======================================================<2002/10/26発信>   JLAメールマガジン 特別号6 ◇◇◇全国図書館大会(群馬大会)特集 ◇◇◇ ===================================================================== 2002年度第88回全国図書館大会は群馬県前橋市で10月23日から25日まで3日 間にわたって開催され、約1700名の図書館関係者が参加した。 ■第1日 全体会 開会式に続いて行われた全体会では、竹内日図協理事長が情勢を中心とした 基調報告を行なった。国立国会図書館関西館の開館、子どもの読書活動推進 基本計画の閣議決定など図書館活動の新しい環境のもとで、規制緩和=委託、 著作権、公貸権など内外から厳しい課題が提起されていること、これに対処 してこれからの図書館をめざしていくことが必要であることを述べた。  記念講演は「豊な生のために」と題して、哲学者・内山節氏により行われた。 氏が居住する上野村での生活のなかで図書館をつくる会ができたこと、自治 の転換、人間らしく生きることの意味などを静かな語り口で述べられた。図 書館を考える根底に関わる提起であると、参加者から感想が寄せられた。 ■第2日 分科会 変革期の図書館、直面する問題をテーマに14分科会が開かれ、多くの問題提 起や報告が行われた。(特別号5参照) 今年、新たに設けられた「著作権」分科会は館種別の分科会を除いて、課題 別分科会の中では、最も多く約100の参加者を集めた。加えて、第1・2分会の 著作権の分散会が設けられ、最終日のシンポジウムのテーマにもなるなど図 書館サービスにおける著作権問題の様々な側面の課題が顕在化し、対応を迫 られている現状が反映された。一方、柳美里氏の小説「石に泳ぐ魚」の図書 館の閲覧制限措置をめぐる話題の中で行われた第9分科会「図書館の自由」 は、参加者が少なかったものの、新聞各社の取材が集中した。 なお、第8分科会では、「障害者の情報アクセス権と著作権問題の解決を求め る声明」の実現が重要であることが参加者によって確認され、第11分科会で は、「市町村合併時における資料の廃棄について慎重な取り組みを求めるア ピール」が分科会参加者一同の名前で採択された。 ■第3日 全体会  最終日の全体会では、著作権を中心とする課題についてのシンポジウムが行 われた。作家の楡周平氏は著作者の生活保障、図書館からの利用データの開 示、図書館の発展の方向などについて、浦安市立図書館長の常世田良氏は図 書館が地域や文化に果たす役割、日本の図書館の現状などについて、国立国 会図書館の南亮一氏は日本の著作権法の特徴、公貸権をめぐる問題点などの 発言があった。コーディネーターの慶應義塾大学の糸賀雅児氏は著作権をめ ぐる検討状況の説明のほか、それぞれの立場からの主張の違い、目指す方向 の大筋などについてパネリストの意見のとりまとめを行った。   全体討議では高山正也日図協常務理事の司会のもとで、横山桂日図協事務局 長が分科会のまとめを提起した。参加者からは委託、障害者の情報アクセス 権の保障、貸出補償金などのほか、学生から大会参加をしやすくする要望な どが出された。短時間ではあったが活発な意見が出された。   -------------------------------------------------------------------- 日図協では参加者から、大会の内容や運営についてのアンケートを行った。 それによると、今回の大会については全体として好評の意見が寄せられたほ か、日程を短くするなど今後の運営についての意見が寄せられた。 3日間にわたる全国図書館大会が充実した内容をもって終了したのは、大会 期間中、さまざまな事柄に心遣いながら運営にあたり、開催に至るまでの長 い期間、準備にあたられた群馬県立図書館をはじめとした群馬県内の図書館 関係者の努力によるものである。また、今年はボランティアの方々が大会会 場までの案内に立ったり、全体会や分科会の裏方として活躍するなど、大会 運営を支えていた。 =======================================================================