2018 年度障害者サービス担当職員養成講座(基礎コース) 特別支援学校における取り組み/電子書籍のアクセシビリティ 専修大学文学部 野口 武悟 T.特別支援学校における取り組み 1.学校図書館の目的と機能 *学校図書館の目的は「学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全 な教養を育成すること」(「学校図書館法」第 2 条) *この目的を受けて、「学習センター」「情報センター」「読書センター」の機能が期待 *2017 年4 月に公示された新しい「特別支援学校学習指導要領」では、「総則」において、 「学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童又は生徒の主体的・対話的で 深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに、児童又は生徒の自主的、自発的な学 習活動や読書活動を充実すること」などが盛り込まれる *以上は、小学校、中学校、高等学校の学校図書館も同様。ただし、児童生徒の発達や障 害の状態に応じて、サービス内容や収集する資料の種類等への配慮が必要 2.学校図書館の活動 *特別支援学校における学校図書館の活動事例 *活動を展開するには、「資料」「職員」「施設・設備」の整備・充実が不可欠。しかし・・・ 3.学校図書館の現状と課題 *全国調査の主な結果から *学校図書館の全国的な現状は、「資料」「職員」「施設・設備」のいずれも厳しい実態 4.公立図書館等との連携 *厳しい現状のなかでは、公立図書館など他機関との連携が重要 *連携の事例 5.今後に向けて *特別支援が必要な児童生徒の在籍状況は、“特別支援学校<小、中、高校” *小、中、高校の学校図書館での「合理的配慮」の提供とそのための基礎的環境整備も課 題 cf)「 学校図書館ガイドライン」(文部科学省通知、2016 年11 月) *公立図書館として、特別支援学校の学校図書館や、小、中、高校の学校図書館における 特別支援にどう関わることができるか、まずは検討を U.電子書籍のアクセシビリティ 1.高まる電子書籍への期待 *プリントディスアビリティ(PD)の状態にある障害者、高齢者、日本語を母語としてい ない人などからの期待 *公立図書館もアクセシビリティ機能に期待 2.電子書籍の出版・流通と図書館向けシステムの現状 *電子書籍の市場規模は 1,976億円(2016 年) ?うち「コミック」が約 1,617億円 *電子書籍のコンテンツには、多数のデータ形式(フォーマット)が存在 *電子書籍の端末も、さまざま *電子書籍は、<データ=無体物>なので、紙の書籍のようには扱えない ?公立図書館では、電子書籍貸出システムのベンダー(事業者)と契約して、収集〜提供 までを行う *公立図書館での導入には、ハードルも 3.電子書籍のアクセシビリティ *電子書籍のコンテンツ、ストア、利用する端末、ビューワーなどによって、利用できる アクセシビリティ機能にばらつきが大きい *公立図書館の場合、図書館が契約する電子書籍貸出システムのアクセシビリティが重要 *今後、システムの導入を検討する公立図書館にとっては、「合理的配慮」の提供とその ための基礎的環境整備の観点から、アクセシビリティ機能の有無はシステム選びの重要な 要素の1 つに ※この資料は、受講者配布用レジュメの内容をダイジェストしたものです。