令和6(2024)年能登半島地震及び同年4月17日に愛媛・高知で発生した地震について
 この度、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
また、それぞれの地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く平穏な日々に戻る事をご祈念申し上げます。
日本図書館協会及び図書館災害対策委員会も微力ではありますが、支援を模索し、対応してまいります。
被災情報並びにお困り事がありましたら、メールにてご一報いただければ幸いです。
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著作権に関する情報

図書館関係の権利制限規定見直しに関する動向

関係資料
★3月5日、「著作権法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 ※令和3年3月5日(金)定例閣議案件(首相官邸)
 ※著作権法の一部を改正する法律案

文化審議会のワーキングチームにおける「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書」の公表について

図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチームのページ

文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集が開始されました(意見募集受付締切:2020年12月21日(月))(2020年12月4日)
 ※なお、これまでの経緯等は下記、「文化庁文化審議会著作権分科会図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチームの動向」をご参照ください。
→上記意見募集について、意見を提出しました。(2020年12月18日付)
法制度小委員会(第3回)の資料として意見募集の結果が公開されました。(2021年1月15日)
→関係団体の意見はこちらにまとめました。(2021年1月22日更新)

★2月10日(水)に開催された自由民主党知的財産戦略調査会・デジタル社会推進知財活用小委員会合同会議において、図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)について、ヒアリングに参加しました。 (JLAメールマガジン第1032号参照)
自由民主党知的財産戦略調査会・デジタル社会推進知財活用小委員会合同会議 ヒアリング発表資料

図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第1回)日図協ヒアリング発表資料

図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第1回)
文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第1回)
文化審議会著作権分科会(第58回)(第20期第1回)議事録

※近畿病院図書室協議会、日本病院ライブラリー協会および本協会の連名で、文化庁に「病院図書館をいわゆる著作権法第31条に該当する図書館に含めること」を求める要望書を提出しました。(2020/9/15)
 日本病院ライブラリー協会(JHLA) 著作権委員会トピックスに掲載
 近畿病院図書室協議会の「お知らせ(2020年10月13日)」に掲載

「著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加える要望書を提出」(学校図書館問題研究会ウェブサイトに掲載(2020/10/10))

※10月14日、著作権法第13条の「図書館等」における学校図書館の位置づけに関して、文化庁・全国学校図書館協議会・日図協の3者による打ち合わせをオンラインで行いました。打ち合わせの内容は10月21日発行のJLAメールマガジン第1015号に掲載予定です。
 ・【参考資料】日本図書館協会の打ち合わせ提出資料「文化審議会著作権分科会での「図書館関係の権利の見直し(デジタル・ネットワーク対応)について」における学校図書館の扱いについて」

10月14の文化庁および全国学校図書館協議会との打ち合わせ資料(上記と同資料)および、文部科学省総合教育政策局地域学習推進課あてに提出しました「学校図書館において想定される具体的な活動内容」日本図書館協会の見解・意見・要望のページに掲載いたしました。(2020/11/13)

著作権法関係法令

動向等
・「著作権法の一部を改正する法律案」が成立、公布
 (JLAメールマガジン第1044号 2021年6月2日)
 5月18日、図書館関係の権利制限規定の見直しを含む「著作権法の一部を改正する法律案」(以下、「改正著作権法」)が衆議院本会議において、5月26日には参議院において、それぞれ全会一致かつ附帯決議なしで可決成立し、6月2日に公布された(法律第52号)。
 改正著作権法では、「1.図書館関係の権利制限規定の見直し」と「2.放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」の2点があげられており、「1.図書館関係の権利制限規定の見直し」では「(1)国立国会図書館による絶版等資料のインターネット送信」と「(2)各図書館等による図書館資料のメール送信等」があげられている。詳細は、JLAメールマガジン第1034号および著作権委員会のホームページを参照いただきたい。
 なお、施 行日は、(1)は公布後1年以内、(2)は公布後2年以内の政令で定める日とされている。
「著作権法の一部を改正する法律案」文部科学省ホームページ
「著作権法の一部を改正する法律が参議院本会議で全会一致で可決され、成立しました」2021.5.26. 文部科学省ホームページ

