東京都知事
石原 慎太郎 様
東京都教育委員会教育長
横山 洋吉 様
東京都立中央図書館館長
押切 重洋 様

東京都立図書館のあり方について(要望)

東京都立図書館は、1908年に日比谷図書館が開設されて以来、ほぼ一世紀の長きにわたって営々と充実が図られ、一貫して先進的で優れたサービスを提供して来られました。この間、都立図書館のあり方は、常に全国の道府県立図書館の望ましいあり方として大きな影響を及ぼしてまいりました。私どもは、都関係者の文化に対する識見と真摯なご努力を高く評価し敬意を表するものであります。

しかるに、近年、都の財政難から都立図書館の資料費が大幅に削減され、都民サービスにも深刻な影響を及ぼしつつあることは憂慮にたえないところであります。

今年4月に「東京都立図書館あり方検討委員会」が設置され、7月に「中間まとめ」が作成されたと伺いました。時代の変化に対応する積極的な方向が盛り込まれる半面、日比谷図書館の「一般貸出の廃止」等、都民サービスとして懸念せざるを得ない部分があります。「運営の効率化」についても、現状を前提に資料費増額と書庫増設は見込めない状況にあるとして、新たな収集方針・計画を策定する必要があるとされております。すなわち、中央図書館と多摩図書館のこれまでの地域分担を機能分担に変更して、重複資料は精査して収集・収蔵の一元化を図る等は一見合理的のように思われますが、「限られた財源の中」で「効率化」のみを追求するものであります。地域利用者の便益を軽視する後ろ向きの姿勢といわざるを得ません。「収蔵能力」にしても現状固定で考えるのでなく、前向きに拡充に取り組んでいただくよう要望いたします。

日比谷図書館については存続を望む都民の声に応えて、今年度耐震工事が行われており評価いたします。しかしながら、今後のあり方として、一般貸出機能の廃止が示唆されております。日比谷という昼間人口が集中する都心における貸出は、利用者便益に資するところ大であります。また、同館における児童・青少年資料が多摩図書館に移管されると伝えられています。同資料は都民及び全国の研究者から大きな信頼を得て利用されていることから、全国から訪れやすい交通至便の地にある日比谷図書館における利用者サービスを、いっそう充実してくださるよう要望いたします。

なお、公共図書館のルーツである日比谷図書館を耐震工事後できるだけ維持し、その後は改築する方向でご検討くださるよう重ねて要望いたします。

都立図書館のあり方が、日本全国の公共図書館に大きな影響を与えている重要性に鑑み慎重にご検討され、利用者サービスを整備・充実する方向をお示しくださるよう要望いたします。


以上
平成13年10月25日
代表 社団法人 日本書籍出版協会

社団法人 日本図書館協会
社団法人 日本雑誌協会
社団法人 日本出版取次協会
日本書店商業組合連合会
日本児童図書出版協会
財団法人 出版文化産業振興財団
社団法人 読書推進運動協議会
社団法人 全国学校図書館協議会
社団法人 出版梓会
社団法人 日本国際児童図書評議会
社団法人 日本児童文学者協会
社団法人 日本児童文芸家協会
国際子ども図書館を考える全国連絡会
児童図書館研究会
新都立日比谷図書館を考える会
教育図書出版会
人文会
親子読書・地域文庫全国連絡会
日本親子読書センター
日本子どもの本研究会
ヤングアダルト出版会
ねりま地域文庫読書サークル連絡会
絹の道文庫
町田の図書館活動をすすめる会
多摩市文庫連絡協議会
子どもの本と学校図書館を考える会
なかよし文庫
(順不同)