2021年10月14日
公益社団法人日本図書館協会
著作権委員会
1 目指すべき方向性と留意すべき点
示された方向性に賛成します。図書館は、デジタル社会が進展するなかで、さまざまな情報の入手する入り口としての役割があります。コンテンツ創作の好循環を促進の場面においても貢献できると考えています。
2 想定される場面
図書館には、出版物や地域資料をはじめとしたさまざまな知の蓄積があります。知の継承と活用のために、デジタルアーカイブ及び配信は、非常に重要な手段です。図書館が知の社会基盤として十分な役割を果たしていくうえでも、円滑な法制度及び運用の実現を期待しています。一例として、図書館が保存のための複製を行う場合、所蔵数等の一定の制約の下で電子書籍としての貸出を行う仕組み(Controlled Digital Lending)の実現が考えられます。
3 具体的な方策
(1)権利情報データベースの構築、集中管理の促進
(2)権利処理に関する一元的な窓口の創設
図書館資料等の公衆送信を視野に入れた書籍等のデータベース構築を強く求めます。その実現のために、関係者の協力及び公的な財政面の支援が必須であると考えています。
(3)いわゆる拡大集中許諾制度による権利処理
(4)UGC等のデジタルコンテンツの利用促進
入手困難資料(アウトオブコマース)のデジタルアーカイブ及び配信は、権利者の利益を不当に害しないことから、図書館が担うにふさわしいと考えます。実現のための法制度及び運用を望みます。
(5)現行の 裁定制度の改善
図書館が著作物をデジタルアーカイブとして公開利用する場面が増えています。権利処理が簡易及び迅速に行われるための改善を求めます。一例として、補償金の事前供託の免除を、私立の図書館にも拡大させることを期待しています。
(6)その他
図書館の現場において、複雑な保護期間の計算に苦慮しています。保護期間の推定のような、円滑に対応できる改善を求めます。
図書館が主体で行う行為に認められている権利制限を見直す場合、図書館の社会的役割が損なわれないように十分に留意していただきたいと考えます。
※文化審議会著作権分科会基本政策小委員会 意見募集の実施について
https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/public_comment/93389201.html