・図書館関係の権利制限規定の見直しを含む「著作権法の一部を改正する法律案」が閣議決定
 (JLAメールマガジン第1034号 2021年3月10日)
 3月5日、「著作権法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。文部科学省のウェブサイト上で「著作権法の一部を改正する法律案」の概要・説明資料・案文等が公開されている。
 「著作権法の一部を改正する法律案の概要」では、「1.図書館関係の権利制限規定の見直し」と「2.放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」の2点があげられており、「1.図書館関係の権利制限規定の見直し」では「(1)国立国会図書館による絶版等資料のインターネット送信」と「(2)各図書館等による図書館資料のメール送信等」があげられている。
 (1)では、「特定絶版等資料」(現在の図書館送信の送信対象資料である「絶版等資料」のうち、3か月以内に復刻等の予定があるものを除いたもの)の受信対象者を、個人だけでなく、一定の条件を満たした公共施設を含むような書き振りとされており、さらに、この場合、大型スクリーンでの表示もできることとしている。
 また、(2)では送信業務を適切に実施できる体制を構築した図書館等(特定図書館等)が、補償金を支払うことで、著作物の一部分(政令で定める場合には全部)をメールなどで送信することができることとされている。なお、この(2)においては、通常の複写サービスにおける複写可能な範囲について、最新号以外の雑誌や新聞などの記事論文の全部を複写可能としているのを、「国等の周知目的資料」その他の政令で定める資料に改正する内容となっており、政令の規定ぶりによっては現在の複写サービスに影響を与える可能性がある。
 (1)(2)のどちらでも、実際の運用は、日本図書館協会や出版社を含む関係者の協議により具体化される。日本図書館協会は、適切なサービスを実施するために、図書館側の負担が過度に大きくならないように求めていく。施行日は(1)は公布後1年以内、(2)は公布後2年以内の政令で定める日とされている。
令和3年3月5日(金)定例閣議案件(首相官邸)
著作権法の一部を改正する法律案

・日図協、自由民主党知的財産戦略調査会・デジタル社会推進知財活用小委員会合同会議におけるヒアリングに参加
 (JLAメールマガジン第1032号 2021年2月24日)
 2月10日(水)に開催された自由民主党知的財産戦略調査会・デジタル社会推進知財活用小委員会合同会議において、図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)について、日図協はヒアリングに参加した。ヒアリング参加団体は国立国会図書館と図書館休館プロジェクト、日図協の3者であった。日図協では、図書館資料の送信サービスの実施について、補償金の支払い主体が図書館設置者となっているが、受益者である利用者に転嫁する規定が必要であること、支払いのシステムについて大学図書館などを含め全国共通で利用できるシステムを用意する体制整備が必要であること、補償金の料金体系等について権利者、利用者、図書館などの利害関係者による検討と調整が十分に行われる必要があること、法第31条が適用される図書館等の範囲について検討をしてほしいことなどの意見を発表した。また、全国公共図書館協議会にも同席いただき、公立図書館を代表して補償金制度導入への懸念などを補足いただいた。なお、権利者団体へのヒアリングも行われている。

・「「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書」、まとまる
 (JLAメールマガジン第1030号 2021年2月10日)
 2月3日(水)に開催された文化審議会著作権分科会において、「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書」がまとめられた。
 当日は、日図協からの文化審議会著作権分科会委員である返田玲子委員が、今回の議論は大変重要な一歩ではあるが、今後も慎重な議論を継続してほしいとして次のように意見を述べた。1)補償金の支払義務者は図書館等の設置者とされているが、実質的には利用者負担が適当であり、運用する際に利用者に説明ができるよう根拠を明確にしておく必要があること、2)図書館として適切な事務処理の量となるよう、運用方法を慎重に検討する必要があること、3)流出防止などが求められているが、個々の図書館でのシステム構築は困難であり、全国共通で利用できるシステムの構築が必要であること、4)今後第31条を議論していく際には学校図書館等、現状法第31条に含まれていない図書館等についても検討していく必要があること。なお、文化庁はこの報告書を元に今国会での法案・提出を目指して調整していく方針である。
 また、同会議において各小委員会からの審議経過報告があり、国際小委員会において、WIPO(世界知的所有権機関)の動向に関連して、公貸権について議論されたことが触れられている。今後の動向を注視していきたい。
文化審議会著作権分科会(第60回)(第20期第3回)
文化審議会著作権分科会国際小委員会(第2回)

・「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」へのパブリックコメントの実施結果が公表
 (JLAメールマガジン第1028号 2021年1月27日)
 2021年1月18日、文化庁が実施した「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」へのパブリックコメントの実施結果が公表された。意見募集の期間は、2020年12月4日~12月21日まで、寄せられた意見の総数は合計195件(団体71件、個人124件)であった。また、パブリックコメントの結果を踏まえて必要な加筆修正を行い、2021年1月15日に文化審議会著作権分科会法制度小委員会がとりまとめた「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書」も掲載されている。
文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集の実施について
「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集の結果について
図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書

