内外の状況の進展に対して必ずしも十分な対応を取れなかったことが挙げられる。1点目に関しては、現在中断しているSGML化作業をXMLに方向転換する中で、解決を図っていきたいと考えている。2点目の問題は、今後13章の取り組みを慎重に進める中で生かすよう努力したい。
2.『ウェブOPACの原理と技法』(仮題)について
・ 序章と第3章のアウトラインを委員長、第1章を乙骨委員、第2章を古川委員が配布資料に基づき説明した。
・ これまでの議論は踏まえつつ、情報発見システムの設計という視点からサブジェクト・ゲートウェイにも触れたいと考えている。
・ 図書館の目録はどこが違うのかという点を強調していかないと、検索エンジンで十分ではないかとの結論になりかねない。情報を取りたいときに検索エンジンだけではないという論旨を展開する必要がある。
・ メインは目録データベースの理解を推進することであると考えている。著者典拠の意義など、検索エンジンには求められない機能の大切さを述べることは重要である。
・ OPACの発展の中で、豊かなサービスを展開しつつ差別化を図ってきた海外の図書館のウェブサイトを紹介するという要素もあったと思われる。
・ そのことと目録データベースの話をいっしょに書き込めばよいのではないか。
・ 1章の中で、もう少しシステム的な議論をしてもらうと全体の流れがよくなる。
◎ 今回提示された構想案を踏まえ、次回は、各章の担当者がそれぞれ他章の内容を意識しながら改訂案を示し、さらにすり合わせの作業を進める。


次回委員会は5月27日(土)に開催の予定。