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部会長挨拶(26期部会長 志保田務)
はじめに
ここ何年かの間、当該領域での議論・対策は、(1)大学教育者側における図書館・情報学教育の内容の改革、図書館情報学教育の高度格付けと、(2)図書館現場職員のキャリア・アップ、上級化追及に向けられてきました。
1959年の設立当時から「図書館学教育の充実向上をはかるための諸問題を研究」することを本部会は<目的>に掲げています(同規程第3条)。先発の同種団体として日本図書館研究会、日本図書館学会(現・日本図書館情報学会)がありますが、本部会は「関係者相互の連絡を緊密にすること」(同前)に意を用いる点に特徴を持っています。このことから、また日本図書館協会が文部科学省関連団体であることからも、図書館情報学関係の規定、制度の維持、改革等について意見をまとめ表出するに、最もふさわしい立場の一つにあると考えます。
部会員の主体は「図書館学の教育に専従するもの」(部会規程第4条1項)であり、図書館員の養成教育に主眼をおくと言えますが、その教育は専門職教育であり、これを経て図書館に入った被養成者の後期教育、専門職制の検討にもあたる立場にもあります。この2点に分けて、当部会の任務を述べます。
1. 図書館員養成教育
1.1 司書講習科目の適用
当部会設立の活動は、文部省(当時)へ図書館職員養成所の昇格運動をすることでした。専門職の養成機関のレベルを上げるための活動であり、今日の筑波大学大学院図書館メディア研究科実現の一歩を築いたと言えましょう。
しかしここで認識されたのは各種学校の第1歩の昇格先は短大であり、司書課程は司書講習(科目)に、公平に依存するという事実であったようです。図書館法施行規則が改正され、短大における司書課程の開設が始まりました。
1.2 司書課程用科目の立案と、講習科目増強
当部会は司書講習科目とは異なる「図書館学教育要目」10科目案(各2単位)を策定しました(1976年)。だがこれは全国レベルでの採用は実現しませんでした。
その後、司書養成科目(省令)改訂の検討を重ね24単位案を作りあげました。これが1996年の省令科目(司書20単位)に結実したといえましょう。司書課程における科目も、この改正によって増強されました。しかしこれも、司書課程が司書講習科目に倣っていることを再認識させるものでした。
それから10年、「司書講習」科目依存型からの脱出を希求しています。たとえば、図書館法5条2号には、「大学において」履修する「図書館に関する科目」が定められています。ここに、社会教育法における社会教育主事の大学内養成に関する規定のように、「文部科学省令で定める(中略)科目」に該たる規定を定めるよう求める必要があるか、検討を深め、科目内容についても構想するなどして、結論を出さなければなりません。
1.3 図書館情報学教育の大学院課程化の志向
本部会「図書館学教育基準委員会」は1970年代、司書講習の廃止大学院修了者への専門司書資格の付与などの改善試案を練りました。だが、図書館情報学専門教育のシラバスは、大学教育レベルのシラバスとしてさえも普及していません。現部会幹事においても大学院教育に確かな照準を置くことを議論しています。一方、調整が充分でないままに内部格差を設けることは、部会員間に波紋を産むとの危惧ももたれるでしょう。この問題では、図書館情報学会が進めるLIPER制度との連帯を図る必要性を痛感させられます。
2. 専門職制度と上級司書問題
2.1 法と専門職性
図書館員の専門職性については、図書館法第4条に規定されています。しかし関係条項を因として困難な問題が現出しているとも言われます。即ち経験を積んだ司書補資格者が司書講習を受け得るとする同法第5条2項2号が、派遣業者による司書資格者の雇用待遇に負の要素を供しているということです。この「渡り」制度を逆手にとって、大卒の司書資格者を高卒(司書補)の待遇で雇用する企業があるというのです。つまり司書資格を取得することによって、大卒が高卒の扱いに下落するという現実があるのです。これは単に個々の民事、経済問題ではありません。業者の不当性を指弾する程度の措置をもっては解決しないと考えます。根本的な指導や、制度改善が必要でしょう。
司書補に関しては、学歴社会批判を元に制度を評価する立場があり得ます。だが高卒という学歴の要請は一般公務員の場合ほど平準でありません。因みに社会教育法は主事補関係の講習規定を持ちません。博物館法には学芸員補の講習規定がないうえ、学芸員補から学芸員への「渡り」規定も有りません。社会教育に関する法令の平等性という観点からも司書補制度に再討を加える必要があると考えます。
2.2 上級司書問題
日本図書館協会では、2003年度から、経営委員会の下に専門職員認定制度特別検討チームを発足せしめ、上級司書養成のための枠組みを立て、第1次から第3次までの検討結果を公表し、パブリックコメントをも求めています。しかし2005年度初め、JLA内の経営委員会が消滅し、同チームの活動も同時的に停止しています。「上級司書」制度に関しては、責任機関が常務理事会(理事長)に転じました。しかし「専任職員おく余裕がない」といった事情等が先行し、以後進捗を見ていません。検討チームは前部会長が座長を勤めたため、その未再開は私として心苦しい限りです。
3. 調整
上記の件は近年JLA公表の最重要課題の一つであり、内外関係者の知恵を頂戴したいと願っています。ただし調整こそが図書館情報学界内でおける当部会の最大任務です。