・「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に対して意見提出
 (JLAメールマガジン第1024号 2020年12月23日)
 12月18日(金)、日図協は、意見募集されていた「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」について意見を提出した。
 入手困難資料へのアクセスの容易化(法第31条第3項関係)については、図書館サービスの可能性を拡げるものであるが将来的な補償金請求権の導入は継続的な議論が必要であることや、地域資料・郷土資料・行政資料等をデジタルアーカイブの対象とすることの重要性などについて意見した。また、図書館資料の送信サービスの実施(法第31条第1項第1号関係)については、 一部要件を外す対象資料を明確にしたうえで著作権者にいわゆる著作権料が還元される仕組みを検討すること、ガイドライン作成に当たり当事者間協議に対する文化庁の適切な関与などについて意見した。補償金請求権を付与される場合には、補償金の支払義務者を事実上利用者とするような制度設計の検討を求めた。
 このほか、関連する諸課題として、小・中・高の学校図書館を第31条の対象となる「図書館等」への追加について要望した。
日図協の見解・意見・要望のページ

・著作権に関する図書館団体懇談会を開催
 (JLAメールマガジン第1023号 2020年12月16日)
 12月15日(火)、日本図書館協会の呼びかけにより、「著作権に関する図書館団体懇談会」がオンライン会議で開催された。出席団体は、国公私立大学図書館協力委員会、国立国会図書館、全国学校図書館協議会、全国公共図書館協議会、専門図書館協議会、日本看護図書館協会、日本病院ライブラリー協会、日本図書館協会の8団体である。主に、「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」についての情報交換を行った。同懇談会は状況に応じて今後も開催していく予定である。
文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集の実施について
(意見募集締め切り:2020年12月21日23時)

・文化庁「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集を開始
 (JLAメールマガジン第1022号 2020年12月9日)
 2020年12月4日(金)、文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第2回)が開催され、図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチームがまとめた「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書」について議論がなされた。図書館等利用者の利便性の向上とデジタル出版市場等の利益保護などについて意見が交わされ、報告書は同小委員会の中間まとめとして取りまとめられた。これを踏まえ、同小委員会終了後12月4日(金)16時より、「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集(パブリックコメント)が開始された。意見募集の受付締切は12月21日(月)23時までである。日図協は著作権委員会を中心に意見を取りまとめ、意見提出をする予定である。
文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集の実施について

・図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第5回)、開催
 (JLAメールマガジン第1018号 2020年11月11日)
 11月9日(月)、今期最後となる第5回の文化庁文化審議会著作権分科会法制度小委員会図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(以下、図書館WT)が開催され、これまでの議論を取りまとめた「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書」案(以下、報告書案)について協議がなされた。
 報告書案では、「入手困難資料へのアクセスの容易化(法第31条第3項関係)」について、国立国会図書館が一定の条件下で入手困難資料のデータを各家庭へインターネット送信することを可能とする方向性を示した。そのうえで、将来的な課題として、送信対象資料の拡大・補償金制度の導入、国立国会図書館以外の機関もハブとすること等が挙げられた。
 また、「図書館資料の送信サービスの実施(法第31条第1項第1号関係)」について、権利者の利益保護の観点から厳格な要件の設定および補償金制度の導入を前提に、図書館等が図書館資料のデータの一部分を利用者に公衆送信することを可能にするという方向性を示した。法令上は一般的なただし書きでとどめ、図書館関係団体も含めた関係者によって策定されるガイドラインで具体的な解釈・運用を示す必要があるとした。補償金については、今回新たに権利制限がなされる公衆送信のみを対象とすること、支払いの主体は「図書館等の設置者」であること(利用者に転嫁するかどうかは各図書館等の判断)、脱法行為防止のため図書館等における適切な措置が必要なこと等が挙げられた。なお、「一部分要件」そのものの見直しについては、現行複写サービスに関わるものであることから、引き続き検討を行う必要があるとした。
 法第31条の対象となる「図書館等」の範囲等に学校図書館を加えることはニーズが高まっているものとして図書館WTでは追加すべしという意見が大勢であった。関係者間での協議をしつつ、早急に適切な対応を期待するとされた。
 今後、この報告書は文化庁文化審議会著作権分科会法制度小委員会に報告され、その後パブリックコメントが実施される予定である。図書館WTに関しても、残された課題を議論するため継続していく方向。

