『日本目録規則1987年版改訂2版』
第13章検討のポイント

日本図書館協会目録委員会


1.趣旨

 目録委員会では,かねてより近年急速に普及しているネットワーク情報資源への対応を中心に『日本目録規則1987年版改訂版』について検討を行ってきた。

 まず,第9章をネットワーク情報資源も包括する「電子資料」として改訂・刊行(2000年8月)し,次いでそれを組み込んだ『日本目録規則1987年版改訂2版』(2001年8月)を刊行した。

 また,ネットワーク情報資源には,電子ジャーナルやウェブサイトを中心として,逐次刊行物と同様の終期を予定せずに継続して刊行される資料が多く存在している。それらは,従来第13章が対象としてきたものではあるが,刊行の継続性とともに,内容を更新していくという特性を有しており,これまでの第13章では適切には扱い切れない。そこで第13章を見直し,こうした資料特性についても対応できるように改訂を行うことにした。

 すでに,国際標準書誌記述(ISBD)において逐次刊行物(S)の改訂案が公表され,また英米目録規則第2版においても第12章(逐次刊行物)を大きく変更した改訂案が発表されている。これらの動向を踏まえて,目録委員会では『日本目録規則1987年版改訂2版』第13章について検討を重ねている。広く会員諸氏のご意見をいただくために,これまでとりあげた検討のポイントをここに提示するものである。

2.検討のポイント

・ 対象範囲の拡張

 終期を予定せずに継続して刊行される資料を「継続資料」(continuing resources)と名づけて第13章の対象とし,章名も「逐次刊行物」から「継続資料」に変更する。これにあわせ,「逐次刊行単位」を「継続刊行単位」に改めるなど,各所の語句を改める。

 新たに出現したデータベースなどに対応するだけでなく,従来も問題のあった資料区分を見直すことで資料全体を再構成したのが,上図である。この区分に基づき,これまで逐次刊行物を対象としていた第13章は,その対象範囲を拡張する。つまり,第13章で対象範囲とするのは,逐次刊行物や更新資料をはじめとする,終期を予定せずに継続して刊行される資料すべてである。

 「更新資料」とは,終期を予定していないルーズリーフ,データベース,ウェブサイトなど,継続して刊行される資料のうち,内容が更新されていくものを指す。なお,「更新資料」は,ISBD(S)の改訂案などにおけるintegrated resourcesに相当する語として採用した。他に,「統合資料」,「加除資料」なども候補にあがったが,資料の特性を最も適切に表現しているという理由で「更新資料」を選択した。

 継続資料において典型的な逐次刊行物と更新資料は,相互にかなり性質を異にする。このため,第13章においては,必要に応じて,同一条項内で各々を対象とする相異なる規定を並記する構成とする。

・ 記述の対象と本タイトルの変更

 記述の対象は,従来どおり「同一の本タイトルを継承する終期を予定しない一連の刊行物の全体」である。なお,一連の刊行物であっても,資料種別などが異なれば別の記述の対象とみなすことを,明記する。

 本タイトルの変化には重要な変化と軽微な変化があり,逐次刊行物においては重要な変化は「変更」とみなす,すなわち旧記録を閉じ新記録を作成することを書き加える。また,更新資料においてはどのような変化の場合でも,記録全体は閉じずに必要な改変を加える,という対応をとることを付加する。

・ 記述の基盤

 記述の基盤は,逐次刊行物では従来通り初号とし,更新資料では最新号とする。

・ 資料(または刊行方式)の特性に関する事項

 「巻次,年月次に関する事項」を「順序表示に関する事項」に改め,当事項で記録すべき書誌的事項も「順序表示」とする。ISBDとの整合性を図ることを目的とした改訂である。

 更新資料については,順序表示は通常記録しない。

・ 書誌的事項の変化

 本タイトルの変化だけでなく,各書誌的事項に変化があった場合についての規定を設ける。変化の程度が書誌的記録を新たに作成するには及ばないときは,逐次刊行物では該当する書誌的事項を改めず,必要に応じて注記する。更新資料では常に該当する書誌的事項を改めて,以前の記録を必要に応じて注記に移す。

・ 標準番号の拡張

 「ISSN,入手条件に関する事項」を「標準番号,入手条件に関する事項」に改め,ISSN以外の標準番号にも対応できる規定とする。逐次刊行物以外の記述対象に対応できるようにすることと,多様な国際標準番号やそれに準ずるものを扱えるようにすることが,その目的である。

 3.今後の予定

 今後も,目録委員会において検討を継続する。その内容については,議事録を作成しホームページに掲載している。また,改訂案の詳細についても同様に公開していく予定である(URL:http://www.jla.or.jp/mokuroku/index.html)。

 当委員会においてさらに検討を重ね,改訂案を固めていくための参考として,多方面からご意見・ご提案等をいただきたい(E-mail:ncr@jla.or.jp)。

 (文責・原井直子:JLA目録委員会委員,国立国会図書館)