日本図書館協会図書館の自由委員会大会・セミナー等「図書館の自由に関する宣言」60周年記念講演会


(終了しました)

「図書館の自由に関する宣言」60周年記念講演会

日時:2015年8月8日(土) 13:30〜16:00

会場:日本図書館協会 2階研修室(東京都中央区新川1-11-14) 会場へのアクセス

講演 「図書館と表現の自由―法学者からみた図書館の自由宣言」

     講師:松井茂記氏(憲法学者・カナダ・ブリティッシュコロンビア大学法学部教授、大阪大学名誉教授)

対談 松井茂記氏+塩見昇氏(大阪教育大学名誉教授、前日本図書館協会理事長

参加費:無料  事前申込:不要

チラシをダウンロード(PDFファイル 377kb)


昨年(2014年)は日本図書館協会が「図書館の自由に関する宣言」を総会採択して60年でした。日図協・図書館の自由委員会は自由宣言の”還暦”に際し、表題の講演会を行います。

松井茂記氏は『図書館と表現の自由』(岩波書店,2013年)の著者です。法学の専門家が図書館、それも図書館の自由を主題とする単行書を上梓されるのは初めてのことです。カナダの大学院大学で憲法とメディア法の教鞭を執られるなか、講演をご快諾くださいました。

自由宣言は「知る自由」を国民の基本的人権であるとし、図書館のもっとも重要な任務は資料と施設を提供してその権利を保障することであると言明します。表現の自由を受け手の側から校正する「知る自由」論は高い先見性を有しました。その後、図書館の近代的革新を提起する『中小都市における公共図書館の運営』を契機として図書館活動が展開する1979年、日図協は複文と利用者のプライバシー保護項目を加えて自由宣言を改訂しました。自由宣言第2(提供の自由)の副文は冒頭で「すべての図書館資料は、原則として国民の自由な利用に供されるべきである」とします。

1970年代には被差別部落や様々な障がいに関わる差別的表現を批判し排除する動きが図書館に及び、80年代以降は名誉・プライバシーや著作権などの侵害回復を求める訴訟が様々に提起され、図書館に蔵書への注意書き添付や利用制限を求める事例も出てきました。不埒な出版・報道に厳しい世の中の空気と「提供の自由」との狭間で、図書館員の悩みは尽きません。一方、利用制限は市民の知る自由の侵害だとして図書館が損害賠償を求めれらる裁判も複数提起されてきました。状況はより複雑化しているかのようです。

松井氏は図書館法2条「図書館とは・・・教養、調査研究、レくリエーション等に資することを目的とする」に着目し、図書館の存立目的は、教養を高めるために役立つかどうかに関わらず多様な情報に接する場であることそれ自体に見る、という立場から図書館の資料利用制限に厳しい考察を著されてきました。本書では図書館や利用者の法的地位を明示し、資料の収集・提供、ネット情報へのアクセス、利用者のプライバシ−などについて憲法上の保障と限界を事例を挙げて整理されています。図書館員の悩みに寄り添うようにです。講演では”法的整理のツボ”を伺えるのではないでしょうか。

講演の後、塩見昇氏と対論していただきます。塩見氏は79年改訂自由宣言の起草委員以来永く自由委員会を担われるとともに、米国のマッカーシズムや右翼宗教団体の蔵書攻撃と図書館界の闘いを紹介されました。図書館の自由とは何かを歴史的,構造的に考察した名著『知的自由と図書館』(青木,1989)ほかご著作多数です。
お二人の縦横かつ奥深いお話が期待されます。
ふるってご参加ください。

(文責:山家篤夫)


主催:公益社団法人日本図書館協会 図書館の自由委員会  問い合わせ:日本図書館協会企画部調査部 菊池 03-3523-0815                    


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