・図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第4回)、開催
 (JLAメールマガジン第1016号 2020年10月28日)
 文化庁は、10月26日(月)に第4回の文化庁文化審議会著作権分科会法制度小委員会図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(以下、図書館WT)を開催した。(1)入手困難資料へのアクセスの容易化(法第31条第3項関係)に関する取りまとめについて、および(2)図書館資料の送信サービス(法第31条第1項第1号関係)に関する論点整理の2項目を中心に協議がなされた。
 まず、議事(1)では、美術館・博物館等における入手困難資料について、将来的に国立国会図書館以外の機関もハブとすることの検討が必要であると追記された。竹内比呂也委員からは、公共図書館についても、地域資料等の入手困難資料のニーズがあると指摘された。
 続いて、議事(2)では、(1)正規の電子出版等をはじめとする市場との関係、(2)送信の形態・データの流出防止措置、(3)主体となる図書館等の範囲、(4)補償金請求権の付与などが論点として提示された。意見交換・質疑応答では、市場との関係を整理することが必須であること、「一部分」「発行後相当期間」等の要件の見直しについて公衆送信以外は従来の秩序を維持するが公衆送信について補償金を付与する「ただし書き」を付けることが事務局案であること、補償金の実運用の詳細を定めるガイドライン策定にあたってはユーザー等も関係者に含める必要があること、などの意見が出された。また、不正防止においては図書館の現場の負担にならないようにしつつも図書館員が不正に気付くことへの期待が指摘された。補償金請求権と無料公開の原則(図書館法第17条)の関係も議論された。学校図書館に関しては、参考資料として、学校図書館問題研究会の「学校図書館に関する要望書」および「著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加えることで対応できる事例について」が示された。冒頭の文化庁からの説明において学校図書館関係団体で打ち合わせを行ったが、意見に相違があり、引き続き意見交換していくことが報告された(JLAメールマガジン第1015号参照)。

・著作権法第31条の「図書館等」における学校図書館の位置づけに関する、文化庁・全国SLA・日図協の3者による打ち合わせ
 (JLAメールマガジン第1015号 2020年10月21日)
 「文化庁文化審議会著作権分科会法制度小委員会図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」(以下、図書館WT)において、著作権法第31条の「図書館等」に学校図書館を含めないという理由はなく、「図書館等」にしっかりと位置付ける必要があるとの意見が出された(第3回図書館WT。JLAメールマガジン第1012号参照)。また、9月26日に学校図書館問題研究会からも要望書が関係各所へ提出された(JLAメールマガジン第1014号参照)。これらの状況を受けて、文化庁・全国学校図書館協議会(以下、全国SLA)・日図協の3者は、10月14日、オンライン会議による打ち合わせを行った。
 日図協は、第35条の「授業の過程における使用」にあたらない複製が可能になること、学校図書館所蔵資料を保存のための複製・デジタル化ができること、国立国会図書館の図書館向けデジタル化資料送信サービスによるデジタルデータの受信・複製ができること、などの意義をあげ、学校図書館を法第31条の「図書館等」に含めることが重要であると主張した。
 一方、全国SLAは、学校図書館は「学校図書館法」によりその設置が義務付けられている学校教育のために存在するものであることを根拠として、社会教育のための規定という印象がある法第31条の「図書館等」に含めることは学校図書館の経営・運営に負荷が生じること、法第31条と法第35条の両立が学校図書館現場を困惑させる懸念があること、今後オンライン授業などの普及・拡大が予測される中、法第35条を権利者と学校教育関係者の理解と協力により運用することで、さらなる利用の円滑化が期待できることから、法第31条の「図書館等」に学校図書館を含めることは望まないと主張した。
 日図協は、昨今のデジタル化等の状況を鑑み、選択肢を多く設けておくことに利点や意義があり、今後の前向きな検討を提案した。文化庁は、両法人の学校図書館に関する認識に大きな差はなく、学校図書館のさらなる発展、子どもたちのより良い成長を願っていることは共通しており、今後も継続して協議を進めていきたいとした。
※日本図書館協会の主張は、著作権委員会のページに掲載

・学校図書館問題研究会、著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加えることについて、関係各所に要望書提出
 (JLAメールマガジン第1014号 2020年10月14日)
 10月10日、学校図書館問題研究会は文化庁を始めとする関係各所へ「著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加えることについて(要望)」を9月26日付で提出したことを公表した。
 現在の著作権法第31条の「図書館等」に小・中・高の学校図書館は含まれておらず、法第35条に基づいて対応をしている。しかし、法第35条は「授業の過程」においてのみ制限する規定であり、授業には該当しない児童生徒の要求や教職員の研究活動等の場合は学校図書館では複製ができない。学校図書館問題研究会は、学校図書館法において、学校図書館は「学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成する」役割があると定義されており、なにより授業には該当しない児童生徒の興味関心に基づく利用や、知る自由を保障するために複製の要求に応えられるようにしたいと要望している。
 なお、「文化庁文化審議会著作権分科会法制度小委員会図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」においても法31条における「図書館等」へ学校図書館にしっかりと位置付けるべきとの意見が出されている(JLAメールマガジン第1012号参照)。
「著作権法第31条における「図書館等」に学校図書館を加える要望書を提出」(学校図書館問題研究会ウェブサイトより)

・近畿病院図書室協議会、日本病院ライブラリー協会および本協会の連名で、文化庁に要望書を提出
 (JLAメールマガジン第1012号 2020年9月30日)
 2020年9月15日(火)、本協会は、近畿病院図書室協議会、日本病院ライブラリー協会(JHLA)と連名で「病院図書館をいわゆる著作権法第31条に該当する図書館に含めること」を求める要望書を文化庁に提出した。要望書は9月29日(火)に開催された図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第3回)において資料として取り上げらた。著作権法第31条第1項については、10月に開催予定の第4回ワーキングチームで討議される予定であり、「図書館等」の範囲についても議論されると思われる。
※要望書は「日本病院ライブラリー協会(JHLA) 著作権委員会トピックス」に掲載。

・図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム、第2回、第3回、開催
 (JLAメールマガジン第1012号 2020年9月30日)
 文化庁は、9月9日(水)に第2回、9月29日(火)に第3回の図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(以下、図書館WT)を開催した。
 第2回図書館WTでは、権利者からのヒアリングが行われた。参加団体は、学術著作権協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会・日本雑誌協会、日本新聞協会、日本美術著作権連合、日本文藝家協会、日本漫画家協会。図書館に関係する点として、著作権法第31条第1項の「図書館等」の範囲についての議論があり、図書館WTの委員から学校図書館を含むべきではないかとの意見があげられた。また、権利者からは図書館について一定の理解はあるものの、図書館での運用の現状を鑑みるとリスクも感じているとの意見もあった。
 第3回図書館WTでは、入手困難資料へのアクセスの容易化(著作権法第31条第3項関係)に関する論点整理等が行われた。討議の結果、著作権法第31条第3項関係については、時間の関係で補償金制度の導入ができないことから、現在の図書館送信の厳格な運用を前提として、個人への閲覧とプリントアウトを認めるという方向性が示された。また、自由討議では「図書館等」の範囲について、学校図書館を含めないという理由はなく、「図書館等」にしっかりと位置づける必要があると意見が出された。そのほか、複製物の公衆送信等についても引き続き次回で検討されることとなった。
図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第1回~第3回)

・図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第1回)のヒアリングに参加・発表
 (JLAメールマガジン第1008号 2020年9月2日)
 文化庁は、7月29日(水)に開催された文化審議会著作権分科会法制度小委員会において、「図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム」の設置を決定した。これを受けて、8月27日(木)、オンライン会議にて第1回目の図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチームが開催された。この会議では、検討にあたっての論点及び検討スケジュールの説明、諸外国における制度・運用の状況についての報告に続き、図書館等関係者からのヒアリングが行われた。ヒアリングに参加した団体は、国立国会図書館、国公私立大学図書館協力委員会、全国美術館会議、日本博物館協会、図書館休館対策プロジェクト、日本図書館協会の6団体。発表内容については、日図協著作権委員会のページに掲載している。今後のスケジュールとしては9月~11月までに4~5回の会議が予定されており、12月頃にはパブリックコメントが実施される予定である。詳細は図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチームのページ参照。
図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第1回)

・日図協、図書館等に関する権利制限の検討につき、文化庁と意見交換
 (JLAメールマガジン第1003号 2020年7月22日)
 文化審議会著作権分科会では、「知的財産推進計画2020」(令和2年5月27日知的財産戦略本部決定)において、図書館等に関する権利制限規定のデジタル化・ネットワーク化について明記されたことなどを受けて、図書館関係の権利制限規定の見直しを今年度の検討課題としている(※1)。これについて、文化庁より要請があり、日図協著作権委員会は、7月17日に文化庁と意見交換を行った。文化庁では、本課題について今年度中に一定の結論を出すべく、著作権分科会法制度小委員会下に図書館WT(ワーキングチーム)を設置して集中的に議論を進めていく方向で検討されており、今後、WTでは図書館関係者や権利者からのヒアリングも予定されている。
※1:文化審議会著作権分科会(第58回)(第20期第1回)議事録の「第20期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について」で「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)について」をあげている。

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